都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
21 巻, 2 号
都市計画報告集
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
  • “サイクルナガサキ”を目指して
    近藤 隆二郎
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    長崎県は、国内で最も自転車保有率が低い県である。本研究は、長崎県および南島原市、大村市、五島市、新上五島町における自転車活用促進計画について現地調査とヒアリング調査をおこなってまとめたものである。5つの自転車活用促進計画において、住民アンケートを実施したのは1つだけであった。すべての計画を策定する時には、市民参加的な要素は見られなかった。行政の道路課主体で簡易にまとめて作成した傾向が見られた。今後の自転車政策の推進には、行政担当課の横断的な連携が必要である。また、市民セクターの育成、関係者のネットワーク、長崎ならではの自転車のコンセプトの必要性を提言した。

  • 専門職員数と発掘調査件数の関係から
    今津 海
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 96-97
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    本研究では、各都道府県における埋蔵文化財保護行政の現状把握の一環として、発掘調査件数と埋蔵文化財専門職員数の相関分析を実施した。その結果、両者の間に有意な正の相関があることが明らかとなった。この分析結果を踏まえながら、埋蔵文化財専門職員の適正な人員配置と新規人材の育成が急務であることを指摘した。

  • 「都市経営論」と「地域経営論」の比較検討
    今津 海, 大西 春樹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    本研究は、『「都市経営論」の学問的意義に関する基礎的研究』の第2報である。前稿では、各種先行研究を概観しながら、「都市経営論」の基本目標や特性などを導出した。本稿においては、「都市経営論」の類似概念の一つである「地域経営論」を取り上げ、その概要を整理した上で、「都市経営論」と「地域経営論」の関係性について検討することを目的としている。検討の結果として、「都市経営論」と「地域経営論」の間には多くの共通点が見出せる一方で、両論が対象としている空間的領域には大きな差異があることが示唆された。

  • 重信川の霞堤3例に対する現地踏査報告
    村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 102-106
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    不連続な2線の堤防すなわち霞堤の間にある公園緑地は,まちと川との間の空間の連続性を創出すると予想される。既報では,まちから川に対する可視性と接近容易性について現地踏査が行われたが,明確な特徴は認められず,むしろ,それらを低下させる地形や樹林,隣地や建物の存在が確認された。一方,まちから川に対する可視性と接近容易性を検証するにとどまらず,2線の堤防やその切れ目が成す空間や景観にも着目することが課題として示された。本稿は,その課題を検証すべく重信川の3箇所を踏査した結果の報告である。踏査の結果,以下のことが判明した。1)まちから川に対する可視性と接近容易性を低下させる要因については,既報と同様のことが確認された。2)堤防による囲繞性や堤防端部の現れという空間的特徴が新たに把握された。

  • 「両河内ロゲイニング」(2017年~2021年)の事例
    今津 海, 水上 泰章, 久米 歩
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    今日、屋外アクティビティイベントを活用した地域活性化の取り組みが各地で実施されている。本稿は、静岡市清水区両河内地区における「両河内ロゲイニング」事業を通して、屋外アクティビティイベントによる地域づくりの成果と課題について考察することを目的としている。結果として、当該事業の成果の一つとしては、地域連携の強化などが挙げられる一方で、客観的データに基づく効果測定が不十分であることが大きな課題として示唆された。

  • 福岡市を対象として
    石橋 健斗, 黒瀬 武史
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    公共施設整備の投資効果や地域コミュニティの持続といった観点から、校区の人口バランスを安定したものにすることが望ましい。そこで、本研究の目的は、戦後一貫して安定した人口増加を経験してきた福岡市を対象に、小学校児童数の動態と住宅供給の関係に着目し、児童数の安定化や不安定化の要因を明らかにすることである。校区を住宅供給に関する指標を用いて類型化し、類型毎に児童数の動態を分析した結果、大規模な公的団地や市公社分譲住宅の供給、土地区画整理事業が児童数の大幅な増減に関係することが明らかになった。また、ケーススタディの結果、大規模な面的開発や公的団地の供給がなく、小規模な開発による市街地の変容が時間をかけて進行した校区で児童数の変動が少なかったことが明らかになった。

  • 防災まちづくりに関わる事例を対象に
    坂巻 哲, 藤本 一雄
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 119-121
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    本研究では,災害危機管理にある防災性と都市空間の計画性との両立を図る水災害対応空間のデザイン手法の基礎資料を得ることを目的に,先人の知恵・教訓として,長い年月をかけて形成された浸水を防ぐ水災害対応空間の事例を収集し,考察を行った。その結果,水災害対策に関わる「輪中堤」「横提」「防災林」「畳堤」について確認でき,水災害対応空間のデザイン手法の基礎資料となる①多重防御型,②生態(植生)活用型,③臨時組立型の3つの防御形態に分類することができた。

  • 料金の概算と受容可能性
    川合 春平, 武田 陸, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 122-129
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    近年、地方部を中心に人口減少やモータリゼーションによる地域公共交通の縮小が問題となっている。衰退する地域公共交通を国や自治体の補助で維持をする例も多いが限界がある。こうした地域公共交通を社会全体で維持していく場合に、市民が定額を払うことでサービスを利用・維持するサブスクリプション形平準化運賃制度の検討が重要であると考えられる。そこで本研究では地域公共交通の維持管理費を市民が負担することで地域公共交通が乗り放題となる仕組みの実現可能性を検討した。その結果、一人当たり約5万円の負担で全国の地域公共交通が維持できることが明らかとなり、市民の多くが受容できるような負担で平準化運賃制度を実現できることが示された。

  • 1991年資源管理法を中心として
    小松 俊也, 真鍋 陸太郎, 村山 顕人
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 130-133
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ニュージーランドの都市農村計画の中心的な根拠法である1991年資源管理法は、環境保全を重視した先進的な法律と評価されてきたが、現在、ニュージーランド政府によって同法の廃止と新法の制定に向けた動きが進められている。本研究の目的は、資源管理法が制定された背景とその特徴、これまでの法改正を明らかにすることである。資源管理法は、新自由主義的な思想に基づくニュー・パブリック・マネジメントと、国際的な環境意識の高揚を背景に制定されているため、土地利用による環境への悪影響を軽減することに重点を置いている。しかし、約30年にわたる運用の後半では、同法が十分に機能していないという認識の下、複雑性の解消や都市開発の効率化のために、様々な改正が行われてきた。

  • 近藤 隆二郎, 中村 友子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究で扱う未来予想絵図とは,参加者の将来像を集約して絵図にするというまちづくりワークショップの手法の一つである.この研究では,未来予想絵図に用いられている絵画的な表現や,他の絵図との比較を通して未来予想絵図の特徴,未来予想絵図が課題の共有や情報交換に役立つということ,将来像をイメージしやすくするということを明らかにした.また未来予想絵図の表現にも限界があるということを,文書のまちづくり計画書とを比較するアンケート調査によって明らかにした.その結果,未来予想絵図は文書でのまちづくり計画書とセットで作成されることにより,まちづくり計画書の内容をよりわかりやすくするという効果があるということ,また未来予想絵図は,文章では表現しにくい抽象的なものを表現できるとわかった.

  • 東京都西部(八王子市)を流れる浅川流域を対象として
    西浦 定継, 小林 利夫, 山本 圭人, 藤村 和正
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、雨量を1kmメッシュレベルで推計し、各々のメッシュ内の土地利用を変更することにより、どれだけの流出量を減じることができるか検証することである。対象とする河川は東京都西部(主に八王子市)を流れる浅川流域とする。用いるデータは、東京都水防災総合システムのポイント観測データある。雨量推計手法として、空間統計解析手法であるSPDEとINLAである。3つのシナリオに基づき推計したところ、全体で数%程度の流出抑制が達成できることをあきらかにした。もし、この程度では想定外の豪雨には不十分という判断に基づけば、はやり、都市計画的アプローチとしては安全な高台への移転、河川管理的アプローチとしては河川改修などの土木工事が必要であろう。確かに土地利用計画と連動した治水対策は重要であるが、短期に差し迫る災害に対しては、治水施設整備などの構造物対策が求められる。長期と短期に分けた戦略的な対応と、広域計画に基づく自治体および関係機関の連携の重要性を、改めて強調しておきたい。

  • 長野県小布施町都住地区を対象地域として
    森田 洋史, 新 雄太, 菊地 穂澄, 衣笠 匠斗, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、1) 農家と住宅が混在する地域において、農業振興地域制度と土地利用に着目し、農地を隣接環境別に類型化すること、2) 隣接環境の類型別の耕作状況を比較することである。その結果、次のような結論が得られた。1) 農振農用地である青地は集塊する傾向がみられた一方で、農用地区域外農地にあたる白地は農地と住宅の中間的な地域として存在していた。2) 隣接環境の類型によって耕作状況は異なり、農地に囲まれた青地・白地は耕作されやすいのに対し、非農地に隣接する白地や道路に面した青地は耕作が行われにくい傾向にある。

  • つくば市周辺市街地振興における地域運営組織と外部人材との協働支援を事例として
    吉岡 誠生, 山本 幸子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本報告では,市町村合併により生じた旧市街地の振興における行政支援の手法を明らかにするために,地域運営組織と外部人材の協働による地域振興を行なっているつくば市周辺市街地振興を事例に報告を行う。つくば市においては,行政が地域運営組織の発足支援としてまちづくり勉強会の開催などを段階的に行うとともに,外部人材の呼び込みのためにアイデアコンペを開催した。支援の成果を分析するために,8つの市街地の類型化を行うとともに呼び込まれた外部人材の属性を分類し,協働の継続状況を比較した。結果として,市内の都市部から呼び込まれた外部人材は遠方からの外部人材に比べて協働が継続することが分かった。また,地域運営組織の活動が継続段階にある市街地では協働が継続していることが分かった。

  • 福島県会津地方を対象として
    佐野 拓海, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 160-162
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本酒の年間消費量と製造免許の数は減少傾向にあります。そうなると、酒蔵(酒蔵)の地域性が失われてしまう可能性があります。一方で近年、酒蔵建築物を観光地として活用する動きも見られ、地域の活性化につながっています。したがって、全国に残る酒蔵の状況や酒蔵建築の活用実態を総合的に把握する必要がある。これまでの研究では、新潟県の調査を行ってきました。福島県会津地方の酒蔵建築を調査した結果について述べた。

  • 地域に対する主観的な認識の把握を中心に
    楊 心苡
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    地域問題の解決に向けて、地域性を活か一つの戦略は地域ブランディングである。地域研究やマーケティング戦略など、様々な分野で地域の個性の重要性が注目される中、地域活性化のためには、場所の発見と管理のための効果的な手法が必要であると推測される。本稿は、日本の地域ブランディングの概念及び場所ブランディングの概念における場所に対する住民主観的な観点の探求に着目する。その上、住民の主観的な意味を探ることの必要性を認識し、住民の主観的意味をさらに掘り下げ、地域活性化に新たな視点と可能性を提供するビジュアルエスノグラフィーに基づくコンセプトモデルを提案する。

  • 誘導方針と目指すべき都市構造・誘導区域の対応関係に着目して
    成澤 拓実, 鳥井原 遼, 塩崎 洸, 浅見 泰司
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では、立地適正化計画における誘導方針と目指す都市構造・誘導区域との関係を明らかにするため、自然言語処理によるクラスタリングで誘導方針を分類し、各タイプの特徴を分析した。誘導方針は、駅中心型、非鉄道ネットワーク型、特殊型の3種類に分類された。駅中心型は、広い居住誘導区域を設定し、最大の拠点に都市機能を集中させる傾向があった。非鉄道ネットワーク型は、都市圏をつなぐ全体像を描き、居住誘導区域の範囲を狭め、多核的な都市構造を形成する傾向がある。

  • 馬場 美智子, 近藤 民代, 藤井 諒平
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2018年7月に西日本を襲った豪雨によって、倉敷市真備町は大きな被害を受けた。災害後、被害を発生させた河川の改修工事が行われており、工事完了後は水害リスクが軽減されるが、それで水害リスクが全くなくなるわけではなく、被災地に住み続けるならば、耐水化して住宅を再建するなどの対策が望ましい。住宅再建が終盤に差し掛かってきた2021 年秋に、真備地区で被災した住民に対して質問紙を配布し、住宅再建において水害リスクをどのように認知し、住宅の耐水化等に取り組んだかを調査した。調査結果として、約20%が住宅を耐水化して再建したことがわかった。実施しなかった理由としては、治水工事が完了すれば再び浸水することはないからが最も多かった。

  • 公示地価の動向と不動産鑑定コメントに着目して
    大森 文彦, 熊越 祐介
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症流行の下で,東京都市圏の住民のライフスタイルがどのように変化を受けたか推定することである。この目的のために、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の公示地価の動向をGIS(地理情報システム)でプロットし、公示地価に付属する不動産鑑定コメントをテキストマイニングツールを用いて要約した。その結果、一部の郊外住宅地への高評価、ネット通販の拡大による物流拠点の需要増加、住宅地周辺での生活サービスの需要増加などの傾向が明らかになった。今後は、テキストマイニングの精度向上、他の不動産定量指標とのクロス分析、経年変化の継続的な観察などの研究が求められる。

  • 樋口 駿, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 183-190
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は狭小地・未接道地や低未利用地の解消の手段である隣地統合を自治体等が費用支援する隣地統合事業に着目した。自治体等の事業実績や推進に向けての取組、隣地統合による建物更新の実態を明らかにすることを目的とした。14自治体等へのアンケート調査の結果から、隣地統合時の建物の除却・建替の要件が実績に関係していることが分かった。事業の周知に向けて、統合時に建物の除却・建替を要件に課していない自治体等は不動産事業者やNPOとの連携を、統合時に建物除却を要件に課している自治体はそれに加え、空き家解消を目的に納税通知書への事業紹介資料の同封を行っている。個別事例5件中、隣地統合により建築可能な最低敷地面積を満たした土地は4件みられ、その内の2件で耐火建築物等又は準耐火建造物への建替えが行われた。

  • 柴田 峻, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 191-196
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、個別の支援策として活用されている宅地ごとの浸水対策助成制度の利用実態と問題点を把握することを目的としている。22の市区町村を対象にアンケート調査を実施した。その結果、助成制度は導入当初は有効であるが時間の経過とともに利用者数が減少していることが明らかとなった。これは宅地の建て替えや嵩上げに多額の費用を要する為である。また、自治体では雨水排水施設等の整備を抜本的な対策として位置づけているがこれらの対策には莫大な時間と費用を要する。そのため、水害の実績のない浸水想定区域では自治体も住民も浸水リスクに対する対策を実施しないと考えられる。助成制度を利用する住民は限られているが、精密機器を扱う事業者など助成制度の利用が想定される対象に対して、自治体は助成制度を普及させるべきだと考える。

  • 広域多核都市・福島県いわき市を対象として
    齊藤 充弘, 佐藤 凌真
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 197-203
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    本研究は,若者の流出がより深刻である福島県いわき市を対象として,中高生のまちに対する意識と日常生活行動の実態を明らかにすることを目的とするものである。アンケート調査の実施と分析の結果,中高生は日常の買い物をする場や休憩をしたりボール遊びをしたりすることができる公園や運動施設などが身近に不足していると評価している。買い物については主要な拠点の中高生は自地区内で,周辺拠点の中高生は近隣の主要拠点で行動していること,遊びの主な行動先は都心拠点と広域拠点が中心となっており,高校生は公共交通機関が繋がる拠点のほうを利用していることがわかった。また,「ずっと住み続けたい」という評価は就業者と比較すると回答割合が低く,条件次第で住み続けたいという回答割合が高いため,不足していると評価する施設等の整備が居住地区内や公共交通機関でアクセスできる地区に必要である。さらに,「ずっと住み続けたい」という居住意向が高いほど「住みやすい」と評価しており,「住みやすい」というまちの評価が高いほど市内の施設を利用する傾向にあるため,地区単位での身近な生活環境整備を積み重ねていく必要がある。

  • 安藤 慎悟, ゴルブチェンコ スタニスラワ, 久米山 幹太, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 204-211
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    我が国では人口減少が進み、地方では担い手不足が深刻な課題である。そうした中、近年は観光以上移住未満とも呼ばれる「関係人口」が注目され、2017年には政策導入された。その後各省庁で議論が行われ、現在は多くの自治体で関係人口創出を狙う取り組みがみられる。今後も関係人口創出への期待が高まる中、本研究では、関係人口を取り扱う中央省庁の審議会等の整理を行い、その資料を元に地域と関わる上での阻害要素別に関係人口創出策を整理した。その結果、7つの審議会等に関して概ね省庁間で連動して議論が進められてきた実態が読み取れた。また、時間や体力的な負担の軽減、家族や同行者の理解を得るための具体的な取り組みが少ないことが明らかとなった。

  • 山本 聡志, 小早川 悟, 田部井 優也
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 212-217
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    東京都駐車場条例が改正され、駐車施設整備の地域ルールが適用できるようになった。しかし、小規模な建築物は附置義務の対象外とされているため、駐車施設が不足している地区が発生している。本研究では、東京都駐車場条例を概観し、建築物の規模別に制度の問題点を整理した。また、小規模建築物が多い地区と、大規模建築物と小規模建築物が混在する地区について、附置義務対象外で考慮されていなかった建築物を含め、駐車施設の整備台数を算出した。その結果、小規模な建築物が多い地区では、現在の算出方法では対応できないことや、十分な駐車場が確保できない可能性があることが明らかになった。

  • 湊本 早紀, 宮川 智子, 佐久間 康富
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 218-221
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    歴史的な町並みが残る地域では、人口減少に伴い空き家や空き地が増加傾向にあり、景観への影響や変化を与える可能性がある。1250年の歴史を有する和歌山市の紀三井寺の地域でも同様に人口減少に伴い空き家や空き地が増加傾向にある。本研究の目的は、紀三井寺地区における空き家や空き地について現地調査とともに地図による変遷から現状を把握することである。結果から、空き家の割合は全国平均よりも高い19.1%であることがわかった。また、これらは名水で知られる名草山周辺の東側に集中して立地していることが明らかになった。

  • 東京都立猿江恩賜公園における年間調査
    高橋 和敬, 上杉 哲郎, 石綿 優大郎, 竹内 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 222-229
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    本研究は、株式会社日比谷アメニスと千葉大学との共同研究の一環として実施した、猿江恩賜公園における公園利用者の行動に関する1年間の調査について報告するものである。本調査の目的は、公園利用者の行動特性から公園の利用実態に関する基礎的な知見を得るとともに、調査方法の確立を図ることであった。その結果、平日・休日・季節によって利用者の割合や行動が異なること、年齢による利用者の行動の違い、コミュニティの醸成に寄与する利用資源の違いなどが明らかになりました。また、利用者の多い都市公園において、公園管理者が容易に利用者行動を把握・分析できる調査方法を実施した。

  • 大阪市の湾岸5区における沿岸の断面形の把握
    村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 230-234
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    気候変動時代に水とともに暮らすための沿岸空間の有り方を探る端緒として,大阪湾に面する大阪市5区を対象に,沿岸の断面形を調査した。調査の結果,以下のような特徴がわかった。①特定用途で占用され公共のアクセスが想定し難い沿岸が全体の約6割を占めている。②公共のアクセスが想定し得る約4割の沿岸のうち,約8割で水際が垂直面であり,約8割で独立壁または台形の堤防が存在し,約9割で堤防基部,堤外,傾斜面の上端に比べて堤内が同じ高さか低い。③水際,堤防,堤内の断面形の組み合わせが21通りあるものの,水際が垂直,堤防が独立壁,堤内が同じ高さか低い,という特定の組み合わせが約5割を占めている。④堤内から堤外に対する可視性や到達可能性を低めると予想される要素が,沿岸の相当部分を占めている。⑤割合は低いものの,垂直面以外の水際は水に対する接近可能性を高め,堤防の無い平坦面や傾斜面,堤防や堤外よりも高い堤内は,堤内から堤外に対する可視性や到達可能性を高めると予想される。今後,堤内から堤外に対する可視性や到達可能性,断面形の形成経緯,再編における適用の可能性,親水利用に関わる空間形態の把握を行う必要がある。

  • 大学キャンパス内建物群への適用を事例として
    萩原 和
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 235-242
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    昨今、市民参画型の景観づくり、啓発活動が徐々に積みあがりつつある。特に、歴史ある景観を保全することのみならず、土地利用の履歴を共有する視点で、景観ガイドラインの重要性が高まっている。 本論ではこうした背景を踏まえて、景観要素の抽出から景観計画づくりに至る分析フレームを提示する。具体的には、機械学習と呼ばれる手法をもとに、画像検索を通じた景観まちづくり教育への応用展開に向けた試みである。特に本研究では、近年普及している機械学習ソフトを活用し検証した。 結果として、アプリ構築に制限はあるものの、当初想定された画像判定のフレームは構築された。つまり、景観まちづくり教育における有効性についてはある程度確認されたといえる。 今後、画像解析ソフト、アプリ開発ソフトが一般市民向けに普及していく中で、今回見出された課題は改善されると思われる。今回は、大学キャンパスの建物のみの適用であったが、今後、農村集落への適用を検討したい。

  • 栗原 優佳, 岡崎 篤行, 田中 裕利子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 243-250
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    料亭とは芸妓を呼ぶ場所で、料亭は宴席以外にも冠婚葬祭や商談など日本人の生活とも密着していたが、近年では生活様式の変化などで廃業も続く。一方で、和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の伝統文化を包括的に継承する場所として料亭の価値は見直され始めている。そこで本研究は、全国約150カ所の料亭における築年数や構造などの建築的特徴及びランチやウェディングなどの運営実態を明らかにする。

  • 認定基本計画・独自基本計画の達成度評価の分析を通して
    溝口 萌, 池田 采可, 泉山 塁威, 宇於﨑 勝也
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 251-257
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    人口減少や大都市圏への人口集中により、中心市街地は衰退の一途をたどっている。一方で、中心市街地の活性化は地方都市にとって依然として課題である。そこで、本稿では、基本計画で実施された事業の分析とアンケート調査を行った。その結果、中心市街地活性化システムは、ソフト事業への支援が不十分であり、事務負担も大きいことがわかった。その充実により、自治体が制度を利用しやすくなり、継続的な賑わいを創出することができる。

  • 佐藤 栄太, 野原 卓
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 21 巻 2 号 p. 258-264
    発行日: 2022/09/09
    公開日: 2022/09/09
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    近年、全国各地で「ウォーカブルなまちづくり」が模索されているが、「ウォーカブル」という概念は広範であり、明確な方向性を見出すには至っていない。本稿では、早くから「歩行者のため」を意識してきた横浜市都心臨海部での歩行者空間整備事業に着目して、設計意図と整備手法をもとに、整備時に重視していた考え方の傾向を把握し、50年間を通じた横浜市都心臨海部での歩行者空間概念の変容を明らかにすることを目的とする。研究方法は、主に文献・Web調査により行った。その結果、対象地での歩行者空間概念は、各時期や場所ごとに重視する方向性を変容させながら、発展してきたことが分かった。

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