国立循環器病センターで開発し, 東洋紡績で製品化した補助人工心臓システム(ventricular assist system: VAS)を, 薬事法に基づき33施設で有効性と安全性の評価を行った. システムはセグメント化ポリエーテルポリウレタン製の空気圧駆動ダイアフラム型血液ポンプ(成人用:70ml, 小児用: 20ml)と, 補助量自動制御機構を装備した制御駆動装置より成る. 本システムを従来の治療法の限界を超えた高度心不全患者62例(成人56名, 小児6名)に適用した. 33例(53.2%)がVASより離脱し, 15例(24.2%)が長期生存した. 血栓形成を人工弁装着部に8例, ポンプ内に8例認めたが, これらに起因する合併症を認めず, また血液学, 生化学的にもVASに起因する重篤な臓器障害を認めなかった. 制御駆動装置は補助量自動制御機構を含めて正確に作動し, 安全かつ省人力的に循環を管理しえた. 2大死因は, 心不全が十分に回復しえなかったこと, 適用が遅延したことに基づく多臓器不全であった. 有効性と安全の総合評価では, 6例の判定不能以外は56例全例で, 安全かつ効果的に臨床使用しうる治療手段であると結論された.
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