日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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ISSN-L : 1344-8447
28 巻, 4 号
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特別寄稿
Editorial
総説
  • 山﨑 康之, 山本 真由
    2022 年28 巻4 号 p. 291-298
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル フリー

    Budd-Chiari症候群は肝部下大静脈および肝静脈の閉塞・狭窄により門脈圧亢進をはじめとする症状を呈する一連の症候群であり,本邦では比較的稀な疾患である.治療法は静脈瘤に対し内視鏡治療や血栓形成に対し内服療法など保存療法が行われる他,閉塞・狭窄の解除に対しInterventional Radiology(IVR)による治療が行われる.これら治療に対し抵抗性,難治性を示す場合は根治的治療として肝移植が考慮される.バルーンやステントを使用するIVR治療は低侵襲でありながら,肝静脈や下大静脈の狭窄・閉塞を直接治療することで,生理的な血流動態に改善させることから,その有効性が報告されている.また門脈圧亢進による種々の病態に対しても治療介入が可能である.本稿ではBudd-Chiari症候群の概説および画像診断を紹介し,当科で施行した実際の症例提示を踏まえ,IVR治療に関する成績などを紹介する.

症例報告
  • 平井 博和, 砂子阪 肇, 田丸 雄大, 杉田 浩章, 波佐谷 兼慶, 青柳 裕之
    2022 年28 巻4 号 p. 299-304
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル フリー

    【背景】肝硬変症は出血傾向を呈し,観血的手技の際に問題となることがある.今回,血小板減少と食道静脈瘤出血を繰り返す原発性胆汁性胆管炎と高度腸管狭窄を伴う進行S状結腸癌に対し,Hassab手術と腹腔鏡下S状結腸切除術を一期的に施行した1例を経験したので報告する.

    【症例】70歳女性.原発性胆汁性胆管炎と再発性食道静脈瘤出血で通院していた.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性に管腔を占拠する40 mm大の2型大腸癌を認めた.血液検査で血小板は8.9×104/μlと高度に低下を認めた.周術期の出血や術後縫合不全のリスク低減を目的にHassab手術とS状結腸切除術を一期的に行った.術1日後より尿量低下と軽度の胸水貯留を認めたが,利尿剤により改善した.術7日後には血小板が29.4×104/μlまで上昇し退院した.

    【結語】一期的な手術により周術期リスクの低減につながった1例を経験した.

テクニカルレポート
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