食道癌術前非照射患者127症例の非特異的細胞性免疫能を各種免疫学指標を用いて,組織学的進行度,肉眼的長径,組織学的外膜浸潤度,リンパ節転移度,リンパ節転移個数,組織学的分化度別に比較検討し,以下の結果をえた。1)癌の進展により,リンパ球比,リンパ球数,phytohemagglutinin (PHA)皮膚反応,purified protein derivatives (PPD)皮膚反応,PHA幼若化反応の低下がみられたが,リンパ球比が最も相関性が強かった。2)T細胞比,B細胞比は癌の進展に伴う一定の変動がみられず,免疫学的指標としての有用性はみられなかった。3)免疫能低下は組織学的外膜浸潤度よりリンパ節転移度との相関性が強かった。4)組織学的分化度と免疫学的指標との相関性はみられなかった。5)免疫能の評価は多種類の免疫学的指標を用いた総合的な判定を行うべきである。
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