胆石症の中でも比較的稀な合併症である胆石イレウスの2例を経験したので報告する。症例1は78歳女性。3日前からの嘔吐を主訴に来院。腹部単純CT検査にて胆道気腫,小腸の結石様異物と口側腸管の拡張を認め胆石イレウスと診断した。症例2は71歳女性。10年前に胆嚢結石の指摘あり。2日前からの嘔吐を主訴に来院。腹部単純CT検査にて胆嚢気腫と胆嚢結石の消失,小腸内の結石様異物と口側腸管の拡張を認めたため胆石イレウスと診断した。いずれも,脱水による腎機能障害を併発し,胆嚢に結石遺残が認められなかったため,緊急開腹,小腸切開・結石除去によるイレウス解除術のみに術式を限定し良好な経過を得た。手術術式に関しては,イレウスの原因となった結石除去に加え胆嚢摘出や瘻孔閉鎖を併施するかどうかについては,全身状態および胆石遺残や胆嚢消化管瘻の有無に則して検討する必要がある。本邦における過去5年分の報告例を集計し,治療法の選択を中心に文献的考察を加え報告する。
目的:本レビューの目的は、日本の学校教職員および養護教諭のエピネフリン自己注射薬への認識と、エピネプリン自己注射薬を用いた教職員と養護教諭の救急処置技能を向上させるための試みについて現状を整理し、今後の研究への示唆を得ることとした。
方法:文献検索データベースは医中誌とCiNiiを用い、検索式は「学校ANDエピペン」とした。文献の組み入れ基準は、日本語論文で、対象者を教職員か養護教諭としており、エピネフリン自己注射薬への認識を調査している論文または教職員か養護教諭の救急処置技能を高めるための試みを報告した論文とした。総説論文は除外した。エピネフリン自己注射薬への認識と、試みについて分析した。
結果:145件中、13編を対象論文とした。6編が教職員と養護教諭の認識に関する論文であり、8編は救急処置技能を高める試みを報告した論文であり、内1編は双方の内容を含んでいた。
教職員と養護教諭の認識に関して、ほとんどの教職員と養護教諭はエピネフリン自己注射薬を知っていた。しかしエピネフリン自己注射薬を処方されている生徒等が在籍しているかについて把握していない学校や教職員および養護教諭がいた。多くの教職員や養護教諭が、エピネフリン自己注射薬を適切に使えるか、アナフィラキシー症状を的確に把握できるか、いつどのように注射すればよいのかについて不安を抱いていた。
救急処置技能を高める試みの多くは研修の形式で、小児科医や小児科看護師が講師を務め、取り扱う内容は食物アレルギー、アナフィラキシー症状やエピネフリン自己注射薬の使い方等であった。多くの研修で、講義スタイルと演習スタイルを用いていた。その効果として、食物アレルギーの症状や治療、いつどのようにエピネフリン自己注射薬を注射するか等の理解や救急処置技能が向上したと報告されていた。しかし、その効果を前後比較した論文は1編のみであり、対照群を用いた論文は無かった。
考察:エピネフリン自己注射薬を持つ子どもが通う学校の教職員や養護教諭は、アレルギーとアナフィラキシー症状、いつどのように注射するのかといった学習ニードがある。それらのニードは、医師や看護師による講義と演習を組み合わせたスタイルの研修によって学習できるものと思われる。今後の研究では、前後比較法や、理解度を客観的に評価する方法、対照群を用いて効果を検証していくことが望まれる。
超音波検査は非侵襲的で腹部領域において第一選択となる画像診断法として位置付けられている。超音波検査を習得するためには腹部領域の解剖と消化器疾患の病態を理解することが重要である。本検査法はスクリーニングから精査まで守備範囲が広い検査法であり,ぜひ若手の医師や技師の方々に身につけて頂きたい検査と思われる。
心エコー(Echocardiography)は,非侵襲的に心血管疾患の解剖学的・機能的評価を行い,正確な診断および重症度の評価に有用な検査法である。また,定量的に心機能を評価し,血行動態のモニターとしても用いられる。そして,弁膜症,先天性心疾患といったstructure heart disease(SHD)の手術・カテーテル治療などの治療法の決定や治療前後の評価にも必要な検査となっている1)。近年,これらの解剖学的評価,心機能評価のためにいくつかの心エコー技術が開発されている。日常のルチーン検査とともに施行されているさらに詳細な心エコー検査について述べる。
頸部血管超音波検査は,動脈硬化の評価,脳血管障害の病型診断や病態把握,手術のリスク評価などに用いられている。ベットサイドで簡便に行え,内頸動脈狭窄症,内頸動脈閉塞症,頸動脈解離などの診断,治療方針の決定などに重要な情報源となる。頸動脈を評価することで,全身疾患の診断が可能となることもある。最近,不安定プラーク診断に関する,超音波造影剤の有用性が報告されており,臨床での活用が期待されている。検査のポイントをつかみ,明日からの診療に生かしていただきたい。
甲状腺・副甲状腺の画像診断では超音波検査は第一選択である。本検査は対象をリアルタイムに連続して観察出来る非常に優れた検査法である。ただし,検査には限界も当然存在する。それを理解した上で,種々の病変の超音波像を習得し,臨床に役立てることが,甲状腺・副甲状腺外科では非常に重要である。
近年,整形外科領域,運動器領域の診断や治療,研究の中でも超音波診断装置が用いられている。しかし,その画像の細かい見方や測定方法など,十分に浸透しているとは言い難い。本論文では,骨,軟骨,関節包,半月板,筋,腱,靭帯,神経,血管の測定方法とその超音波画像の説明を行い,また,Real-time Tissue Elastographyを用いた筋の硬さの測定方法とその超音波画像の説明を行う。これらを踏まえ,本学理学療法学科でも行われている研究のテーマの一つである体幹深部筋に関する説明やその超音波画像の説明,トレーニングへの応用について説明を行う。
泌尿器科や産婦人科を専門にしていない医師であっても急性腹症や腹部腫瘤の鑑別のために腹部超音波検査を施行した際に泌尿器科疾患や産婦人科疾患などが認められることがあるため,これらの臓器の解剖と病態を理解しておく必要がある。本稿では紙面の制約もあり泌尿器疾患につき解説する。