日本野生動物医学会誌
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5 巻 , 2 号
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原著
  • 小牧 弘, 岡村 綾子, 佐伯 真魚, 丹羽 美次, 園田 豊
    2000 年 5 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    横浜市立金沢動物園でココアラの飼育に用いられている8種類のユーカリ若葉の, 2ヶ所の栽培地(鹿児島および横浜市)についての化学的組成の分析と, コアラ3頭を供試した採食試験を行った。葉の主要な成分含量(乾物, 有機物, 粗蛋白質, GE, NDF)はユーカリ種類間で差が認められた。また粗蛋白質含量は横浜産(4.6%)が鹿児島産(3.6%)より多かった(p<0.05)。採食量はユーカリ葉の給与量に影響される傾向を示した。コアラのユーカリ葉採食率には種間差も認められたが, その嗜好性には特定の成分含量との関係は認められず, 化学的組成にも変動は少なかった。また, 採食量は栄養素の要求量を十分に充たしていた。
  • 小牧 弘, 岡村 綾子, 佐伯 真魚, 丹羽 美次, 園田 豊
    2000 年 5 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    横浜市立金沢動物園において飼育されているコアラ雄3頭を使用し, 酸化クロムを標識物質として飼料の通過速度を測定すると共に, 全糞採取法による一般成分と構造性炭水化物の消化率を測定し, あわせて栄養価を明らかにした。その結果, ユーカリ給与時のコアラの飼料通過速度は, 48〜72時間であり, およそ13日間で指示物質が全て回収された。摂取ユーカリの化学的組成は, 風乾物換算(ADM)で91.1%, 有機物(OM)87.0%, 粗蛋白質(CP)10.3%, 粗脂肪(EE)8.3%, 粗繊維(Cfib)8.0%, 可溶無窒素物(NFE)60.4%, 総エネルギー(GE)18.6KJ/g, NDF35.5%, ADF19.6%, Hemicellulose15.9%, ADL7.7%, Cellulose11.9%であった。ユーカリの消化率は, DM67.4%, OM68.1%, CP51.5%, EE58.9%, Cfib.50.4%, NFE74.5%, NDF55.6%, ADF43.7%, ADL22.4%, Hemicellulose64.8%, Cellulose57.5%であり, 栄養価はDCP5.3%, TDN65.4%, DE12.3KJ/gであった。
  • 小倉 剛, 野中 由美, 川島 由次, 坂下 光洋, 仲地 学, 織田 銑一
    2000 年 5 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    沖縄島に移入された雄のジャワマングース(Herpestes javanicus auropunctatus)について, 春機発動および性成熟に達する際の体サイズを把握するために, 精巣重量, 精巣における精子形成および精巣上体管への精子の出現と頭胴長の関係を検討した。さらに精巣重量と精巣上体管の明瞭度の季節推移から, 雄の繁殖活動が活発になる時期を推定した。その結果, 頭胴長270mm未満の沖縄島のジャワマングースは性的に未成熟であること, 沖縄島のマングースは頭胴長が270mmから319mmの間に春機発動に到達することが示唆された。精巣上体管への精子の出現を指標にした場合, マングースは頭胴長が290mmから329mmの間に性成熟に達し, 頭胴長が330mm以上のマングースは全て性成熟個体であると考えられた。また, 精巣重量と精巣上体管の明瞭度の推移には明らかな季節性が認められ, 沖縄島において, 雄のマングースは2月から8月に繁殖活動が活発になることが明らかになった。しかし, 繁殖活動が最も低下する10月から12月にも, 精子が形成され, 精巣上体管が明瞭に観察される個体が存在したことから, 繁殖活動が低下する時期にも, 沖縄島の雄のマングースは繁殖能力を完全に失うことはないと考えられた。
  • 小倉 剛, 大塚 愛, 川島 由次, 本郷 富士弥, 上地 俊徳, 織田 銑一
    2000 年 5 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    ジャワマングースの肛門傍洞内容物を用いた効果的な捕獲方法を検討するために, 肛門傍洞の形態の観察と肛門傍洞内容物に含まれる揮発性脂肪酸の同定を行った。本種の肛門傍洞の導管は, 肛門管皮帯内側に開口していた。肛門傍洞の分泌物貯留部は, 肛門管の左右に位置し, 直径は5mm程度で, 貯留部の一側の重量は平均約10mg/100g BWであった。組織学的には, 脂腺と考えられる発達した房状全分泌腺と, 観察頻度は極めて低かったが管状のアポクリン腺が肛門傍洞の周囲に観察された。肛門傍洞の内容物からは, 酢酸, プロピオン酸, イソ酪酸, 酪酸, イソ吉草酸および吉草酸の6種類の揮発性脂肪酸が同定された。また, 数種類の同定できなかったピークが存在した。雄の6種類の揮発性脂肪酸の構成比には一定の傾向が認められなかったが, 雌では酢酸が高い構成比を示し, イソ酪酸と吉草酸は低い構成比を示した。これらの傾向は, フィジーに移入された同種と類似していた。他の食肉目と比較した場合, 種特異的な揮発性脂肪酸は同定できなかった。今後, ジャワマングースの捕獲にこれらの成分を応用するためには, 未同定揮発性脂肪酸の同定と主要揮発性脂肪酸の季節や個体成長に伴う消長を把握する必要がある。
  • 井出 百合子, 稲葉 智之, 浅川 満彦
    2000 年 5 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    ペット用に輸入され, 死亡した有袋目のPhilandar opossum, Trichosurus vulpecula, Dactylopsila trivirgataおよびMacropus eugenii, 貧歯目のTamandua tetradactylaEuphractus sexcinctusのほか, 齧歯目のSpermophilus erythrogenysS.spilosomaおよび兎目のOchotona sp.について寄生蠕虫類の保有状況を調査した。その結果, T.vulpeculaからFilarinema sp., D.trivirgataからMackerrastrongylidae gen.sp., Paraustrostrongylus sp., T.tetradactylaからGiganthorhynchus sp.とDelicata sp., E.sexcinctusからAspidodera sp., Maciela sp., Moennigia sp.および種不明の幼線虫, S.spilosomaから種不明の幼線虫, Ochotona sp.からMurielus sp.がそれぞれ検出されたが, ほかの動物においては蠕虫類は未検出であった。今回の調査により, ペット用に日本に輸入されたこれらの動物の多くにも, それぞれの原産地で報告のある蠕虫類寄生が確認された。
  • 鈴木 由香, 浅川 満彦
    2000 年 5 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 2000年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    蠕虫症診断における基礎データ構築のため, 愛玩用動物として市販されていたヌマガメ科を中心としたカメ類の寄生蠕虫類を検索した。検査材料は5科21属29種(亜種含む)57個体であった。その結果, 鉤頭虫Neoechinorhynchus sp.(宿主Trachemys scripta subsp.), 線虫類Serpinema trispinosus(宿主Graptemys geographica, Chelydra serpentina osceola, T.scripta subsp.), S.microcephalus(宿主Siebenrockiella creassicollis, Ocadia sinensis), Atractis cf. dactyluris(宿主Rhinoclemmys pulcherrima subsp., R.p.rogerbarbouri), Cissophyllus sp.(宿主Sacalia bealei, Graptemys barbouri)および未同定線虫が検出された。Serpinema属線虫は終宿主域が広く, 今後, 日本産カメ類の固有な寄生虫相の撹乱の指標種の一つとなると考えられた。リクガメ科と異なりヌマガメ科には蟯虫類が認められないが, これは今回のような飼育ヌマガメ類でも同様であった。
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