昭和53年から昭和62年までの10年間の,当附属病院救急外来患者について検討した。1)受診患者総数は,昭和53年は5,607人であったが,昭和62年には22,235人へと増加した。同様に救急車搬送患者数も713人から2,944人へと増加した。 2.診療科別にみると,小児科患者はほぼ横ばいで,内科,外科系および産婦人科患者は漸増し,耳鼻科,眼科患者が激増した。これら耳鼻科,眼科患者は遠方から救急車を利用して来院する傾向がみられた。 3.患者数の増加に伴い夜間手術件数,レントゲン検査件数,臨床検査件数はいずれれも急増していた。救急患者から実地臨床医学を学ぶ機会が多くなったことは喜ばしいことではあるが,反面診療人員,施設および設備の面からみれば限界にまできているように思われる。かかる状況から,一次救急医療については区市町村単位での対応の確立が望まれ,二次,三次救急医療については地域医療の面からも東京都西部地域での医療施設間の相互連携システムの形成および国および地方自治体からの財政的援助が必要と思われる。
抄録全体を表示