2011年10月時点における、タイの2004年津波後の復興状況を調査した。復興住宅の中には、その不平等感があることが確認できた。タイにおける復興住宅選定では、政府が決定している。政府主体のその選定が、5、6年経過した時点での住民の満足度を左右しているようである。また、タイにおける復興住宅建設には、各国政府やNGOによる支援が多く行われた。しかしながら、建設後の管理はほとんどなされておらず、竣工時の質の良し悪しが、その後の住環境に影響を与えていた。さらに復興過程の中で設置された津波避難のための各種サインも痛みが激しくなっており、その維持管理の重要性も確認できた。
我が国には大正から昭和初期にかけて建築された歴史的公共建築物が少なからず存在するが、これらの適正な評価なくしては、こうした建築物の保全を図ることは難しい。歴史的公共建築物の評価に関しては、既往研究でCVM+AHP手法を用いて評価した研究があり、同研究ではCVMを推奨しているが、今後、同じ表明選好法であるコンジョイント分析手法を用いて評価することも想定される。よって、横浜気象台庁舎をケーススタディとして、CVM+AHP手法とコンジョイント分析手法を用いた評価を行い、両手法の適格性について検証したものである。調査の結果、どちらの手法も歴史的建築物の評価手法として妥当な結果が得られた。
本研究は,イギリス,ダドリィ市がメルーヒル広域ショッピングセンターを中心市街地とした過程を紹介するものである。1995年に,ダドリィ市はメリーヒル広域ショッピングセンター拡大の計画申請を許可した。しかし,コールインにより,中央政府は1997年にその拡大計画を却下した。ダドリィ市は2005年の開発計画においてメリーヒル広域ショッピングセンターを中心市街地とすることに失敗したが,2011年に刊行されたブラックカントリーの広域開発計画において、メリーヒルセンターを中心市街地とすることに成功したダドリィ市が計画システムの枠内でメリーヒルセンターの拡大を制御できるとはいえ,伝統的タウンセンターを維持することより,ショッピングセンターの経済的利益を尊重したとみなせる。
本研究の目的は、生活の需要の段階に応じて階層的な地域拠点と交通機関が形成されたコンパクトシティにおいて、総移動コストを定式化することにある。本研究では、3次元都市モデルを想定し、この都市モデルは、2段階の地域拠点から形成されているものとし、人口密度の変化によってこれを示すモデルとする。直線距離を考慮することで、各住戸から都市域の中心に拠点にある2次拠点までの総移動コストは、積分の形で得られる。
21世紀は都市の世紀である。世界人口の半数以上がすでに都市に住み、その割合がさらに増大すると予測されている。都市は人々の生活水準を高める一方、環境に重大な影響を与えている。持続可能な都市およびその評価指標についての研究は多く発表されているが、その実践についてレビューは必ずしも多くない。本稿は世界で実践されている都市レベルの持続可能性指標をまとめ、地域に適した持続可能性指標の構築方法の研究に基礎的資料を提供することを目的とする。
東日本大震災では被災三県(宮城県、岩手県、福島県)から多くの人が県外へ避難した。今後起こりうる広域災害の際に被災していない地域が被災地域の避難者を受け入れるための備えが必要である。そこで、本報では東日本大震災における広域避難の実情を調べ、問題点や地域の特性などについて考察した結果を示し、今後の広域避難体制構築に寄与することを目的とする。
災害時の避難所の運営に関して、障害者と地域コミュニティ・専門家・行政等が協力するために、災害時のイマジネーションスキルを向上させるためのトレーニングプログラムを開発した。1)障害者が参加者・講師役など多様な役割を果たすことにより障害者の社会参加への意識の向上した2)地域コミュニティ住民の障害者へのコミュニケーション能力が向上した3)障害者の中でも社会的なつながりが薄い層の参加を促せた4)各ステイクホルダーの役割分担が具体化できた5)被災した障害者の個人的経験が、避難所のユニバーサルデザイン化の提案につながった6)多様な障害者が情報交換し社会的な議論に参加する機会が提供できた、という効果があった。
研究の対象地は、東京都武蔵野市吉祥寺である。皆さんは吉祥寺に対してはどのようなイメージを抱いているだろうか?おそらく、オシャレや人気があるといった印象を持っている人が多いのではないか。吉祥寺は、毎年、様々な雑誌で行っている「住みたいまちランキング」の上位にランクされている。本研究では吉祥寺の魅力を探った。
住環境への愛着については、日常よりもイベント性の高いもの、個々人の考えよりも人々に共有された価値を持つ場所が愛着を自覚されやすいという意見や、居住年数の長さと関連付けるものがある。しかし、一方では居住年数が長くなるほど地域の心理的つながりは強くなるかもしれないが「住みやすさ」につながるのか、居住年数の長短だけではなく、その地域を背景にしていかなる社会関係や空間構造を持ちえたのかという点の検証が必要という、居住年数の長さだけでは愛着を図れないとする意見もある。そこで本稿では伊丹市の商店街店主に対して実施した調査の結果をもとに、地域への愛着と居住年数の関連について考察する。
本研究の目的は、地域の生活を維持する観点から、郊外市街地におけるスーパーマーケット撤退の影響を定量化することにある。このため、東京都青梅市において、最寄りのスーパーマーケットの撤退による移動距離の増加と移動手段の変更を地理情報システムによって推定した。結果は次の通りである。移動距離への影響が大きい地域と、移動手段への影響の大きい地域が異なる。山間部や市街地辺縁部などスーパーマーケットの密度が低い地域では撤退による移動距離への影響が大きい。市街地では距離に関して影響は少ないが、移動手段が変化する利用者数はそれ以外より多い。
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