下垂体は,腺下垂体と神経下垂体で構成される重要な内分泌器官である。腺下垂体は,中葉と前葉に分けられ,中葉では,melanotropesからメラニン細胞刺激ホルモン(alpha-melanocyte-stimulating hormone, α-MSH)が分泌される。α-MSH の哺乳類での分泌機構は未だ不明な点が多い。本研究では,melanotropesの細胞マーカーとして,cluster of differentiation(CD)362を同定し,抗CD362抗体と抗体ビーズトラップ法により,ラット下垂体から95%を越える純度でmelanotropesの単離に成功した。以上から,melanotropesの細胞マーカーとしてCD362が有用であり,純化した細胞を用いたα-MSHの分泌機構解明への応用が期待できる。