杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
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53 巻, 3 号
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原著
  • 小林 賢子
    2022 年 53 巻 3 号 p. 97-108
    発行日: 2022/09/30
    公開日: 2022/09/30
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    造血器腫瘍の分子メカニズムの理解のために包括的なキメラ解析は重要である。キメラ解析を介した染色体構造異常メカニズムの解明,および病態形成にかかわるキメラの発見を目的として,造血器腫瘍99細胞株の公共データから,公共ソフトウェアSTAR-Fusionを用い1284個の融合転写産物を抽出した。均衡型キメラが6.2%と少数である一方,染色体不安定性を示唆する欠失や縦列等によるキメラや,切断点間距離1M bp未満の融合が6〜7割であった。リカレントな出現を陽性基準とし,コーディング配列同士のin-frame新規キメラ4種(CLECL1-KLRB1STEAP1B-RAPGEF5TRDV2-TRACYAF2-RYBP),長鎖ノンコーディングRNAを含むキメラ3種を見出した(PFKFB3-LINC02649LINC01934-ITGA4PVT1-CCDC26)。今後,染色体立体配座捕捉法(Hi-C法)を併用した染色体構造異常の解析,および培養細胞を用いた個々のキメラの機能解析と患者検体による病期別検討が必要である。

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