我々は, 最近, 11例の放射線皮膚障害の症例を治療経験した。このうち, 3例は, 慢性放射線皮膚炎であり, 障害は比較的浅く, 皮膚を切除して, 健康な皮下脂肪組織の上に, 遊離中間層植皮術を行なうことにより, 整容的にも良好な結果を得ることができた。又, のこりの8例は, 既に潰瘍化した症例であり, ほとんどが, 10∿30年前に, 悪性腫瘍に対する深部治療を受け, 2∿3カ月前から潰瘍を形成してきたものであった。このような症例では, 障害は深部におよんでおり, 局所の血行は不良であり, 前例のような植皮術では十分な結果は得られない。そこで, 我々は皮弁法, 特に, 手術回数が一回でよい局所皮弁法により, 深達性の放射線潰瘍を治療し, 機能的に良好な結果を得ることができた。我々は放射線潰瘍に対しては, 悪性化の危険性も考えて, できるかぎり早期に, 局所皮弁法により, 手術的に根治療法すべきであると考える。
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