日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
最新号
選択された号の論文の267件中1~50を表示しています
表紙・目次
論文集
  • 隅田 学
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    世界的に認知が広がるSTE(A)M (Science, Technology, Engineering, (Arts), and Mathematics)教育は,わが国の教育施策へも反映され,広範な実践が展開されつつある.教育振興基本計画(2023)においても,イノベーションを担う人材育成の中で,探究・STEAM教育の充実が謳われている.本学会では2021年に科学教育研究特集「STEM/STEAM教育に関する理論的・実証的研究」を発刊し,年会や研究会においても活発に関連発表がなされている.STE(A)教育の特色の一つはその実践的協働性にあり,多様な関係機関等との連携によるプラットフォームの構築や地域展開,ダイバシティーの推進も期待される.本シンポジウムでは,STE(A)Mをテーマに,産官学民が協働する科学教育の可能性について議論する.

  • 人見 久城
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    日本科学教育学会の学会誌「科学教育研究」では,STEM/STEAM教育にかかわる特集が,2度組まれている.それらを含めた最近の論考や国内外の知見などを踏まえ,本稿では,カリキュラム構成にかかわるいくつかの視点を整理し,STEM/STEAM 教育の推進を考える上での情報提供としたい.

  • 白木原 香織
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    高等専門学校は,産業界からの要望に基づいて実践的・創造的技術者を養成することを目的として1962年に一期校が設立された高等教育機関である.高専は,中学校の卒業生を受け入れ,5年間(商船高専は5年半)の一貫教育を行っており,低学年時より実験・実習が組み込まれた教育プログラムはSTEAM教育の実践例と言える.本報告には,鈴鹿高専で開講している学科横断型科目であるデザイン基礎,学外コンテストを活用した創造活動プロジェクト,および学生による小中学生へのSTEAM教育支援の実例についてまとめる.「A」は芸術だけにとどまらず,リベラルアーツとして捉えている.

  • 竹中 真希子, 釘宮 隆之
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    大分県では,令和3(2021)年度より大分県教育委員会高校教育課が主体となり,産学官が連携して宇宙産業や先端科学技術分野などで幅広く活躍できる次世代人材の育成のため,「大分県STEAM教育(次世代人材育成)推進事業」を実施している.高校生を対象とした複数の課外活動と教員向け講座で構成されるSTEAM教育プログラムの提供,および,学校で個別に推進されているオリジナルのSTEAM教育プログラムの支援をしている.産学官連携でこの推進に取り組むため「OITA STEAM PLATFORM」を構築し,自治体,教育委員会,民間企業,学校,大学等の専門機関が密接に連携する体制を整えている.「OITA STEAM PLATFORM」の戦略は,教育委員会が単独ではなく,他の部局と一緒に,同じ時期にSTEAM教育を実施し県全体での組織的な取組みを図ったこと,STEAM教育推進エコシステムを構築したことである.

  • 浦嶋 將年
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    PLIJは、一般社団法人学びのイノベーション・プラットフォームの略称である。設立が2021年9月であるので2年になる。人材育成は、学校を始め「公」の領域であるという一般的なパーセプションの中、「新しい公共」のモデルにならんと努力している。PLIJの活動は、「1.コンテンツとリアル体験機会を学校教員や生徒に届ける」、「2.産業人や研究人材を学校のサポーターや生徒のメンターとして送り届ける」、「3.産学官公教の交流を促進し、連携を深める」の3つに集約され、本稿ではそれぞれについて解説を試みる。本法人は、会員によって活動を支える構造としており、2023年6月の断面で、正会員(企業)35、特別会員(高校、大学、高専、教育委員会、博物館・科学館など)344となっている。

  • Heidrun Stoeger, Albert Ziegler
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    The authors describe the potential of mentoring to serve as an adjuvant across the entire talent development pipeline in science, technology, engineering, mathematics, and medical sciences (STEMM). The authors note the considerable theoretical promise of mentoring and its oftentimes desultory empirical reality, outline hallmarks of effective mentoring, and describe the variegated mentoring roles needed over the course of talent development. The authors then flesh out what talent mentoring—done right—in STEMM looks like by introducing two best-practice online mentoring programs aimed at youths as they progress from novices to experts in their STEMM talent development. Finally, the noted hallmarks of effective mentoring are recapitulated with respect to the best-practice examples.

  • 柗元 新一郎, 峰野 宏祐, 熊倉 啓之
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は数学教育においてリスクを扱う際の枠組みについて提案することである.先行研究をもとに,観点1リスクの場面,観点2リスクの文脈のレベル,観点3リスクの内容,観点4行動の種類,観点5モデルをつくる目的,観点6算数・数学の内容(領域),観点7リスクを算数・数学で考察する力,観点8リスクリテラシー,の8つの観点を設定し,観点2から観点8について下位項目を設定した.小学校の2つの実践を観点1と観点2~観点6の下位項目に基づいて分析したところ,共通している観点は,観点3で「A 私的」,観点4で「③ 食事」,観点6で「E 統計」であり,授業者が小学生に身近な文脈や行動を設定したと言えること等を明らかにした.今後の課題として, 8つの観点を構造化すること,また,これらの観点に基づいて,小中高の教科書を分析したり,小中高の授業実践を通して児童・生徒の実態を分析・考察したりすることを挙げた.

  • 峰野 宏祐
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,小学校算数教科書におけるリスクに関する記述を分析することにより,小学校算数におけるリスクの扱いの実態の一端を明らかにするとともに,教材開発への示唆を得ることを目的とする.算数の全領域における日常生活や社会の中からのリスクに関わる内容を抽出し,リスクに関する記述の度合いや形式によって4種類に分類した(観点①).加えてそれらを場面や文脈,育みたい資質・能力等を視点に9つの観点で分類した(観点②).上記枠組みによる分類の結果より,リスク関連問題と観点②(ⅰ)算数・数学の内容(ⅱ)学年,リスク関連問題と観点②(ⅳ)リスクの文脈のレベルの2点に絞って考察を行い,算数におけるリスクの扱いの実態の一端を明らかにし,また教材開発への示唆を得た.今後の課題としては,本研究で設定した枠組みに基づき,本稿で示せなかった観点について分析・考察を行うこと等が挙げられる.

  • -小学校第4学年「かんきょうにやさしい学校を作ろう」の分析-
    大塚 桂一郎
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,小学校算数科においてリスク社会に対応した教材研究と授業を通して,リスクを題材とした算数の授業づくりにおける示唆を得ることである.小学校第4学年を対象として「かんきょうにやさしい学校を作ろう」と題して,教材開発及び授業実践を行った.授業では,児童が学級の問題(リスク)を自分事として捉え,「環境」と算数とを結び付けながら解決していこうとする姿が見られた.また,給食センターの協力を得て,実際の残量データを用いて授業を行ったことで,表やグラフのデータに対して,関心をもって読み取ろうとする姿が見られた.リスクを算数の授業で扱う際には,他教科との教科横断を意識しながら単元の目標を明確にすること,実際のデータを収集するだけでなくデータの活用に意識が向くような支援が大切であること,集団での活動と個の活動をバランス良く行えるよう留意して授業をつくることが大切であることが分かった.

  • -小学校第6学年「生活習慣病にならないために」-
    牧之段 拓
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,小学校算数科においてリスク社会に対応した教材研究と授業を通して,リスクを題材とした算数の授業づくりにおける示唆を得ることである.小学校第6学年を対象として「生活習慣病にならないために」と題して,教材開発及び授業実践を行った.実践の結果,「糖分の量や基準に対する割合を求めてみて,どのようなことを感じましたか.」という問いに対して,リスクを防ぐ行動変容に言及した記述が約14%見られた.また,グループで作成したスライドの内容から,糖分過多のリスクについて自分事として真剣に向き合っていた班が多いことが分かった.さらに,単元全体の振り返りでは,「発表では,これまで学習した算数の内容を活用出来ましたか」「今回の学習で,糖分の取り過ぎが生活習慣病や虫歯につながることを感じましたか」とも肯定的な回答が9割以上であった.

  • 端数(半分)の処理におけるユニット化・ノルム化に着目して
    日野 圭子, 田島 達也, 上野 友美, 櫻井 昭洋
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,小学校下学年の比例的推論をユニット化・ノルム化に着目して捉え,特に,問題解決において端数が生じたとき,児童はユニットをどのように再構成したり,それを使って問題場面を解釈したりするかを考察することである.目的に対して,第2学年において行った授業実践の中から,2つの授業における計8名の児童の思考過程を整理した.その結果,個数に端数が生じたときに,その端数にどう注目するか,どんなユニットを構成するか,ユニットの妥当性を検討するか,ユニットをどう用いて場面の解釈を行うか,のすべてにおいて多様な様相が見られた.端数をユニットとして捉えるまでの試行錯誤,ユニットの妥当性の検討の難しさや引き算の使用など,分数や除法の学習前の児童の実態が確認された.

  • 市川 啓, 成澤 結香里, 高橋 丈夫, 工藤 優
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,「ユニット化」の進展を意図した小学校第1学年の数の合成・分解の学習活動を開発し,実際の児童の概念の進展の様相を見出すことである.「□人でじゃんけんをしたとき伸びた指があわせて○本になる」という問題場面を○や□を変えながら考えていく学習活動を開発した.1年生なりに筋道立てて考えていく様子が見られ,問題解決を通して,ユニット化の進展として次の3つが見出された.1.数をまとまりとして捉えられるようになること.2.加法的な状況においても,伴って変わる2量に着目し,2量を調整して問題解決できるようになること.3.2段階のユニットのユニット化や,その逆のユニット分解ができるようになること.

  • 小学校第3学年「乗法」の学習におけるユニット化に着目して
    加藤 久恵, 山下 裕己, 山本 紀代, 寺井 あい, 重松 敬一, 指熊 衛
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,第3学年「数と計算」領域の「乗法」と「除法」の学習を関連づけつつユニット化の進展を目指すために,数を代数的に捉えることを意図した教具であるキズネール棒を用い,具体的操作をもとにユニットを可視化することを促す学習をデザインした.特に本稿では,「乗法」の学習について報告する.授業実践の結果から,児童がユニット化や組み立てユニットにかかわる活動を行っていたと解釈できる.これらの活動では,それぞれの色棒をユニットとみなすだけでなく,色棒を複数本まとめて考える様子もみられた.後者は,ユニットのユニット化と捉えることもできる.しかし,色棒はおはじきなどの離散的なモデルとは異なり,ユニット化を容易にする抽象的特徴を有するとも考えられる.児童がどの程度ユニット化を意識できているかについては,より詳細な分析が必要と考える.

  • 身体化認知の視点から見た小学校低学年の音楽科と生活科
    松島 充
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,音楽科と生活科の複数の教科書の記述から,ユニット化につながる活動を身体化認知の視点から抽出し,それらの活動と比例的推論の概念形成をつなげる授業デザインのアイデアを考察することである.小学校低学年の音楽科の教科書分析からは,1:リズム遊び,2:リズムづくり,3:呼びかけと答え,4:わらべうた,5:楽器演奏の5種のユニット化につながる活動を抽出した.生活科の教科書分析からは,6:生き物とのふれあい,7:植物を育てる,8:道具をつくる,9:施設で見つけるの4種の活動を抽出した.これらの9種の活動からは,聴覚,触覚,動作や情動などのマルチモーダルな情報を通して,ユニット化につながる経験をさまざまに積むことができる.これらの経験を比例的推論の学習につなげていくためには,音楽科や生活科の学習内でのユニット化の意識化,算数科の学習内での数学的活動やメタファーの活用の工夫が挙げられた.

  • 新井 美津江
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,比例的推論の育成という視点から乗法導入指導における量概念の重要性と指導の困難性を明らかにし,指導のあり方の示唆を得ることである.分析対象は,教師が期待する応答が乏しいため困惑する授業場面のやりとりとその振り返りである.明らかになった課題は①子どもが視覚可能な物の量に着目したり,量をまとまりという視点から把握したりすることは容易でないこと,②そのような子どもの困難性を認識していても,教師は言葉による量概念の指導法を継続したこと,の2点であった.指導のあり方として,ユニット化の初期段階である量をまとまりとみる視点の形成には,学習内容に応じて生活の中の事象と子どもの経験を結びつけながら子どもの理解を図ることが望まれる.

  • 稲垣 成哲
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本課題研究の目的は,発達の多様性(Neurodiversity:以下ND)の立場から科学系博物館における来館者を捉えて,その学習保障ガイドラインの体系化・展示手法の開発,さらには,その具体例としての展示にかかわる学習実践モデルを提案することである.ND とは,多様な発達特性のある人の困難を社会の側にある障害」として捉えて,新たな支援の枠組みを構築する立場である.今回は,科学教育・発達障害心理学・認知心理学・情報デザイン・ウェアラブルセンシング・博物館学などの分野の研究者が連携しながら取り組む本プロジェクトの初年度の成果と今後の課題について議論する.

  • 鳥居 深雪
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    Neurodiversity(以下NDと表記)とは,「神経学的多様性」のことであり,「脳や神経,それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを,多様性と捉えて相互に尊重し,違いを社会の中で活かそう」とする考え方(経済産業省,2022)である.LD,ADHD,自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder以下ASDと表記)等の発達障害のグループ,特に,知的水準の高いASD の当事者を中心に発展してきた.SDG’s においては,目標3 に「すべての人に包括的かつ公正な質の高い教育を確保し,生涯学習の機会を与える」と示されている.科学系博物館においても,生涯学習の機会の保障に取り組まなければならない.NDのある人の特性に配慮した展示は,どのような工夫が必要だろうか.スウェーデン自然史博物館の調査結果もふまえて,今後の展示の在り方について検討する.

  • 小川 義和
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    2022 年に国際博物館会議が採択した博物館定義を概観し,包摂性の観点から定義が目指す博物館の可能性について検討した.定義では博物館の基本的な機能に加え,だれでも利用でき,多様な人々を包摂する博物館が社会の多様性と持続可能性を育むことが記載されている.我が国ではいわゆる障害者差別解消法やユニバーサルデザインの進展があり,身体障害,感覚障害者への対応に加え,発達障害者に対する配慮等も進みつつある.今後,障害に対する合理的配慮にとどまらず,人々の持つ多様な能力を生かす博物館経営が必要である.

  • 江草 遼平
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,近年におけるASD (Autism Spectrum Disorder) 当事者の博物館利用に関する研究の動向について2010年以降の文献を対象とした調査をした結果,以下の3点が示された.1つ目に,博物館利用に関する調査研究ではASD当事者の博物館利用に関する肯定的な態度が示唆されている点である.2つ目に,休憩所や騒がしすぎない時間・空間の用意,インタラクティブな展示などのハード面に関する配慮が重要な点である.3 つ目に,支援技術に関する研究ではICT を利用したさまざまな情報技術の開発が見られ多感覚的な情報保障,ソフト面の支援が期待できる点である.

  • 矢部 圭太, 大西 鮎美, 寺田 努, 楠 房子, 塚本 昌彦
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,科学系博物館における来館者向けの展示学習保障ガイドラインの体系化とその展示手法の開発を目標とし,多くの人にとって読みやすい展示ポスターとは何かを明らかにすることを目的とする.本論文では,展示ポスターのフォントに着目し,博物館における展示ポスターのフォントが読字速度や内容理解度に与える影響を調査した.実験では,兵庫県立人と自然の博物館にて実際の展示ポスターを用いて,小学校高学年の児童23名を対象に調査を行った.被験者はアイトラッカと心拍センサを装着した状態で,2種類のフォントで書かれたポスターを読み,ポスターを読んだ後に質問紙調査により主観的な読みやすさなどを答えた.収集したデータから読字速度や理解度を評価した.

  • 飯島 康之
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    GIGAスクール構想等などにより学校教育で前提とできるICT環境は大きく変わりつつある.しかし習得型の学びの個別最適化や従来の協働学習を紙からICTに移行するだけにとどまるリスクも少なくない.その観点から見るとさまざまなツールやリソースは,「ずるい使い方」に位置づき,閉じたネットワークの中での利用に限定されることも考えられる.しかし,子どもたちがいずれ社会の中で活躍するときの使い方から逆算するなら探究型の学びは不可欠のはずであり,そのための提案として「自由に使えるツール群とツールの乗り換え」というスタンスでのリソースの拡充と,それらを使った各自の数学的探究に関する記述や表現のあり方に注目し,それを蓄積していくことの必要性について検討した.

  • 渡辺 信
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    情報社会になり社会が変化したにもかかわらず,学校教育の変化は見られない.GIGAスクール構想がコロナによって動き,1人1台のタブレットを持つようになった.このタブレットを数学教育には使う機会がないのは残念である.もし数学教育にTechnologyが使えたら数学世界が広がり,今までとは違う数学の楽しさ・おもしろさを生徒が体験できるに違いない.技術の発展によって変化が現れるのではないか.50年前のTechnologyを使えなかった時代と現代を比較検討し,数学の楽しさ・おもしろさの違いを検討する.今回は代数的な数学の問題にTechnologyの活用によって,どのように面白さが変わるかを見た.また,Technologyによって御津事が出来る数学的世界を考えた.新しい技術Technologyをフィルターとして,データを集めることによって見る世界は数学的に興味深い.

  • 古宇田 大介, 青木 慎恵, 芝辻 正, 金森 千春, 高村 真彦, 牧下 英世
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    改訂された学習指導要領では,課題学習の扱いが拡充され,数学的活動の一層の充実が求められている。また,以前に実施した課題学習の教科書分析研究を通して,テクノロジーを活用する課題学習の問いが少ないことが示されている。そこで本研究では,共通テスト問題を題材に,テクノロジーを活用する場面に関する考察を実施した。さらに,そこから得られた知見をもとに,検定教科書の課題学習においてテクノロジーを活用した学習指導案を作成し,その提示を行った。

  • 大西 俊弘
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    GIGAスクール構想の進展により,学校現場では一人一台のタブレットやPCを使用できる環境が整った.また,新学習指導要領が実施され,探究活動が今まで以上に重視される時代となった.しかしながら,高等学校数学科では,探究活動は活発に行われてはおらず,探究活動にICT機器が使用されている事例も少ない.教師自身が学生時代に探究活動の経験をしていないことや,具体的な事例の不足が原因と考えられる.本稿では,メネラウスの定理を題材として,定理を学んだ後に,その定理を拡張する探究活動を行う事例を提案する.拡張が成り立つかどうかの検証には,GeoGebra等の動的幾何ソフトの計測機能を用いるのが特徴である.

  • 濱口 直樹, 北本 卓也
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    高専の1年生を対象として,数式を図形で説明するというテーマで少人数のセミナーを実施している.個人あるいはグループで説明する内容とその方法を検討する上で,図形の扱いについては教材作成支援ツールであるKeTCindyを用いることとしているが,学生でも利用を始めやすいように,スクリプトエディタを備えたHTML形式の図形教材を開発した.ソフトウェアのインストールが不要であるこの教材によって,学生のスタート段階における足並みが揃うこととなり,セミナーでのグループ活動が効果的に進行すると考えられる.現時点では,教材はテンプレートとして配付し,これをサンプルとしてスクリプトを変更していく形としており,提示するサンプルはセミナーでの学生の活動に大きく影響を与える.プログラムで図形を動かす機能等を含むサンプルなど,効果的な教材の活用方法についてさらに検討を進める.

  • 対面での協調学習とオンラインでの協調学習の比較
    野田 健夫, 北本 卓也, 江木 啓訓
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,HTMLベースのシミュレーション用コンテンツを用いて数学の協調学習を実施する際,これを対面で行った場合とオンラインで行った場合とで,学習者間の対話を中心とする学習状況に差異がないか,検証することを試みる.オンラインの協調学習については対話内容をZoomの録音機能を用いて記録する一方,対面での協調学習については専用の対話分析システムを用いて対話内容を記録した.対話記録にテキストマイニングを適用し,学習活動の質的な差異について検証した.

  • -「理科」必修科目を想定して-
    縣 秀彦, 中島 静, 日隈 脩一郎
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    日本学術会議により2016年に提言された「これからの高校理科教育のあり方」を始点として,2030年代の学習指導要領に実装可能な中等教育段階のカリキュラム案を,有志グループにて検討中である(JSPS-22H01071).具体的には高等学校理科4領域が相互に関連しながら現代社会に重要な影響を及ぼしていることに着目し,必修理科科目を設定した場合,そこで扱われる概念,資質・能力,教材等を検討している.本稿はその中間報告にあたるが,現時点では,必修科目の必要性と問題解決や判断のための資質・能力の獲得,すなわち概念形成と体験を重視したカリキュラム案が望ましいと予想している.当研究グループではさらなる検討を進め,その成果に基づいて複数の次期カリキュラム案を具体的に提示する予定である.

  • 亀田 直記, 今井 泉
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    現在,高等学校理科では4領域がほぼ独立して指導されているため,履修経験のない科目の内容を新しく学校教員になった者が指導するということが起こっている.縣を代表とする研究グループでは,総合的・基礎的な高校必修理科科目の設置を目指しており,この科目を指導できる教員養成ができるのかを検討する必要がある.本研究では,教員を目指す大学生がこの科目の必要性を感じているのかを明らかにすることを目的とした.5大学104名の学生に対してアンケート調査を行った結果,高校時代にこの科目を受けたかったと考える者が6割を超えた.自身が高校時代に履修していない科目の指導は不安だとも考えており,この科目の設置が教員養成に効果を及ぼす可能性があることが明らかとなった,また,高校理科教員志望者は65%がこの科目を指導できそうと回答し,幅広い科学の素養を持つ意義を理解し,指導に対して支障がないことがわかった.

  • −「エネルギーバーチャート」に焦点を合わせて−
    今井 泉, 今井 章人, 藤原 靖, 都築 功
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では, 高等学校理科の共通基礎科目の構築に向け, 「教科の知識」としてエネルギー概念を, 物理,化学, 生物, 地学をつなぐ「教科(科目)横断的な知識」として系(system)を取り上げた. 具体的には, 高等学校学習指導要領(平成30 年告示)解説 理科編におけるエネルギーに関する内容の中で, エネルギーバーチャート(棒グラフ)が作成可能な内容を調査した. その結果, 系選択の視点を取り入れ, エネルギーバーチャートが作成可能な内容は高校理科4科目で存在し, エネルギー・系(system)は物理, 化学, 生物, 地学を結びつける「教科の知識」・「教科(科目)横断的な知識」であることが示された.

  • 過去の「総合理科」をモデルとして
    都築 功, 山﨑 友紀, 佐野 寛子, 岡本 元達, 藤原 靖
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    現代の様々な課題の解決のために,次期学習指導要領の改定を目指して,4分野を統合した理科の必修科目を提案したい.次期学習指導要領の改定に向けて提案するために,具体的なカリキュラム例を示す必要がある,過去の総合的な理科の科目の変遷についての研究をもとに,平成元年告示の学習指導要領における「総合理科」をモデルとしたカリキュラム試案をひとつの例として提案する.この試案においては,最初に探究の方法や情報リテラシーについて事例をもとに学ぶことを考えている.また,4分野の内容にまたがる「水」「エネルギー」「波」「地球」という単元を設定している.最後に,感染症,環境汚染,気候変動といった事例を挙げて,学んだことを現代の社会や人間生活の問題を解決に活かすという組み立てにしている.

  • 〜疑似科学や誤情報にまどわされないために〜(海外の研究紹介)
    加納 安彦
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    高校理科のカリキュラム作成にあたって,科目横断的な構成とするだけではなく,課題解決に向けた幅広い視野をもった思考力を育成できるような視点を導入したい.そのために,批判的思考の能力を身につけるため工夫が必要ではないだろうか.批判的な思考のスキルをいかにして獲得するかという観点から,特に疑似科学や誤情報を題材とした手法について,海外での研究,実践の一端を紹介する.特に,疑似科学・誤情報に対する予防接種やインターネット・ソーシャルメディアを通じて流布する情報を見極める能力に注目し、現在進めている高校理科総合科目のカリキュラムの作成に向けた一助としたい.

  • 「てこのはたらき」の単元における「つり合い」の内容に焦点をあてて
    太刀川 祥平, 久保 良宏, 安藤 秀俊
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    専門性が多様な小学校教師が, 「算数」と「理科」との関連性についてどのように認識しているかを調査した事例は少ない.本稿ではこの点について,数学教育の立場から教員養成に着目して検討した.具体的には,小学校の教員免許状の取得を目指す大学生に対し,小学校「理科」の「つり合い」に関する教科書の記述を示し,この内容と「算数」との関連性をどのように認識しているかに関して質問紙調査から学生の回答を調べた.実験結果として示された表の解釈から「算数」で学習する「反比例」との関係を指摘できるかに着目して検討した結果,「反比例」の用語を記述した回答は約半数であった.また,ここには学生の専門性や,自身の「理科」の学習の記憶に大きくは依存していない傾向にあることがわかった.数学教育の立場からは,例えば「初等算数科教育法」等において,「理科」の内容と関連付けた授業について検討することが必要であると考えられる.

  • 小原 美枝, 安藤 秀俊
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,令和4年度から実施されている学習指導要領で新たに設置された新科目「理数探究基礎」の指導法や評価法の示唆を得るために,教科書の内容を比較検討し,その特徴を明らかにするものである.教科書は,「理数探究基礎(数研出版)」と「理数探究基礎 未来に向かって(啓林館)」を取り上げた.具体的には,教科書の内容構成や,索引から扱っている用語を比較検討した.その結果,一方はデータの処理や分析をする際に必要な知識として,数学B「統計的な推測」の学習内容の他,それを超えた内容についても扱っていた.高等学校数学科における学習指導要領改訂の趣旨の一つに,データを収集・分析して課題解決する力を育成するために統計的な内容を充実させたことが挙げられており,理数探究基礎において統計処理に関する知識を十分に身に着けさせることは,判断力や課題解決力の育成につながることが示唆された.

  • ~小学5年算数科「単位量あたりの大きさ」と中学1年理科「密度」の学習に着目して~
    橋本 美彦
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,小学校算数科と中学校理科の教科間連携の必要性を明らかにするために行った.小学5年算数科「単位量あたりの大きさ」の復習と理数連携を意図し,卒業前の3月にM小学校6年児童に中学校理科単位表記(〇/△)を使って授業を行った.4月,H中学校に入学後,他2校から入学した生徒と共に数学科で前述の算数単元の復習と理数連携授業を実施した。7月に理科「密度」の授業を行った後、すべての問題を理科の単位表記で解答するように指示した確認テスト5問を行った.その結果,小学校算数科の単位表記(〇)学習は,中学校以降の理科単位表記(〇/△)の理解に支障をきたすと考えられる.小学校算数科と中学校理科の教科・教師間の連携により,子ども達の理科で用いる単位表記に関する苦手意識を解決する必要がある.

  • TIMSS2019 中学校 2 年生調査の二次分析から
    渡邊 耕二, 高阪 将人
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,TIMSS2019 中学 2 年生の公開データを用いて,中学生の数学と理科に対する情意面の特徴を捉える.分析対象は,TIMSS2019 に参加した中学 2 年生 4446 名のうち,数学と理科の質問紙調査にある 67 項目に完全回答した 4134 名である.分析の結果,数学と理科では,情意面の様相が異なることが浮かび上がった.例えば,数学/理科の勉強や数学/理科について,理科よりも数学に否定的な生徒が多い一方で,授業や勉強の価値については,数学に肯定的な生徒が多いことが分かった.本研究は,情意面の視座から両教科の固有性を捉えたと考えられる.また,情意面と学力の関連を考えると,数学と理科に対する難しさや苦手さの緩和に視点を置く取り組みの重要性が示唆された.

  • 化学反応速度を題材とした教科書のデータの分析と考察に焦点をあてた学習指導
    金児 正史, 土田 理, 錦織 寿
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
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    高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説理科編理数編(平成 30 年7月 (令和3年8月一部改訂))と高等学校学習指導要領解説理科編(平成 21 年7月)の化学反応速度の解説を比較したところ,記述内容は同一である.それにもかかわらず,両者の化学の教科書の記述内容には変容が見られる.筆者らはこの点に着目しながら,日本科学教育学会年会 45(2021)に発表した,化学反応速度の導入場面を活用した「分解速度-H2O2の濃度の平均値」のグラフの,原点付近の考察に焦点をあてた数学的モデリングを体験する学習指導案を作成した.

  • 松嵜 昭雄
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    産学協同プロジェクト「数学授業における関数電卓実用化とグローバル展開」では,中等教育段階の数学科教員が,恒常的に関数電卓を用いて,数学授業をおこなえるようになることを目指している.関数電卓使用を前提とした,数学問題解決時の解法に基づく問題の分類として,「即時に解決できる問題」「工夫すれば解決できる問題」「解決が困難な問題」に大別し,「工夫すれば解決できる問題」は,「関数・条件式の工夫や公式を利用すれば解決できる問題」「関数電卓の使用方法を工夫すれば解決できる問題」「出力結果を検討・解釈すれば解決できる問題」に分類した.2022年度は,全国展開の足掛かりとして,高知県内公立中学校における授業を計画・実施した.これまでの取組の成果物である「教材」「指導案」「関数電卓の操作方法」「実践事例」のパッケージは,国際会議で英訳した冊子を無償配布し,プロジェクトHP に動画コンテンツを追加する.

  • これまでの実践をもとに
    今井 壱彦
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    「数学授業における関数電卓実用化とグローバル展開」では,関数電卓使用を前提とする数学授業の構想に向けた取組を行っている.これまでに様々な実践を行ってきているが,それらが孤立したままであるという課題がある.そこで,本稿では,デジタルツールの影響を付加したモデリングサイクルとテクノロジーの役割にもとづき,実践の分類を行い,関数電卓の役割について検討する.その結果,計算のための役割は次の2つに分類される.1つ目は,従来の電卓でも計算できるような計算のためである.2つ目は,従来の電卓では計算できないような関数等を含む計算のためである.調査のための役割も次の2つに分類される.1つ目は,相関係数を用いた調査のための役割である.2つ目は,表を用いた調査のための役割である.なお,コミュニケーションのための役割は関数電卓において,統計グラフ等を表示することができないため,適当ではないことが明らかとなった.

  • 連立方程式の解の意味の追究
    服部 裕一郎, 田中 勇誠, 村田 由香梨
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は関数電卓の機能を利用した「連立方程式の解」の数学授業を設計し,実践を通して生徒の数学的活動の様相を記述し,実践上の留意点を特定すること及び関数電卓の有用性を明らかにすることである.関数電卓を用いて連立方程式の解を求めると,ただ一組の解の他,「解なし」や「無数の解」といった表示も現れる.本研究ではこれらの事実を出発点とした授業を構成した.授業では,関数電卓によって予め解を容易に導出したことが解の分類作業を円滑に遂行させることに繋がり,連立方程式の解の意味を追究しようと粘り強く与えられた式を吟味する生徒の様相を捉えることができた.また,関数電卓を使用することはある意味,生徒に絶対的な数学的結果を受け入れさせるものである.しかしながら,その示された結果の妥当性を検討することに重点を置いた本授業は,生徒に「なぜ?」や「本当に?」といった批判的姿勢を自律的に創出させる契機にも繋がった.

  • 80~90年代の米国と日本
    礒田 正美
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
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    本稿では,電卓利用にかかる動向,特に今日と黎明期である80~90年代の研究開発との対比をするために,当時,米国で話題になったグラフィングアプローチ,そしてCASIO等の関連技術開発動向を記すとともに,日本への影響,そして導入に際しての障害を記した.

  • 佐竹 靖, 細田 幸希, 西仲 則博
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は,中学校理科におけるデータロガーを用いた実証的考察を通して,今後の我が国のデータサイエンス教育に関する指針を示すことを目的とした.そのために,近年のデータサイエンス教育研究から得られた知見の一つである統計データの見方の拡張を視点として,データロガーのセンサーから収集された気圧と地形データを基に,気圧を実感させることをねらいとした授業実践を行なった.その結果,生徒は高度変化と気圧変化の関係を日常生活の文脈と関連させて実感を深めることができた.

  • 林 宏樹, 渡辺 博芳
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    2022年度から実施されている高等学校の学習指導要領では,データサイエンス(以下DS)に関する内容の増加や探究活動の充実が特徴的な点である.しかし,現状として探究活動とDS教育を連携させた事例は少ない.本研究では,高等学校における探究活動を含めたDS教育に関する3点の教育実践を紹介することを目的とする.学校全体で取り組むDS教育,情報Ⅰ「データの活用」で取り組むDS教育,数学B「統計的な推測」で取り組むDS教育の教育実践であり,今後のDS教育の発展に寄与することを期待する.

  • 林 兵馬
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    神戸大学附属中等教育学校では,2009年の創設以来「総合的な学習・探究の時間を「Kobe ポート・インテリジェンス・プロジ ェクト(以下 KP)」とし取り組んでおり,一人ひとりが探究手法を自分自身で考えて探究を行い,年度末には論文を作成し,ポスターセッション形式で成果を発表する.また数学科では2020年より学校設定科目「データサイエンスⅠ・Ⅱ」を開講し,統計教育を推進している.を開講し,統計教育を推進している.本発表では,中等3年生(中学3年生相当)から中等6年生(高校3年生相当)で実施されている『課題研究(卒業研究)』と学校設定科目「データサイエンス」との接続についての報告を行う.

  • フックの法則の授業を誤差に着目して
    西仲 則博, 佐竹 靖
    セッションID: 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
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    本研究は、中学校1年生における理科と数学の授業をデータ活用の観点から、特に,測定値の誤差に着目して,連携を行う授業の提案である。研究の目的は,測定値に含まれている誤差に気づき,統計的問題解決における,2周目のPlan部までの実践である.理科の授業では,ばね定数が一定の実験用バネを用いて,各自で,おもりの重さ(N)に対する,バネの伸び(長さ)を測定し,散布図にプロットをすることを行った.その後,各班で見せ合いをする中で,それぞれの測定値が違うことに気づいた.ここに,1つの系列に複数の測定値が存在することになる.そこで,数学の授業でそれらを縮約するためにどのようなことが有用かを考えた.その後,理科に返して,測定値の誤差について学習を行った.生徒たちは,測定に対する誤差を少なくするために,実験の精度を上げることや,多数回の実験を行うことに気づくことができた.

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