日本野生動物医学会誌
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6 巻, 2 号
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原著
  • 松尾 加代子, スミヤ ガンゾリグ, 奥 祐三郎, 神谷 正男
    2001 年 6 巻 2 号 p. 35-44
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    1994〜1996年の間に大阪市天王寺動物園において死亡した両生類6種9個体および爬虫類19種44個体の寄生蠕虫について調べた。この内,両生類4種および爬虫類14種は外国産であり,日本には生息していない。得られた寄生虫は線虫5目11科24種Abbreviata bufonis, Mehdiella microstoma, Meteterakis sp., Ophidascaris niuginiensis, Orneoascaris sp., Ozolaimus cirratus, O. megathphlon, Parapharyngodon maplestoni, Physocephalus sp., Polydelphis sp., Rhabdias horiguchii, R. incerta, Serpinema trispinosus, Spinicauda regiensis, Tachygonetria conica, T. dentata, T. microlaimus, Tanqua tiara, 吸虫1目1科1種Telorchis clemmydis,条虫3目3科4種Acanthotaenia shipley, Duthiersia expansa, Oochoristica agamae, Spirometra erinaceieuropaeiおよび舌虫(舌形動物)1目1科1種Raillietiella affinisであった。これらの蠕虫が寄生していた外国産宿主の大半はエキゾチックペットとして国内に持ち込まれており,日本には自然分布していない寄生虫も多く見出されたことから,移入種による寄生虫相の攪乱が懸念された。
総説
  • 遠藤 秀紀, 佐々木 基樹
    2001 年 6 巻 2 号 p. 45-53
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    哺乳類の科以上の高次分類群に関して,その和名を検討し,リストとして表現した。目レベルでは原義を尊重しながら実際の定着度を考慮して和名を提示し,科レベルでは代表的属名のラテン語綴りを片仮名表記する方針をとった。分類体系の議論は加えていないが,従来の食虫目において,第三紀初期の化石諸群および現生するクリソクロリス類などが目として独立したため,トガリネズミ類,モグラ類,テンレック類などを無盲腸目と呼称する必要が生じていることが特筆される。また,有袋類を複数の目に分割する必要性が生じ,新たな和名を提案することとなった。近年,行政や出版界から,学校教育・社会教育の現場に影響する形で,学術的検討成果を顧みない安易な目名の変更が提案された経緯があり,本結果が哺乳類の高次分類群の和名について,学界のみならず社会的にも有意義な示唆となることを期待する。
研究短報
症例報告
  • ガルシア G.W., マックフアーレン R.A., ラロ C.H.O., ヨンクマン T., ビプタ N., 牧田 登之
    2001 年 6 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    トリニダード・トバコ(ウエストインディズ)が英国から独立した1962年にコクリコは国鳥に指定されたが,1963年のハリケーンで森林の被害が甚大であったので森林の辺縁で棲みつくようになり農民から害鳥扱いされている。1980年の野生動物規制改定から保護鳥から害鳥に扱いが変わったため,コクリコ(ワキアカヒメシヤクケイ)の保存が危機的になってきている。コクリコの繁殖のために,トリニダードの動物園でのコクリコの飼育状態とトバコでコクリコを飼育している推定15名のうち5名(4ヶ所)に面接し,質問状を送った10名中の2名から返答を得たことを併せて報告する。コクリコの肉は蛋白質(24.1%)に富み脂肪が少ない(0.4%)ので健康食品として注目されている。コクリコ飼育者はすべて40歳以上の男性で趣味として飼っている。この人達は,アグーチ,ペッカリー,イグアナ等他の野生動物も飼っている。飼育中のコクリコは,動物園でもトバコの4ヶ所でも,地面や巣箱に産卵し,ふ化にも成功している。季節性はないようである。野生でコクリコが繁殖している南米本土に近いトリニダードで野生コクリコが見られず,トリニダードより北東25km離れたトバコではコクリコが土着であるのは興味深い。
  • 寺沢 文男, 片岡 康, 沢田 拓士, 高橋 公正, 北村 正一, 藤本 朝海
    2001 年 6 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    1999年8月,共に飼育下生まれのバンドウイルカ雄,20歳と6歳が豚丹毒菌に感染した。前者は死亡し,血液から豚丹毒菌血清型2型が分離された。後者は,皮膚に菱形疹を認めたものの,トシル酸スルタミシリン(15mg/kg, 2回/日)と塩酸ドキシサイクリン(8mg/kg, 2回/日)との投与により治癒した。両者の血清中には,豚丹毒菌血清型2型に対する抗体が認められた。
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