大腿四頭筋短縮症の症例報告については現在多数の報告があり, われわれ整形外科医の間では決してまれな疾患とはいえない。しかし, 山梨県の集団発生から, その原因について注射に起因するものが数多くあることを指摘されて以来, 本症の存在は, 社会問題として一躍クローズアップされて来た。乳児を取り扱う医師は本症の存在を認識し, 治療法の確立されていない現今, 予防が唯一の対策であり, 不必要な注射は絶対に行うべきでないといえる。著者は, 山梨県国立甲府病院で研修の折, 幾多の本症罹患患者に接したが, 本症の特徴を再度のべ, 本症の存在を啓蒙したい。
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