杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
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40 巻, 1 号
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総説
  • 下島 裕美, 蒲生 忍
    2009 年 40 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/11
    ジャーナル フリー
    本稿では,ワシントン大学のマコーミック博士が杏林大学において実施したGuided Death Experienceという課題を紹介する。GDEはワシントン州の大学や病院,ホスピス等で広く実施されている課題である。まず五色のカードを5枚ずつ計25枚用意し,1枚のカードに1つずつ「大切なもの」「大切な人」「大切な場所」「大切な目標」「普段大切にしている出来事」を記入する。そして「あなた」が死にゆく物語を聞きながら大切なものが記されたカードを投げることにより,死にゆく過程における喪失を疑似体験するものである。本稿では,これまでとは異なる時間的展望への気づき,本当に大切なものへの気づき,他者との関係性の中に織り込まれた自己への気づきという視点からGDEのデス・エデュケーションとしての可能性を考察する。医療系の専門教育においては,死にゆく過程における患者やその家族へのサポート意識の高まりとともに,燃え尽き症候群から医療関係者の心を守るという役割も期待される。
原著
  • 山本 靖紀
    2009 年 40 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/11
    ジャーナル フリー
    神経根性疼痛の治療法として,硬膜外ブロックは,確立された治療法であるがその作用機序は,未だに不明な点が多い。本研究では,下肢痛の治療に頻用されている仙骨硬膜外ブロックの作用機序の解明を目的とした。
    実験では,SDラット33匹を用いて,L4,L5後根神経節圧迫モデルを作製したところ,21匹のモデルラットにおいて下肢の自発痛の存在を示唆する疼痛行動が観察された。これらラットのすべてで,感覚受容器との連続を離断した腓腹神経から自発放電が記録された。さらに単離できた21個の神経での自発放電は,硬膜外腔へのlidocaine 1500μgの投与により,すべてが抑制された。この結果から,神経根性疼痛に対する仙骨硬膜外ブロックの作用は,後根神経節細胞体に由来の発火現象を抑制することにより,疼痛抑制に関与していると考えられた。
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