動脈硬化性疾患患者(狭心症24例, 心筋梗塞3例, 脳梗塞5例, 計32例)を対象として, 血小板凝集能と血小板放出物質であるβ-thromboglobulin, Platelet factor 4との関連を検討した。血小板凝集能測定条件としては比濁法を使用し, 凝集惹起物質はAdenosin diphosphate, Collagen, Epinephrineを用い最終濃度は各々2.9×10^<-6>M, 3μg/ml, 1μg/mlとし, Stirrerの回転数は1, 000回転とした。血小板放出物質は各々RIA kitを用い測定した。また, 同時に血清総コレステロール, トリグリセライド, HDL-コレステロールの測定を行ない, 血小板凝集能, 血小板放出物質との関連も検討して以下の結果を得た。1)血小板凝集能は, いずれの凝集惹起物質においても加齢, 性別による差は示さなかった。各凝集惹起物質相互間の関連は, ADP凝集とCollagen凝集, ADP凝集とEpinephrine凝集との間でそれぞれr=0.48 p<0.05, r=0.45 p<0.05と有意な正相関を認めた。2)β-thromboglobulin, Platelet factor 4ともに加齢, 性別による差は認められなかった。β-thromboglobulinとPlatelet factor 4相互間の関連はr=0.71 p<0.001ときわめて有意な正相関を認めた。3)血小板凝集能と血小板放出物質との関連はEpinephrine凝集, Platelet factor 4とにr=0.49 p<0.05と有意な正相関を認めた以外は, いずれの凝集惹起物質においても相関を示さなかった。また, 血清各脂質との関連は, いずれの凝集惹起物質における血小板凝集能, 血小板放出物質とも有意な相関を示さなかった。
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