日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
33 巻, 5 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • -妊娠・出産・育児期に焦点をあてて-
    蛎崎 奈津子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_15-5_24
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      日本で国際結婚した中国人女性と日本人男性の結婚から妊娠・出産・育児期における家族関係構築にむけた知恵に根ざした諸行動を明らかにすることを目的に,中国人女性と日本人男性12名に面接し,継続比較分析を行った。その結果,知恵に根ざした諸行動は【2つの文化的世界を保つ】をコアカテゴリーとする5つのカテゴリーに分類された。彼らは【結婚生活を長期的視点でとらえる】ことで互いが価値を置く穏やかな生活を営み,【相手を尊重する】姿勢を保ちながら,その関係の深化につなげていた。そして日常の生活場面においては,【思いを伝えあう】ことを中心に,【相手のためにできることを見出し実行する】,【楽しみをつくって生活する】ことを大切に実践していた。したがって看護者は,夫婦双方の文化的背景を尊重しながら,個々の関係構築力を認め,促進するとともに,見出された理知的行動を一例として示し,各家庭で展開していけるよう関わることが効果的との示唆を得た。
  • ~頚部後屈角度・心拍数の観点から~
    田丸 朋子, 阿曽 洋子, 伊部 亜希, 本多 容子, 木村 静, 鈴木 みゆき, 徳重 あつ子, 細見 明代
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_25-5_32
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      本研究の目的はベッドの高さの違いが患者に与える影響について検証することである。被験者は70歳以上の健康高齢女性19名とし,患者が昇降しやすい高さと看護師が作業しやすい高さのベッドそれぞれで移動援助を行った。測定指標は頚部後屈角度および心拍数とした。最大頚部後屈角度は看護師の作業しやすい高さに比べ,患者の昇降しやすい高さでの援助時の値が有意に大きかった(p<0.01)。心拍数は平均値および変化率ともに移動前・移動中・移動後のどの区間も有意差はなかった。しかし平均値および変化率の多重比較では,看護師の作業しやすい高さでは差がなく,患者が昇降しやすい高さのベッドでのみ,移動前の値と移動中の値との間に有意な増加が見られた(p<0.01,p<0.05)。以上より,移動援助時にベッドを看護師の作業しやすい高さに調節すると患者の頚部や心拍数への影響が少なくなるといえる。
  • 對馬 明美, 三上 佳澄, 西沢 義子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_33-5_44
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      本研究は,死を意識している患者との対話場面における看護者の態度構造を明らかにすることを目的とした。臨床経験のある看護者34名を対象者とし,内的作業モデル尺度と職場用ストレス用コーピング尺度を用いた自記式質問紙調査とPAC分析を実施した。コーピングのうち「他者からの援助を求める」は回避型の得点が安定型とアンビバレント型より有意に低かった。「諦め」はアンビバレント型の得点が安定型より有意に高かった。想起項目内容の分析より《緩和ケアに対する態度構造》《緩和ケアに伴う態度構造》の2つのカテゴリーが抽出され,内的作業モデルのタイプでは差異はなかった。しかし,重要度順位の内容では内的作業モデルのタイプで差異があったことから,死を意識している患者のケアには看護者が捉えた優先度の高いケアが必要であると考えていることが推測され,これには内的作業モデルが関与していることが示唆された。
  • -信頼性と妥当性の検討-
    大橋 幸美, 浅野 みどり
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_45-5_53
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      育児期の親性尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的に、859人の親(484人の母親と375人の父親)を対象に分析を行った。育児期の親性は,自己への認識と子どもへの認識という2方向性を持ち,さらに自己への認識は,親役割の状態と親役割以外の状態に分かれる2側面3下位領域でとらえた。育児期の親性尺度(試作版)は,69項目5段階のリッカート-スケールとした。結果33の項目が選択され,想定通りの3下位領域が命名された。33項目全体のCronbach’s α 係数は0.94で,3下位領域は0.87 ~ 0.90であり,内的整合性が確認できた。再テスト法では,親役割の状態がrs=0.85,子どもに対する認識がrs=0.78,親役割以外の状態もrs=0.66と安定性が確認できた。母性意識尺度との基準関連妥当性からも妥当性も確認でき,育児期の親の理解と支援に向けて有用な尺度であると考える。
  • 本多 容子, 阿曽 洋子, 伊部 亜希, 田丸 朋子, 木村 静, 徳重 あつ子, 鈴木 みゆき, 細見 明代
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_55-5_63
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      幅広い高齢者が対象となる転倒予防策として,足へのケアが有効であると考え足浴に着目した。被験者は女性高齢者20名で,1人の被験者に対し,座位にて足浴を行う足浴実験と行わない対照実験の2種類を実施した。実験の前後で足関節背屈角度と足底荷重最大値の測定を行い,測定値の前後差と転倒経験との関連を検討した。その結果足浴後,背屈角度及び足指部の荷重最大値が有意に増加していた。また実験前の背屈角度は転倒経験のある群の方がない群より有意に小さかったが,足浴後は差はなくなった。さらに足浴後増加した背屈角度及び足指部の荷重最大値と,転倒経験には相関が認められた。結果より足浴の温熱効果で背屈角度が増加し,重心が前方に移動しやすくなったため足指部の荷重最大値が増加したと考えられる。この事から前進力が向上し,歩行状態が改善されたと推測される。ここから足浴は女性高齢者の「転倒予防ケア」として有効であることが示唆された。
  • 山口 曜子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_65-5_74
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      2型糖尿病でクリニックに通院する有職者の男性患者に対し,計画的行動理論をもとに生活習慣改善に向けた行動変容を促すための『行動意思』を促進する3回の糖尿病教育プログラムを作成した。その糖尿病教育プログラムの内容の検討を行うために有職者の男性患者5人に2005年4月から5月下旬まで実施した。
      糖尿病教育プログラムは,個人を対象に受診時間内に実施した結果,患者の『行動意思』が促進され『血糖自己管理行動』の変容を来たし,「糖尿病自己管理」と「糖尿病自己効力」の改善が認められた。さらに,4名の患者に生理学的指標であるHbA1cに改善傾向が認められた。
      本教育プログラムの内容は,患者の『行動意思』を促進する3つの概念に意図的に働きかけるものであり,患者の『行動意思』を促し『血糖自己管理行動』の変容に効果的に作用したことが示唆された。
  • 田中 小百合, 桝本 妙子, 堀井 節子, 三橋 美和, 徳重 あつ子, 福本 恵
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_75-5_82
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      健康保持能力といわれる首尾一貫感覚(以下,SOCとする)の強化要因の明確化を目的とし,20歳以上の地域住民3,000人を対象に,2003年及び2005年に自記式質問紙による縦断的調査を実施した。両年の回答に不備のない360人を分析対象とした。日本版SOC13項目スケールにてSOCの経年的変化を求め,「性別」「年齢」「学歴」「世帯の年収」「社会との関わり」「ソーシャルサポート」「幼少期体験」「青年期体験」「20歳までの経済状況」「生活ストレス」「緊張処理の成功体験」との関連性をPearson積率相関係数の算出し,相関がみられた項目の重回帰分析を行った。結果,「20歳までの経済状況」「緊張処理の成功体験」が強化要因として抽出された。豊かな「20歳までの経済状況」はSOCを低下させ,「緊張処理の成功体験」はSOCを強化することが示唆された。
  • 小林 秋恵, 當目 雅代
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_83-5_92
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は,急性期病院において慢性期意識障害患者をケアする看護者の心理を明らかにし,記述することであった。看護者19名に半構成的面接を行い,グラウンデッドセオリーアプローチを参考に分析した結果,コアカテゴリー『アパシーへの陥りと引き戻し』と11個のカテゴリーが抽出された。『アパシーへの陥りと引き戻し』は,看護者と患者との意思疎通が困難な状況における,看護者の2つの心理状態を表している。1つは,患者の回復やケア環境に対する看護者の認識によって,患者への関心やケアへの積極性が乏しくなり徐々に患者への配慮を欠くようになっていく心理状態である。2つ目は,この好ましくない心理状態が,患者の予想外の反応や家族や同僚看護者などの行為によって,以前の状態に戻されていく心理状態である。この結果から,患者の回復の捉えかたをチームで共有すること,患者への関わりを看護者相互に意識しあうことの重要性が示唆された。
  • 関 美奈子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_93-5_100
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,循環器系外来看護の連携を考慮した診療科と検査室の配置を検討することを目的とした。
    方法: 2病院のから臨床研究倫理審査の許可を得,性別,年齢,診断名,血液検査データ,動作不安,外来看護が連携した看護量などを調査した。
    結果: 対象は,平均年齢が58.1歳の603人だった。2つ以上の診断名を保有する対象は,549人(91.0%)だった。心電図検査有り群の対象数は228人そのうち動作不安が有るのは126人,血液検査有り群の対象数は228人そのうち動作不安が有るのは118人,心電図検査と血液検査の両方を受けていた対象数は73人だった。看護量は2.6±1.1だった。
    結論: 本研究は,循環器系診療科は,代謝系診療科の2つの診療科は隣接すべきで,その近くに心電図検査室と血液検査室を配置することを提案した。
  • -3歳児を持つ親のSOC と育児に対する心理的側面との関連性より-
    本田 光, 宇座 美代子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_101-5_108
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      子育て期にある親に対して,地域看護職による支援の必要性を判断するための一次スクリーニングとしてSOCの使用可能性を検討するために,本研究ではSOCと父母の育児に対する心理的側面との関連を明らかにすることを目的とした。分析対象は沖縄県の離島A市において3歳児健康診査を受診し,調査票に回答した保護者338人(男性141人,女性197人)である。分析方法は,まず基本的属性等によるSOC尺度平均値を比較検討し,育児に対する心理的側面に影響する潜在的交絡因子の存在を検討した。その後,SOCを説明変数,育児に対する心理的側面を目的変数とするロジスティック回帰分析を行った。分析の結果,潜在的交絡因子の影響を制御しても,SOCが父母の育児に対する心理的側面を予測しうる有効な知見が得られた。このことから子育て期の親に対する一次スクリーニングとしてSOCを使用できる可能性を得たと判断した。
  • 工藤 恭子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_109-5_119
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      妊婦のキッチン使用時の苦痛症状・不便さを実態調査し,『妊婦のキッチン使用時の保健指導のあり方』を明確にする事を目的とし,S市の新生児・乳児訪問で訪問した産後の母親40名(回収率75.0%)に質問紙調査,妊婦M氏にインタビュー及び観察による調査を行った。1.キッチンの使用時間は妊娠前・妊娠中で有意差はなく(p=0.390),夫の協力を得ていた者は18.5%であった。2.苦痛症状は,妊娠7~8カ月時から腰痛・疲労感が増強し,9~10カ月時では疲労感が最も強く,下肢痛・浮腫も増強した。3.全妊娠期間を通して「いらいらする」が出現したが,非理想的体重増加群に「あり」が有意に多かった(p=0.003)。4.不便さの上位3位は,「お腹がつかえる」「かがむのが辛い」「高い所が届かない」であった。以上の事から,妊婦のキッチン使用時の保健指導の要点として,夫の協力も含めた対応及び収納棚・椅子等の家具や冷蔵庫の位置の変更等,工夫への対応が重要である事が示唆された。
  • 小野 奈津子, 星野 明子, 桂 敏樹
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_121-5_130
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は,若年女性が喫煙に至り習慣化するまでのプロセスとその影響要因,非喫煙が継続するプロセスとその影響要因を明らかにすることである。本研究への同意を得た,20歳代前半の喫煙女性3名と非喫煙女性2名を対象者として,半構成的面接を実施し,Grounded Theory Approachの手順に従いデータ分析を行った。結果,若年女性の喫煙が習慣化するプロセスおよび非喫煙が継続するプロセスは,【喫煙・非喫煙への準備】,【喫煙への葛藤】,【喫煙の定着】,【非喫煙の定着】という4つのカテゴリーから構成されていた。若年女性は妊娠・出産への関心は高いものの,これらへのタバコの害に関する知識は不十分であり,情報提供の必要性が示唆された。また,若年女性の喫煙は家族や友人の影響を大きく受けており,若年女性を取り巻く人間関係に着目した喫煙予防支援の有効性が示唆された。
  • 上山 さゆみ
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_131-5_138
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
      本研究は,排尿ケアに携わる看護師の意識を明確にすることを目的として,泌尿器科病棟看護師9名を対象に半構成的面接による質的帰納的研究を行った。その結果,排尿ケアに携わる看護師の意識は【直接的なケアをする】,【人間関係を築く】,【病状経過を理解する】,【ケアを意識的に振り返る】の4つのカテゴリーで表された。看護師は排尿ケアを実施する際に様々なことに意識して実践していた。また,その一方で実施したケアを意識的に振り返り,次の実践へつなげ,質の向上に努めていることが明確になった。これらの結果は,排尿ケアに携わる看護師への一資料となり,病院の泌尿器科ばかりでなく,他科や施設でも活用できるものと考える。
  • 石井 トク, 川口 孝泰, 江守 陽子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_139-5_143
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
  • 上鶴 重美, 石川 陽子, 田島 桂子, 松田 たみ子
    2010 年 33 巻 5 号 p. 5_145-5_150
    発行日: 2010/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top