α-,β-およびγ-ピリジンアルデヒドとその関連化合物としてピリドキザール,ピリドキシンならびにγ-ピリジンアルドキシムを取り上げ,ポーラログラフ的研究を行ない,その特性はこついてつぎの結論を得た。
ピリジンアルデヒド(濃度10
-3mol/l)のポーラログラム波高は(i)H
0(酸度関数)-4.32→-1付近で次第に減少し,(ii)pHO付近~4付近ではほとんど0に近く(iii)pH5付近→9.02では次第に上昇する。領域(ii)における現象はα-およびγ-についてとくにいちじるしい。領域(ii)の波高について温度勾配は非常に大きく,またpH3および7における定電位電解の結果はいずれも1電子還元に相当したから,一般にピリジンアルデヒドは希薄溶液中で加水型構造を取って存在すると考えた。すなわちその脱水速度はpH<pK(pKは5付近)溶液中ではおそいが,酸触媒によってはやくなる。加水平衡定数を瓦脱水速度をんであらわすと滴下時間(sec)および還元に関与した電子数の値からK・Rの値が算出できて,たとえばα-について領域(ii)における値は10
-2~10
-4(10℃)となる。ピリドキザール塩酸塩はγ-ピリジンアルデヒドに類似した挙動を示すがピリドキシン塩酸塩はほとんど波を現わさない。これらに対しピリジンおよびキノリンのアルドキシムは領域(ii)においても通常の波高を示す
ピリジンアルデヒドの半波電位は一般にかなり正であるが,pH>pKの溶液中では非常に負電位となる。既報のフラン,チオフェン,ピロールなどの場合と同様にピリジンアルデヒド,γ-ピリジンアルレドキシムおよびγ-キノリンアルドキシムのpH1または0における半波電位から核の極性効果をあらわす核定数(σn)を算出したところ,α-,β-,γ-ピリジンおよびγ-キノリンにっいてそれぞれ7.75,5.10,8.23および11.30となった。そしてσnの値は一般に異節環状化合物の各置換基位置(α-,β-またはγ-)のπ電子分布密度の小さいものほど大きかった。
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