日本野生動物医学会誌
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23 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集論文
  • 佐々木 基樹, 遠藤 秀紀, 浅川 満彦
    2018 年 23 巻 3 号 p. 51-
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー
  • 松本 直也
    2018 年 23 巻 3 号 p. 53-58
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     私は獣医師として複数の施設診療を行い,その中で多くの方の協力を得て「研究」も行っている。飼育現場では「知らないことを知る」ということが日常的に繰り返されており,こういうことが「研究の種」になっていたのだと今は感じている。私にとっての「研究」とは, 身近なものごとを「共有できる情報」としてかたちにすることである。「共有できる情報」にすることで,様々な場面で活かされると考えている。この現場に多数転がっている「研究の種」を一人で育むことは難しかったが,職場の仲間や大学の方など様々な方の協力を得て育むことができた。そのような過程を経て進めている研究や取り組みとして,ペンギンにおけるアスペルギルス症の早期発見・早期治療法の研究,クマ科動物の無保定採血の取り組み, ヒグマの皮膚腺の研究,ヒグマの精液採取の研究などがある。これらは,動物の治療のために必要な段階であったり,飼育管理上の問題を解決する手段であったり,野生動物との軋轢を減らせると感じたものであったり,きっかけは様々だが,すべて日常の中から生まれたものである。そして,多くの方の協力を得て,様々な立場の意見や考えが混じり合う研究はとてもコミュニケーションが重要であり,ここを意識することでとても飛躍的に進んでいくと感じている。今後もコミュニケーションを大事にして,人のために,動物のために自分ができること考え,取り組んでいきたい。

  • 伴 和幸, 椎原 春一
    2018 年 23 巻 3 号 p. 59-64
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     ハズバンダリートレーニング(Husbandry Training:HT)は,単に健康管理に役立つだけではなく,研究等を円滑に実施するために利用可能である。HTは行動分析学に基づいており,侵襲性を顕著に低減でき,動物福祉に則していることから,動物園で研究を行っていく上で,その重要性が増している。国内の動物園ではHTが取り入れられてはいるものの,多くの場合一部の担当者,一部の動物種に限定されているのが現状である。大牟田市動物園ではHTを積極的に取り入れており,28種に対して,触診や皮下注射などに対してHTを行っている。そして,これらの技術について,学会発表等を行っている。さらに,HTによって得られた血液と体毛からホルモンを測定し,飼育環境を評価する共同研究を行っている。このようにHTは,動物園らしい,動物園だからこそできる研究を促進する可能性を秘めた技術といえる。一方で,HTに対して,基本的な飼育管理がおざなりになることを危惧する意見もある。HTは手段であって目的ではない。HTによって得られた情報を,研究等に役立てることで,HTが動物園本来の役割を果たすための技術の一つに成り得るだろう。

  • 川瀬 啓祐, 椎原 春一
    2018 年 23 巻 3 号 p. 65-70
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     大牟田市動物園では飼育管理の一部として多くの動物種を対象に体重測定,検温や採血に対してハズバンダリートレーニングを取り入れている。ハズバンダリートレーニングを取り入れることによって,これまで診察および検査に機械的保定や化学的保定が必要であった霊長類や大型ネコ科動物などにそれらの保定を行うことなく,行動的保定により採血などを行うことが可能になった。 採血により得られた血液検査値は,他園と共有することでデータの蓄積を行い,健康管理に役立てている。また,一部の動物では人工採精のトレーニングも取り入れており,動物園動物の繁殖にも寄与できる可能性がある。また,定期的な採血が可能となれば,薬剤成分の血中動態も把握することが可能であり,今後の獣医療の発展に寄与できるであろう。ハズバンダリートレーニングを取り入れると多くの知見を得る機会が増える。そういった知見をもとに多くの園館や大学との研究機関と連携,協力することが可能となれば,今後の動物園での研究や獣医療が大きく進展するだろう。

  • 木戸 伸英
    2018 年 23 巻 3 号 p. 71-75
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     現在,日本の動物園・水族館が主体となって調査・研究を行う機会は,それ程多くないと感じている。その理由としては,研究費や人手不足等様々な問題があるだろうが,最も大きな原因はノウハウが不足している,という点にあると思う。本稿では筆者が動物園で勤務しながら行ってきた次の五つの調査・研究活動の手法(①目的を持つ,②データを集める,③データを整理して方向付けする,④結果の意味を考える,⑤口頭発表・論文発表を行う)を紹介することで,将来動物園・水族館での調査・研究活動の活性化に寄与できればと期待している。動物園・水族館で調査・研究を行う事は,得られた知見を社会に還元する意義と共に,働く職員のスキルアップ,あるいは専門性を高めるためにも有益であると考える。今後多くの方々が積極的に調査・研究活動に取り組んで頂ければ幸いである。

研究短報
  • 進藤 順治, 関澤 健太, 岡田 あゆみ, 松井 菜月, 松田 純佳, 松石 隆
    2018 年 23 巻 3 号 p. 77-82
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     ミンククジラの新生仔の舌の特徴を肉眼および走査型電子顕微鏡で観察した。舌は楕円形を呈し,舌前部外側に様々な形態の辺縁乳頭が密に分布していた。舌表面にはドーム状,低い円柱状及び先端が太い棍棒状の3タイプの乳頭が見られた。ドーム状乳頭は舌前部に分布し,低い円柱状と棍棒状乳頭は舌後部の横行する襞上に散在していた。それぞれの結合織芯は樹状,こぶし状,カリフラワー状であった。

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