横浜市立金沢動物園において飼育されているコアラ雄3頭を使用し, 酸化クロムを標識物質として飼料の通過速度を測定すると共に, 全糞採取法による一般成分と構造性炭水化物の消化率を測定し, あわせて栄養価を明らかにした。その結果, ユーカリ給与時のコアラの飼料通過速度は, 48〜72時間であり, およそ13日間で指示物質が全て回収された。摂取ユーカリの化学的組成は, 風乾物換算(ADM)で91.1%, 有機物(OM)87.0%, 粗蛋白質(CP)10.3%, 粗脂肪(EE)8.3%, 粗繊維(Cfib)8.0%, 可溶無窒素物(NFE)60.4%, 総エネルギー(GE)18.6KJ/g, NDF35.5%, ADF19.6%, Hemicellulose15.9%, ADL7.7%, Cellulose11.9%であった。ユーカリの消化率は, DM67.4%, OM68.1%, CP51.5%, EE58.9%, Cfib.50.4%, NFE74.5%, NDF55.6%, ADF43.7%, ADL22.4%, Hemicellulose64.8%, Cellulose57.5%であり, 栄養価はDCP5.3%, TDN65.4%, DE12.3KJ/gであった。
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