人工臓器
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24 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 仁田 新一
    1995 年 24 巻 4 号 p. 907
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 選択的遊離ヘモグロビン吸着剤による血漿蛋白成分回収の試み
    清水 剛, 橋本 雅史, 末定 弘行, 石丸 新, 泉 和雄
    1995 年 24 巻 4 号 p. 909-914
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓大血管手術症例11例の術中出血(1,440±650ml)を洗浄式自己血回収装置(Cell Saver 4)で回収した際に生じた廃液を, 選択的遊離Hb吸着剤(HR-O)を充填したカラム(HR-300:遊離Hb約10g吸着可能)および限外濾過装置を用いて処理した. カラム1本使用群8例においては, 廃液中の遊離Hb含有量がカラムの吸着能である10g以下の6例で, 遊離Hbは良好に吸着され, アルブミン, 免疫グロブリン(IgG, IgA)の70~90%回収が可能であった. カラム2本使用群3例では, 遊離Hbはほぼ良好に吸着されたが, アルブミンの回収率が約50%に低下した. 洗浄式回収式自己血輸血において破棄されている血漿蛋白成分は, 遊離Hb吸着剤により有効再利用が可能と考えられた.
  • 末田 泰二郎, 福永 信太郎, 三井 法真, 小浦 義彦, 布袋 裕士, 松浦 雄一郎
    1995 年 24 巻 4 号 p. 915-918
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポンプ機能を有する血管内植え込み型人工肺(IVBO)を考案, 試作した. 外径2mm, 内径1.6mmのシリコン中空糸を束ね, 両端を固定して, シリコンチューブに接続した. 人工心臓駆動装置で, 一端より駆動圧をかけて酸素を送り, 他端より陰圧をかけて酸素を吸引した. シリコン中空糸の収縮, 弛緩により, 酸素交換とポンプ機能が発揮された. まずアクリル製の模擬血管内に犬の血を灌流して, IVBOの基本性能を検定した. 血流量は% systole 40%, 駆動圧60mmHg, 吸引圧―150mmHg, 拍動数60/minの条件下で, 最大40ml/minが得られた. 血液の酸素加は% systole, 駆動圧を上昇させるほど高くなった. 犬の下大静脈に植え込んだところ, 下大静脈血流量はIVBOの駆動(60bpm, 駆動圧60mmHg, % systole 30%)を行うと増加した. 酸素分圧は% systole, 駆動回数を上げるほど増加した.
  • 井筒 憲司, 仁田 新一, 山家 智之, 永沼 滋, 柿沼 義人, 秋保 洋, 小林 信一, 南家 俊介, 福寿 岳雄, 三浦 誠, 佐藤 ...
    1995 年 24 巻 4 号 p. 919-923
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, これまで電磁駆動式振動流ポンプ(VFP)を使用して正弦波に類似した単一周波数の血流波形を作成し, この特殊な血流波形を用いて体循環の血管特性や各臓器の特性について検討してきた. 今回は特に肺血管に対して, 特定の周波数成分を強調した血流がどのような影響を与えるかについて, 成山羊を用いた実験的検討を行った. 今回は, VFPを右心補助循環として10, 20, 30Hzにて駆動し, 肺血管抵抗と血管特性インピーダンスについて検討を行った. その結果, いずれの駆動条件下での肺血管抵抗および肺血管特性インピーダンスとも有意な変化は認められなかった. しかし, VFP非駆動時(自然心のみの状態)および10, 20Hzと, 30Hzとを比較すると肺血管抵抗, 肺血管特性インピーダンスとも上昇傾向を示した. この結果から, これまでは周波数依存性はないとされてきた肺血管抵抗や肺血管特性インピーダンスが周波数依存的に変動する可能性が示唆された.
  • 塚本 敦子, 高野 良仁, 江崎 祐造, 高橋 誠, 小原井 裕樹
    1995 年 24 巻 4 号 p. 924-930
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径人工血管の基質(matrix)としての応用を目的とし, fibrin作製に関わる各種パラメーターを変化させ, 抗血栓性および組織治癒性をin vitroおよびfibrin被覆人工血管の動物移植実験により検討した. fibrinは作製条件によりmonomerあるいはpolymerを形成し, 人工血管の家兎腹部大動脈移植実験によりpolymerで細胞誘導性が良好であった. またfibrin作製時のイオン強度の違いにより重合度, 耐線溶性, 培養血管内皮細胞および平滑筋細胞の増殖性に差が認められ, イオン強度0.20が好適であった. さらにthrombinとfibrinogenの反応比(T/F比:U/mg)の違いでも同様に耐線溶性などに差が見られ, fibrin被覆人工血管のイヌ頚動脈移植実験の結果とあわせ, T/F比は0.180が好適であった. 以上よりfibrinの作製条件を変えることで抗血栓性および細胞増殖性が異なることを確認し, 適切な作製条件の設定を行うことで, 小口径人工血管のより好適な基質としての応用が可能となった.
  • 低ADL患者への術後感染リスクに関する統計学的検討
    安倍 次郎, 笠原 勝彦, 小倉 可光, 中島 博, 江郷 洋一, 赤坂 忠義, 初瀬 一夫, 前田 栄章
    1995 年 24 巻 4 号 p. 931-937
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    一般病院にて術後半年以上を経てペースメーカポケット感染をきたした2症例を経験し, 大学病院症例と比較・検討. 症例1, 47歳男性. 脳梗塞後右半身麻痺, 洞機能不全症候群をきたし, 平成5年2月ペースメーカ植え込み術施行. 平成5年9月ポケット部皮膚の膨隆と発赤を認めた. 穿刺吸引後, ジェネレータ交換術を施行. 症例2, 57歳男性. 脳梗塞術後左半身不全麻痺・球麻痺. 洞機能不全症候群にて, 平成5年3月ペースメーカ植え込み術施行. 平成5年11月ポケット部感染, ペースメーカ交換術を施行. 1993年度ペースメーカ植え込み症例を施設別に比較検討した結果, 尿路感染, 脳梗塞の有症率は一般病院症例群に有意に高く, 逆にADLは有意に低かった(p<0.001). 本症例のごとく極めてADLの低い患者の手術に際しては, 抗生剤投与と共に術前・術後の創部消毒が感染予防の重要な因子となりうると思われた.
  • 莇 隆, 岡田 昌義, 芳村 直樹, 野原 秀晃, 安宅 啓二, 太田 稔明
    1995 年 24 巻 4 号 p. 938-940
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, 血液と接触しないVentricular Assist Cupを作製し, その有用性について実験的検討を行った. すなわち, 成犬の心室を包み込む, housingとdiaphragmの2層よりなるワイングラスのカップ様のVentricular Assist Cupを作製した. 層間にairを送気するとflexibilityのあるdiaphragmがcup内に突出した形状となり両心室を外側から圧排し, 圧補助が行えるようにした. 薬物性の疑似心不全状態に対してVentricular Assist Cupを装着し自己心拍に同期させ駆動したところ, 血圧: 69~72/48~52→91~95/49~54mmHg, cardiac out put: 0.75~0.80→1.2~1.31/minへと著明に改善し, さらに心室細動下でも血圧80/38mmHg, cardiac outputは1.0l/minを維持することができ補助効果が認められた. Ventricular Assist Cupは補助循環として有効であり, かつ本法は血液と全く接触しないため, 抗血栓性を考慮した場合, 有用な手段であると考える.
  • 光カプラの最適化と変調方式の検討
    矢崎 孝弘, Mojtahedi HA, 安江 仁, 越地 耕二, 周 英明, 宇都宮 敏男, 丹羽 真一郎, 穴井 博文, 巽 英介, 増 ...
    1995 年 24 巻 4 号 p. 941-946
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心臓駆動において, 体内の情報を皮膚を侵すことなく体外へ伝送する経皮テレメトリシステムは必要不可欠である. 送信(体内)側に近赤外LED, 受信(体外)側にPDを皮膚を介して配置する(経皮光カプラ)ことにより経皮的な情報伝送が可能となるが, ここでは皮膚を透過しやすく, 装着ずれに強い経皮光カプラを構成するために, 皮膚の光透過特性, および発光素子(LED)の指向特性について検討を行った. 発光波長が約850nm, 1,100nmの光が皮膚による減衰を受けにくく, 4mm厚の皮膚を用いた場合, ±23.5°の指向角を持つものが最も装着ずれに強いことが判明した. また, 従来はディジタル信号の1, 0に対応させてLEDをON, OFFさせるベースバンド方式により情報伝送を行ってきたが, ここでは光にディジタル振幅(ASK)変調を施し, 伝送特性の改善を試みた. この方式を採用することにより, 高速伝送特性に優れた情報伝送ができることを明らかにした.
  • 補助循環に用いられる人工肺の血液停留部分の評価
    百瀬 直樹, 井野 隆史
    1995 年 24 巻 4 号 p. 947-951
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補助循環に用いられる人工肺等の血液停留部を簡便に評価する方法を考案し, その検討を行った. 電導性の低い逆浸透精製水(3.5μS/cm)にて2.01/minで潅流されている被検体流入部に, 電導性の高い生理食塩水(16,050μS/cm)10mlを1秒間で注入し, 被検体流出部で電導度計により生理食塩水の排出される時間を測定した. 予備実験では, 生理食塩水が検出されてから最大濃度の1/4まで降下する時間(t1/4)は, 停留部が多く存在している検体ほど長く, 血液停留部の簡便な評価が可能であると考えられた. 抗血栓コーティング処理が施された人工肺Univox-Gold, Maxima-CB 1380, Capiox-II 50 (H)を用いて, t1/4を比較すると, Univox 11.2秒, Maxima 20.2秒, Capiox 16.8秒であった. このことから, Univoxがこれらの中では最も血液停留部が少なく, 次いでCapiox, Maximaには多くの停留部が存在すると示唆された.
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