杏林医学会雑誌
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40 巻 , 4 号
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原著
  • 原田 貴子
    2009 年 40 巻 4 号 p. 69-80
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/09
    ジャーナル フリー
    不全片麻痺による巧緻運動障害が書字運動に与える影響を検討した。対象は脳血管障害による利き手の右不全片麻痺者(以下,麻痺群)20名(関節運動覚障害なし14名,あり6名)および年齢を一致させた右利き健常者13名である。1.2cm,6cm,15cm画のサイズの升に平仮名「ふ」を左右の手で書かせ,ペン先,第2中手骨骨頭,橈骨遠位端の3つの評点の運動を解析した。書字時間,各評点の速度変化パターンの均一性を示す相関係数,ペン先が手の近位部と独立あるいは従属して動いているかを表すペン先と他の評点の運動半径比を計算し,各サイズの左右の書字を比較した。
    結果:健常群の書字時間は右<左であるものの有意差はなかった。麻痺群の書字時間は右>左で有意差を認めた(p=0.002~0.0002)。評点の速度変化パターンの均一性は健常群のペン先と第2中手骨骨頭および麻痺群の運動覚障害なしの麻痺群のペン先では右>左の有意差を認めた(p=0.003~4×10-6)。運動覚障害のある麻痺群はすべての評点で逆に右<左の有意差を認めた(p=2×10-4~1×10-5)。第2中手骨骨頭/ペン先と橈骨遠位端/ペン先の運動半径比は健常群と運動覚障害なしの麻痺群で右<左の有意差を認めた(p=8×10-13~1×10-18)。
    結論:不全片麻痺による巧緻運動障害があっても運動覚が正常であれば書字の等時間性,運動分離性ならびに均一性といった利き手の書字運動の特徴は維持された。運動覚の書字運動における重要性が示された。
杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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