日本野生動物医学会誌
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14 巻 , 2 号
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原著
  • 太田 宜伯, 浜 夏樹, 下川 英子, 山田 亜紀子, 河野 隆, 関 和也, 芦田 雅尚, 石川 康司, 清水 哲夫, 佐藤 公俊, 下田 ...
    2009 年 14 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    飼育下においてアジアゾウの遺伝的多様性を保ちながら個体数を維持することは非常に難しく,我が国では,本種の正常出産は,これまでに本研究の2例を含むわずか3例しかない。このような低い繁殖率を改善するためには,繁殖生理の解明や繁殖補助技術の確立が必要であり,特に妊娠を診断し出産を予測する技術は不可欠である。そこで本研究では,アジアゾウにおけるこれらの技術を確立する目的で,神戸市立王子動物園で飼育・展示中の1頭の雌インドゾウにおける1例の死産を含む3回の妊娠期間中に得られた血漿中のプロジェスチン(P)濃度を,非抽出迅速エンザイムイムノアッセイ法により測定した。その結果,3回とも妊娠9週目までに,P濃度はいったん上昇するが,通常の発情周期と同様に減少し,基底値に達する前に通常周期のピーク値を上回る値まで再上昇した。この一連のPの変動パターンは,本種における早期妊娠診断に応用できる可能性が考えられた。またP濃度は,3回とも常に妊娠中期にいったん減少し,その後再び上昇するという二峰性を示した。3回目の妊娠末期については,新鮮な血漿を用いてPの迅速測定を連日行ったところ,2回目の出産時と同様に,分娩4日前に値が基底値にまで急落した。この情報から,飼育担当者は出産に向けた準備を始め,予想通り4日後に健康な雄が無事に生まれた。
  • 伊藤 美加, 早川 裕二, 新谷 英一, 猪島 康雄
    2009 年 14 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    2008年石川県白山地域の異なる2地区で保護され,パラポックスウイルス感染症の疑いで病性鑑定を実施したニホンカモシカ2頭についてウイルス分離,およびウイルスエンベロープ領域の塩基配列解析を実施した。PCRでパラポックスウイルス特異的遺伝子が検出され,遺伝子解析によりオーフウイルスと同定した。2頭それぞれの病変部からウイルスが分離され,IJSO81株とIJSO87株と命名した。分離した2株のPCR産物から塩基配列を決定し比較したところ,別時期,かつ異なる地域で発症した2頭から分離したウイルスでありながら同じ配列を有していた。さらに,1985年に隣の岐阜県のニホンカモシカから分離したS-1株とも完全に一致していた。以上より,白山地域一帯のニホンカモシカに感染しているパラポックスウイルスは,遺伝的に同一あるいは極めて近いウイルスであり,さらにエンベロープ領域は20年以上にわたり安定的に維持されていることが示唆された。
  • 石原 涼子, 畠間 真一, 内田 郁夫, 的場 洋平, 浅川 満彦, 菅野 徹
    2009 年 14 巻 2 号 p. 107-109
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    北海道に生息するアライグマにおけるコロナウイルス感染状況を血清学的解析により調査した。血清379検体中,1型の伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)および犬コロナウイルス(CCoV)に対してそれぞれ11および5検体が中和抗体陽性を示した。2型の牛コロナウイルス(BCoV)に対しては全て陰性を示した。これらからアライグマには1型コロナウイルスに感染している個体が存在すると考えられた。
  • 進藤 順治, 岡田 あゆみ, 浜 夏樹, 吉村 建, 影山 幾男
    2009 年 14 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    インドオオコウモリの舌乳頭を走査型電子顕微鏡で観察した。インドオオコウモリの舌は,長さ4.8〜5.7cm,幅1.2〜1.5cmと細長く,舌背は平坦で舌隆起はない。舌乳頭は糸状乳頭,茸状乳頭,有郭乳頭が観察され,糸状乳頭は鱗状,大型分岐,王冠状,大型王冠状および円錐状の5種類に分類された。インドオオコウモリの糸状乳頭は,特徴ある形態を呈しており,特に大型分岐乳頭はオオコウモリ類特有の形態と思われた。
技術短報
  • 石橋 治, 西島 拓, 角田 かおり, 山下 勝弘, 須藤 健二, 小倉 剛, 砂川 勝徳, 仲田 正
    2009 年 14 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    沖縄島産ジャワマングース92頭を用いて化学的不動化薬の効果について検討を行った。ペントバルビタールナトリウムは不動化に要する投与量に個体差(24.6〜66.7mg/kg)があり,塩酸メデトミジン(Med)は投与量(0.1mg/kg,0.5mg/kg,1.5mg/kg)に対して不動化が不確実であり,また,塩酸ケタミン(Ket)は70mg/kgでは不動化に至らなかった。MedとKetの混合薬は,Med(0.09mg/kg)とKet(26.5mg/kg)の混合で速やかな導入効果を得た。この混合薬による平均導入時間は5.2分間,また,塩酸アチパメゾールを拮抗薬剤とした覚醒時間は11.6分間であった。この混合薬は他の濃度の混合薬と比較して,死亡事故がないことおよび薬剤の投与量(0.6ml/kg)が少なく,マングースへの使用が安全に行えることが確認された。
症例報告
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