日本野生動物医学会誌
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12 巻 , 2 号
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原著
  • 佐藤 寛子, 羽山 伸一, 高橋 公正
    2007 年 12 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    ダイオキシン類は,実験動物あるいは野生生物が暴露した場合,甲状腺の機能や形態に影響を及ぼす。今回我々は野生ニホンザル(Macaca fuscata)の甲状腺におけるダイオキシン類の影響について報告する。野生サルはヒトの居住地の周辺で生活しており,生物分類学的にヒトに最も近い動物種である。野生サルの脂肪組織,肝臓,骨格筋からダイオキシン類(PCDDs,PCDFs,Co-PCBs)の残留濃度を分析した。また,甲状腺については病理組織学的に検索し,画像解析を用いて濾胞上皮細胞の肥大を定量的に評価した。PCDDs,PCDFs,Co-PCBsの残留濃度はいずれも0.2〜26pgTEQ/g-fatの範囲だった。病理組織学的検索において,TEQに関連した甲状腺の変化は認められなかった。さらに,濾胞の数や濾胞上皮細胞の大きさにもTEQに関連した変化は認められなかった。このように,野生ニホンザルは自然環境からダイオキシン類に暴露されてはいたが,検出されたレベルでは甲状腺の機能や形態に影響を及ぼさなかったと考えられた。
  • 石本 明宏, 山中 美佳, 荒木 由季子
    2007 年 12 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    2004年2月3日〜4月18日までに搬入された野鳥30種254羽の傷病の種類および死亡または瀕死の原因を病理学的に検索した。傷病の種類は,外部損傷が138例(54.3%),非外傷性の内臓の出血35例(13.8%),病原体の感染26例(10.2%),栄養障害24例(9.4%)およびリンパ組織の障害1例(0.4%)が認められ,30例(11.8%)には著変がなく,46例(18.1%)は材料の劣化により検査不能であった。死亡または瀕死の原因が特定されたものは,143例(56.3%)であり,内訳は,外部損傷による死亡135例(53.1%),感染症5例(2.0%)および栄養障害3例(1.2%)であった。病原体の感染26例の病原体の内訳は,寄生虫13例(50.0%),細菌9例(34.6%),細菌と寄生虫の混合3例(11.5%)および真菌1例(3.8%)であった。感染症により死亡したとみられたものは5例であり,結核様肉芽腫の形成,線虫の多数寄生を伴う筋胃潰瘍,壊死性腸炎,頭蓋骨Airspaceの化膿性炎およびアスペルギルス様真菌による深在性真菌症などがみられた。ウイルス分離を試みた184検体から鳥インフルエンザウイルスおよびニューカッスル病ウイルスは分離されなかった。今回の調査から,傷病野鳥の多くは,人と野鳥の生息環境の接触により発生していること,また,高率に各種病原体を保有していることが示唆された。今後,さらなる検討のためには,日頃からのモニタリング検査が重要である。
  • Heri Dwi PUTRANTO, 楠田 哲士, 橋川 央, 木村 幸一, 内藤 仁美, 土井 守
    2007 年 12 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    スマトラオランウータン(Pongo abelii)雌2頭における糞中の免疫反応性プロジェスチン(プロジェステロン:iP_4,プレグナンジオール-グルクロニド:iPdG)およびエストロジェン(エストラジオール-17β:iE_2,エストロン:iE_1)含量を測定し,繁殖生理学的な状態と卵巣周期の把握が可能かどうかを調べた。2頭の月経血または尿中潜血反応は3.0±0.3日間(n=17)継続し,月経周期は27.3±0.4日間(n=15)であった。卵巣周期は,糞中iPdG動態から27.1±1.3日間(n=15),糞中iE_2動態から26.8±2.4日間(n=17)であったが,糞中iP_4およびiE_1には,明瞭な周期的変動が認められなかった。妊娠後半の糞中iP_4,iPdG,iE_2およびiE_1含量は,非妊娠期よりも有意に高い値を示した。これらのことから,糞中iPdGおよびiE_2の測定は,スマトラオランウータンの卵巣周期の把握に有効であり,iP_4,iPdG,iE_2およびiE_1のいずれかの測定により妊娠診断が可能であることが示された。
研究短報
症例報告
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