本研究は、福島県福島市松川町の仮設住宅に避難している飯舘村の村民を対象として、避難生活の実態および生活再建に向けた意向を明らかにすることを目的とするものである。村民は、狭くて不慣れな仮設住宅で苦しくて不安な避難生活を送っていることを明らかにし、今後は、村民の一人一人が少しでも満足できるような避難生活の支援が必要であること、除染を加速化して村民が帰還の可能性や時期などについて判断できるようにすることが必要であること、村民と行政や東電との間で意見交換がしっかりできるような風通しの良い環境づくりが必要であることを指摘した。
本研究は、全国の自然保護官事務所等の自然保護官に対するアンケート調査の結果に基づき、国立公園制度の運用実態と自然保護官の国立公園と国立公園制度に関する問題認識を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、将来像が定められている国立公園は少ないこと、多くの自然保護官は、住民等の意見反映の取り組みや住民等との協働での取り組みを充実させる必要があると認識している、来訪者の減少に伴う空き家の増加をはじめ、国立公園において何らかの問題が生じていると認識している、人口の減少や農林業の衰退により自然風景・環境が喪失されつつあることなどから、今後、国立公園の計画・規制・事業を行う上では、これまで以上に暮らしやなりわいの活性化という視点が重要になると認識していることなどを明らかにしている。
本研究では、大野市民の自転車利用特性と今後の自転車利用環境整備についての市民の要望を把握するため、アンケート調査を実施した。この結果、50%以上の市民が自転車を週1日以上利用していないことが分かった。一方、大野市の地形は自転車利用に適している。また、今後の自転車利用環境における市民の要望としては、自転車通行空間の整備などのハード施策のみではなく、交通安全教育の実施などソフト施策の実施も望んでいる。今後は大野市の自然特性や歴史特性を活かし、均衡のとれた交通環境の創出を図るとともに、歩行者、自転車、自動車が安全で安心かつ快適に市内を移動できるよう、自転車を活用した魅力的なまちづくりの形成が必要である。
現在、日本各地でスマートインターチェンジ(以下、SIC)の設置が進められている。SICとは、高速道路の本線上またはサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)等に設置されているETC専用のインターチェンジ(IC)である。これまで、全国60箇所以上ものSICが施行を終え供用に至っている。しかし、現時点でSICの設置効果についての研究や、分析手法を用いた考察を行った研究はほとんど見られない。そこで本研究では、全国各地に設置されている供用中66、事業中63、合計129の全SICを対象にアンケート調査を行い、SICの設置効果を検討することとした。そして、これらの検討結果を踏まえ、現在事業中SICの今後に左右する基礎的な資料を提供することを目的としている。
現在、大分市では大分駅やその周辺の整備計画が進行中である。中でも新県立美術館の建設は大分の活性化には欠かせない話題である。美術館の建設に伴って、そこに至るまでの道路の整備が必要不可欠と考えられるが、現状では景観向上のための整備計画は特に見られない。そこで本研究では、既存の道路を美術館へといざなうアプローチ道路として相応しいものにすることや、これらの区間を含む住民・事業所が現状・修景に関してどのような意識を持っているかを把握することを目的として、アンケート調査を中心とした種々の調査を行うことにする。
アダプト・プログラム(AP)とは、公共の場を対象とした官民協働の維持管理・清掃美化活動を行う取り組みである。本研究では大分市の幹線道路である県道22号大分大在港線の沿道にある街路樹に対し、AP導入の可能性を検討することを目的としている。対象街路の樹木は植栽から40年以上の年月が経過していることもあり、近年では落ち葉の処理の問題や根の盛り上がりに起因する苦情が多く寄せられるようになり、維持管理の必要性がうかがえる。行政と市民の協働による維持管理の在り方を提案するため、地域の住民と企業を対象にアンケート調査を実施し、対象街路に対する「愛着心」や活動に対する意識構造を把握する。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、過去の災害経験からもまさに「想定外」であり、判断・行動の遅れが大きく生死を分けた。この震災以降、地域防災の考え方の見直しが求められている。震災発生後の行政による効果的介入には数日を要するため、民間企業に共助の役割を担ってもらう事が共助の層を厚くするという意味で望ましい施策と考えられる。ゆえに本研究では巨大津波に対して、民間企業が地域コミュニティの防災活動に参加し、民間企業の防災責任者が災害発生時の地域コミュニティのリーダも兼ねることによって、高齢者や身体障害者などの災害弱者も考慮した救護活動など、民間企業の共助による地域防災への可能性を検討している。
本研究では、和田町商店街を対象として、商店街店主、地域住民へのアンケートを行い、過去の調査結果と比較することにより、和田町商店街の構造変化を捉えると共に、交流拠点として身近な商店街になることで活性化を目指した商店街がどのように変化したかを明らかにすることを目的としている。調査の結果、様々な活動を経た現在も、和田町商店街の景気は不調であること、その一方で、これからの和田町商店街を背負っていく若い世代が増えていること、また、「和田町いきいきプロジェクト」を契機に始まったべっぴんマーケットなどの活動は、現在も継続しており、商店街と地域を繋ぐ存在になっていることがわかった。「和田町タウンマネジメント協議会」とともに、商店街がこれらを有効に活用することで将来が期待できる。
本研究では、地域の持続可能性指標としてソーシャル・キャピタルを計測する際に、人や組織の結びつきを地域内外分ける必要があるのかどうかを、愛媛県内子町の環境NPOサン・ラブの取り組みによって分析した。I氏のインタビュー調査によって活動の系譜をみると、地区外とのつながりが成果を上げるのに大きな役割を果たしてきたことがわかった。この際、地域のつながり指標を地域内外に分けて分析することで持続可能な地域づくりの成功要因が明確になった。したがって、この事例から、指標を地域内外に分けて算定することの重要性が明らかになったと言える。
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