自己広背筋駆動人工心臓の開発に向け, 骨格筋の線形的な収縮力を人工心臓駆動に必要な力に変換するRoller Screw Linear Muscle Actuator (RSLMA) を開発した。RSLMAは骨格筋の起始部末端に装着したケーブルをroller screwナットのスプールに巻き付け, 広背筋の収縮力でroller screwナットを回転させ, 回転-直線運動変換装置を介して, 骨格筋の線形的な収縮力をroller screwの直線運動に変換することにより, 血液ポンプを駆動する仕組みとなっている.今回われわれは, 雑種成犬の左側広背筋に対して, 8週間連続刺激によるpreconditioningを行った後, このRSLMAに接続し, 左心補助効果の可能性を検討した.左心補助の環境下に90分間の連続刺激 (burst frequency 35Hz, 60bpm) を行ったところ, 広背筋の外的仕事率は平均して1.3W以上を維持していた.したがって, 本装置を使用することにより自己広背筋の収縮力を左心補助人工心臓の駆動に必要な力に変換し, ポンプ駆動に利用できる可能性が示唆された.
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