家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
17 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • I.種々の条件下における3日周期の発現
    高橋 和明
    1971 年 17 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    4日周期マウス(IVCS系)において,離乳後(母マウス),偽妊娠後,雄と金網こしに同居後,progesterone連続投与後等に数回3日間隔の性周期(3日周期)を描くことを認めた。
    その成績を要約すると次のようになる。
    1)3日周期における膣垢像
    毎日,昼間に膣垢採取し,観察した結果I~III期,IV期,V期,1~III期と3日間隔の膣垢周期を描いた(PLATE 1, 2 and 3)。
    2)各条件における3日周期の発現する割合
    離乳後の母マウス(8匹哺乳);80~90%,progeste-rone連続投与後;80%,偽妊娠後;60%,雄と金網こしに同居後;雄と1日同居(10~30%)•雄と連続同居(90%)となり,雄と金網こしに1日同居の成績が最も低い値を示した(Table1and2)。
    3)各条件における3日周期発現の型
    離乳後の母マウス,偽妊娠後およびprogesterone連続投与後の3日周期発現の型として最も高率に認められた型は4日周期を1回描いてから3日周期に移行し,3日周期を数回描いた後4日周期にもどるという型であった(Fig.1)。
    4)3日周期が連続して発現した回数
    平均連続発現回数で見ると,離乳後の母マウス(出産21日目離乳)5.6回,偽妊娠後5.5回,progesterone連続投与後3.8回および雄と金網こしに同居後;雄と1日同居1.4回•雄と連続同居7.8回となり,雄と金網こしに1日同居後の3日周期連続発現回数は他の群よりも低い傾向を示した(Table3)。
    5)3日周期における排卵時間
    雄と金網こしに同居後の3日周期発現マウスについて排卵時間を検討した結果,I期の日の午前1~4時の間に排卵を認めた(Table4,Fig.2)。6)3日周期における交配適期
    V期の日の夜雄と同居させた結果I期の日の朝の検査でプラグまたは精子が認められ,妊娠した。
  • II.4日周期マウスおよびラットにおけるEstradiolの前処置とProgesteroneの排卵誘発効果について
    高橋 和明
    1971 年 17 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    午前5時点灯,午後7時消灯するように照明時間調節をされた飼育環境で,正しく4日周期を描いているIVCS系マウスおよびWistar.Imamichiラットの膣垢像がIV期(発情後期)を示す日にestradiol(単一皮下投与で排卵誘発の認められなかった低投与量)投与の前処置を行ない,翌日のV期(発情間期)予定日にprogeste-roneを投与し,I期(発情前期)予定日の午後3時から4時の間に解剖し,排卵の有無を観察した結果,次の成績をえた。
    1)マウスにおいて,IV期の日の午後10時に前処置としてestradiolの0.01μgを投与し,翌日のV期予定日の午後7時にprogesterone(0.031~0.100mg)を投与した結果,I期予定日の検査でprogesterone単一投与の場合よりも高率な排卵誘発効果が認められた(Table1, Fig. 1)。
    2)ラットにおいて,IV期の日にestradiolの10μg,40,μgを前処置として午前5時,9時あるいは午後1時に単一皮下投与をし,その翌日のV期予定日にproges-terone3mgを午前10時あるいは午後1時に投与した群に低率ではあるがI期予定日の検査で排卵の誘発を認めた(Table2,Figs.2and3)。
    3)以上の結果からマウス,ラットの4日周期におけるprogesterone投与による周期日数の1日短縮には発情後期の日にestrogenが存在することにより促進されることが明らかとなった。
  • I.摘出子宮の運動性の性周期に伴う変化に及ぼす荷重の影響
    渡部 敏
    1971 年 17 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ラットの摘出子宮の重量に対し荷重約2倍,3倍,4倍,5倍,6倍および7倍を負荷して摘出子宮の運動をMagnus法によって描写,観察し,smear像から得られる性周期の各時期をいかなる荷重の条件下でより正確に表現出来るかについて検索した結果,次の所見が得られた。
    1)荷重2倍から3倍を負荷した場合,基線は不安定で運動も微弱で,性周期の各時期における差異は認められなかった。
    2)荷重4倍から5倍を負荷した場合,最も安定した基線と振幅を示し,性周期の各時期における子宮の運動に明らかな差異が認められた。
    3)第I期(発情前期)における摘出子宮の運動は比較的大きく,子宮は弛緩時に微弱な振幅を示し,ついで大きな振幅を交互に規則的に繰り返すのを認めた。伸縮の頻度は10分間で大きな振幅を約6回,小さな振幅を約6回であった。
    4)第II期(発情期)における摘出子宮の運動は最も大きな規則正しい振幅を認めた。伸縮の頻度は10分間で4から6回であった。
    5)第III期(発情後期)における摘出子宮の運動は,比較的微弱で第I期とは逆に子宮筋の収縮の頂点においてさらに小さな振幅を認めた。伸縮の頻度は10分間で6から8回であった。
    6)第IV期(発情間期)における摘出子宮の運動は,最も微弱で規則性は認められなかった。
  • 相馬 正, 杉江 佶
    1971 年 17 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    家畜の受精卵移植に関する研究において,卵子の生産に子畜利用の可能性を検討する目的から,生後2週間から3ヵ月半の子山羊31頭にgonadotrophin注射による過剰排卵誘起処置を施し,採卵試験を実施した。さらにこれらの子山羊から採取した卵子が果して正常な子山羊に発育するか否かを確かめるために,成熟した7頭の雌山羊の子宮内に移植し,概要次のような結果を得た。
    1)子山羊に過剰排卵誘起処置を施すと,生後1ヵ月から排卵を誘起することができるが,1ヵ月令ではまだ卵巣の反応が弱く,発育卵胞数は一般に少なく,排卵数もきわめて少ない傾向が認められた。
    2)月令が1ヵ月半以上に達すると,卵巣の反応は著しく強くなり,多数の排卵を誘起できることを知った。
    3)多排卵を誘起した子山羊に,子宮内授精を施すと,子山羊からでも受精卵が採取できる。採卵した256卵中53個が受精卵であった。しかしながら子山羊では生殖器がきわめて小さいために,子宮内授精はかなりむずかしく,授精法の開発が急を要する問題であることを痛感した。
    4)これらの子山羊から採取した受精卵16個を7頭の成熟雌山羊の子宮内に移植し,そのうち3頭が受胎した。受胎した3頭は,いずれも正常な妊娠期間を経て,1頭あたり1~2頭計5頭の正常な子山羊を分娩した。
    以上の結果から,幼若な子畜からも正常な受精卵を生産させることができ,子畜から採取した卵子でも,発育する環境さえ適合すれば正常な個体に発育することを知った。
  • 西田 司一, 仲間 一雅
    1971 年 17 巻 2 号 p. 74-78
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Wistar-Imamichi系ラットの1969,1970の2カ年の産子12,492頭について性比を調査して,次の結果を得た。
    総産子性比ではかたよりはみられない。litter数は1,143で,平均litter sizeは10.9頭である。父個体別にみれば,産子が雌へかたよる個体がみられるのみで,(1971.7.6受付)母では両性へかたよる個体があるが,雌へかたよりを示すものがやや多い。産次,litter sizeにおいては,いずれでも雌へかたよるものが1階級ある。群に区分すればかたよりはみられない。季節では,第一,二次性比ともに冬で雌へかたより,1970年冬('69.12~'70.2)にかたよりを示している。季節間の差は,第二次性比では冬と他季節間,第一次性比では冬と春,夏との間に有意差がみられる。父,母月令,月令区分いずれにおいてもかたよりはみられないが,父母月令差では,父の月令が大で,その差2ヵ月未満の場合に雌へかたよりを示している。今回の2カ年では,産子性比のかたよる年度はみられない。
    終りに,標準偏差計算の労をとられた農林省家畜衛生試験場滝沢隆安博士に深甚の謝意を表します。
  • 飯田 勲, 福田 道雄, 小島 義夫, 番場 公雄
    1971 年 17 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 1971/12/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    要約精子の集団運動力を客観的に計測するために著者らが試作した装置を用いて実験したところ,次の結果を得た。
    1)本装置を用いた場合,shearingによって精子の運動を規制し,これを解く場合に復活する能力(R.T.)を測定することによって精子活力を計測することができることがわかった。
    2)R.T.の測定には用いた精子数の間には有意差がみられないことがわかった。但しR.T.を記録紙で読みとる点では1~2億精子/mlあたりが適当と思われた。
    3)用いたshearingの回転数はR.T.に対して有意差をもたらされないことがわかった。
    4)肉眼的測定値とR.T.との間には極めて高い負の相関々係γ=-0.826が検出された(P<0.01)。これによって,本装置は精子活力をR.T.で求めることにより数字的に示すことができる。
feedback
Top