兵庫県西宮市の都市域において、衛星データの分析に基づく生態的ネットワークの構築手法を提案した。目標とする生物としては、樹林を生息地とする鳥類とした。用いた衛星データは、2003年6月撮影のSPOT4号のデータであった。衛星データから植生指数 (NDVI) を算出し、緑被地を抽出した。さらに、空中写真と現地踏査により、高木によって構成される緑被地を抜き出した。この結果を基に、保全・再生・創造の3つの視点から生態的ネットワーク計画図を作成した。その結果、対象地北西部に核となる樹林地が存在し、その周辺と武庫川沿いには、ある程度樹林地のネットワークが存在すること、南東部には緑被率が非常に低いことが明らかになった。
生物生息地の評価は,当該地域の景観の評価という側面をもつ点に注目し,景観を規定する構造・組成・動態の観点から生息環境評価地図を作成するための一手法を提示した。この生息環境評価地図は、対象種の生息に影響する諸変数を生息地の構造・組成・動態の3カテゴリー別に分類し,カテゴリーごとに生息適正度別にランク区分した地図を作成した後,それら3枚をオーバレイするという手順により作成される。「どこが,どのような要因(構造・組成・動態)で,どの程度(ランクⅠ・Ⅱ・Ⅲ)適しているか(又は適していないか)」を示した生息環境評価地図は,生息地保全計画を策定するための有益な判断材料となると考える。
本論文の目的は、市民参加のしくみを規定したまちづくり条例の実態を把握し、課題を整理することにある。神奈川県の市町村におけるまちづくり条例を対象として、条例のレビューによる要素分析、自治体へのヒアリング調査をもとに考察をおこなった。その結果、条例は規制するための「ルール」から、住民が参加するための「ツール」としての役割が大きくなってきている傾向があり、今後は、ワークショップなどの積極的参加や様々な市民団体による支援によるまちづくり意識の底上げ及び計画の担保性を高めるしくみづくりが必要であることが示された。
本稿は,都市計画業務でのGISの普及動向について地方公共団体に行ったアンケート調査を基にした,基礎自治体の都市計画部局における地形図整備とGIS の利活用動向についての報告である.まず,地形図の整備状況について,紙媒体での整備状況とGIS地形図の整備状況の分析を行った.次に,GISを導入している基礎自治体での都市計画関連調査の結果のGIS上での活用動向についての分析を行った.
本稿は、京都市で行われた住民参加型の小広場改修事業について、整備目標と基本計画の関係を検討した前回報告に引き続くもので、基本計画のデザインが施工段階でどのように変化したかを整理し、施工への参加(手づくり作業)がどのような影響をデザインの変化に与えたかを考察することを目的とした。各広場のデザイン要素の基本計画から改修後への変化のパターンを比較した結果、(1)基本計画と比べ、手づくり感やそれによる独自性が重視されたこと(2)手づくり作業を促進する中で、計画の詳細さによって、基本計画に対する実行性と「逸脱」の大小が生まれたこと(3)住民参加のデザイン形成においては、参加者の意欲を考慮して、基本計画の実行性とともに、施工段階での「逸脱」も重視する視点を持つべきことを結論づけた。
公園は重要な公共施設であるが、その存在が住民の不安要因となるケースが見られる。住宅等と比較しても公園の防犯対策は立ち遅れていると言える。本報告では、環境東京都板橋区に寄せられた公園行政に関する苦情1734件を分析し、犯罪不安の視点からみた改善のあり方を提案した。結論として、苦情への対応の際に防犯性を付与すること、公園行政担当課と警察・学校との連絡体制を整備することの2点を提案した。前者について具体的には、苦情対応時に防犯性を強化するためのマニュアル作り、バンダリズムへの住民による早期対応、住民公園管理グループ対する防犯についての啓発活動などを挙げた。
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