一般に「市町村の都市計画に関する基本方針」(以下都市マスと略す。)を策定するには、時間・お金・労働力等のコストがかかるだけでなく、策定における技術的・専門的な問題、組織体制での問題が存在する。さらに、それらの問題を解消しても策定に終始し、具体的なまちづくりに繋がらないケースも多々あるように思われる。既往研究としては、市民参加のプログラムのあり方1)やワークショップの効果と課題2)、市街地像や協議会の役割の検討3)、さらには都市マスによる地区のまちづくり活動への影響4)や都市マスと地区まちづくり活動との関係5)等の研究が行われているが、策定後の都市マスの進行管理も考慮した策定方策や策定後の推進方策、都市マス策定を契機とした地区レベルの計画の推進等について扱った研究はまだ少ない。そういった中、横浜市では、上で挙げたような問題を抱えながらも、積極的に都市マスの策定に取り組んでいる6) 7) 8)。しかも、都市マスを推進する具体的な動きが見られている。そこで、横浜市の都市マスに着目し、その方針と実態を明らかにすることにより、今後の都市マスとまちづくりの議論の一知見となることを目的とする。ただし、本研究は、昨年度作成した研究を基に一部、体裁を変えたものであり、横浜市における都市マスの策定状況を更新したものではないことは前述しておきたい。
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