Cuprophan膜を用いた血液透析(以下HD)において, その生体不適合に起因すると考えられる血中β
2-microglobulin(以下β
2-MG)濃度の上昇という現象が観察されるという報告がなされているが, その確たる機序は不明である. 今回われわれは, isovolemic条件下で, sham-HDおよびHDを施行し, さらにその後48時間に至る血中β
2-MG濃度の経時変化とともに, 生体の炎症反応のparameterであるacute phase reactantに注目し, それらの動向から血中β
2-MG濃度の上昇の有無を検討した結果, cuprophan膜に起因する炎症反応様の現象, および血中β
2-MG濃度の上昇も認められなかった. また,
in vivoおよび
in vitroにおける血漿浸透圧低下による血中β
2-MG濃度の動向も検討したが, 有意な上昇は認あられなかった. したがって, cuprophan膜の生体不適合に起因する炎症反応の惹起による血中β
2-MG濃度の上昇と, 血漿浸透圧の低下に起因する血中β
2-MG濃度の上昇という現象は存在しないものと考えられた. さらに血液浄化法前後での血中β
2-MG濃度の動向を検討する場合, 症例毎に炎症性疾患の有無を考慮する必要性を示唆する所見も得られた.
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