都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
1 巻, 1 号
都市計画報告集
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 山本 佳世子, 水田 有夏志, 西川 真介
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    大都市圏縁辺部としての琵琶湖集水域では、急速な都市化や琵琶湖総合開発(1972-1997年)をはじめとする地域開発に伴って、土地利用改変が進み、琵琶湖の水質は悪化した。このような背景を受けて、琵琶湖総合開発計画の終了と同時に、滋賀県では琵琶湖と集水域とを一体として保全することの必要性が強く認識されるようになった。そこで2000年3月から、琵琶湖総合保全整備計画(マザーレク21計画)が開始された。この計画の目的は、水質保全、水源涵養及び自然的環境・景観保全のための各種施策を長期的な視野のもとに推進することにより、琵琶湖を21世紀の湖沼保全のモデルとすることにある。そこで本稿では、滋賀県におけるマザーレク21計画の流域単位の環境保全のための試みを紹介する。

  • 堀江 興
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 5-8
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    イタリアの首都ローマの中心部から、北北東約6.5㎞の郊外に位置するブファロッタで、広大な新都市づくりが始められている。このブファロッタには、現在のローマ市をとりまく高速環状道路が走り、一般道路にアクセスする出入口もあり、地の利を得ている所である。本開発計画のマスタープランは、1997年8~12月にかけて、ローマ市議会と首都ローマ委員会で承認されている。このブファロッタの新都市の開発理念は、広大な緑環境に恵まれ、健康的で教育・情操上豊かな人間生活が可能となるように、さらに先端的情報通信機能で世界に発信していく都市につくりあげることにある。総事業費は3兆リラである。

  • 再開発計画、都市デザイン基準、デザインガイドラインの策定事例
    宮脇 勝
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    新しい都市デザイン基準のあり方を探るため、近年都市デザイン基準を公式に採択したサンフランシスコ市ミッションベイ地区を取り上げる。研究方法は、2001年3月における現地調査、現地ヒヤリング、都市計画関連資料、都市計画委員会の決議等、市民諮問委員会の活動例を整理した。 今回明らかになった主な点は、1)審議内容が公開され、条例の制定、街区ごとの計画立案過程における市民意見の収集方法、2)条例に基づく再開発計画の内容、都市デザイン基準の内容、デザインガイドラインの内容、3)市民ワークショップにおける検討項目(人の動線、オープンスペースの配置、建物のボリューム等)、の3点であり、都市デザイン基準の普及に役立てられる。

  • クリーブランド、デンバー、ポートランド、シアトルを対象とした事例調査の報告
    村山 顕人
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    米国主要都市において長期的・包括的なダウンタウン計画が策定された1980年代は、ダウンタウン・プランニングの歴史上、最も都市空間の質が重視された時代であった。本調査の目的は、クリーブランド、デンバー、ポートランド、シアトルのダウンタウン計画の策定過程を把握し、そこで適用された計画技法の特徴を明らかにすることであった。計画策定過程は都市によって異なること、そして、そこで適用された計画技法としては、ニュースレターの配布、ワークショップ等の開催、スタジオの設置、スケッチや模型の活用といったアウトリーチ技法やグラフィック・ファシリテーション、代替計画案の作成と評価といった協議技法があることが明らかになった。

  • 平 修久
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 22-27
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都道府県では長期総合計画を最上位の計画と位置づけているが、大半の団体ではその計画期間と知事の任期がリンクしていないとともに、計画期間すべてにわたってホームページのトップページにそれを掲載していない。実際的な計画を策定するためには、将来像や目標をより現実的にすること、長期総合計画の要素である、長期構想、基本計画、実施計画についてそれぞれの必要性を見直すこと、計画を提示する対象者を洗い直すこと、計画づくり及び実施に対して知事がより積極的に関与することが必要である。

  • 平 修久, 桑野 斉
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 28-31
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    関東地方の市区町村を対象に将来人口及び人口減少に関するアンケート調査を実施したところ、人口減少が喫緊の重要課題となりつつある中で、依然として、3分の2の自治体が人口増加を望んでおり、総合計画の目標人口も強気の団体が目立った。しかし、目標人口が達成可能と判断している自治体は6分の1であり、人口減少がやがて訪れることは大半の自治体が認識している。このように、人口に関して、タテマエとホンネ、理想と現実の乖離に、自治体企画部門の職員の迷いが見られた。

  • 村上 正浩, 日高 圭一郎
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 32-36
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,東京都北区の170の自主防災組織を対象として,自主防災組織の活動状況と市街地の社会的・空間的特性の関連を整理した。具体的には,まず,自主防災組織の活動状況を表す20指標を用いて,数量化三類分析を行い,自主防災組織を5つのグループに分類した。次いで,市街地特性を表す12指標を用いて,数量化三類分析を行い,市街地を4つのグループに分類した。そして,分類した自主防災組織のグループと市街地のグループの関係を整理し,市街地特性に応じた自主防災組織の育成及び活性化のための一方策を示した。

  • 東京都中央区月島地区における地区計画と工区区分型一団地認定を併用した制度設計
    川崎 興太
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    東京都中央区月島地区は、今なお数多くの路地が残る低層高密市街地として広く知られている。しかし近年では、路地に面する多くの建築物は、接道義務規定、道路斜線制限および前面道路幅員による容積率制限等の影響により、建て替えられずに老朽化していた。 東京都中央区では、こうした背景のもとに、平成9年7月に街並み誘導型地区計画、平成14年5月に用途別容積型地区計画を都市計画決定しているが、当該地区計画では、路地に面する建築物について、工区区分型一団地認定を併用した制度設計が行われている。 本稿では、このような個性的な建て替え制度が導入される背景となった月島地区の市街地特性を分析した後、地区計画の内容を概観した上で、一団地認定との併用による路地を活かしたその仕組み等について考察している。

  • おおつ環境フォーラムを対象として
    矢次 孝史, 笹谷 康之
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    学区単位での環境パートナーシップ活動を促進する「環境パートナーシップ活動支援WebGIS」を構築した。このWebGISを用いて環境パートナーシップ組織の会員と学生がワークショップに参加することにより、会員が学生に地域情報を教え、学生が会員にIT支援を行うという協働学習の効果が表れた。これを踏まえ、アナログ地図とデジタル地図を組み合わせて、同時に活用するワークショップ手法は、学区単位での環境パートナーシップ活動促進のために有効であることを明らかにした.また環境パートナーシップ活動促進のためのIT支援のあり方、仕組みを提案した。

  • 東京都内のまちづくり公社等を中心に
    中﨑 ふじの, 高見沢 実, 内海 麻利, 弾塚 崇
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 49-53
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は市民のまちづくり活動に対する支援組織の実態に関するものであり、特に東京都内における、まちづくり公社、まちづくりセンター等に着目し、文献調査、ヒアリング調査等をもとに考察したものである。考察の結果、まちづくり公社、まちづくりセンター等外郭団体は2種類に分類できる。一つは「行政の面的整備を中心とする(それに付随した)まちづくり活動の支援」から、「市民によるまちづくり活動全体を支援することで、地域におけるまちづくりの素地づくりや意識づくり、人づくり」という業務が中心になってきていることである。もう一方は、より広範囲で自由度の高い支援を目指そうとする場合に行政と市民、行政と民間、市民と民間、という三者間での関係を担うような組織の変化が出てきていることである。

  • 荒川 和広, 秋本 福雄
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 54-57
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    港北ニュータウンの主要な部分は、日本住宅公団(現都市基盤整備公団)施行の計画面積1,316ha、計画人口22万人の土地区画整理事業である。この事業は、事業計画認可(昭和49年)から換地処分(平成8年)の22年間に、9回の事業計画変更が行われた。本研究は、この土地区画整理事業の開発プロセスを計画期、基盤整備期、上物整備期の3つに分類する。さらに各期の事業計画及び公共公益的施設、宅地開発について、公団及び横浜市、地権者の行動を解析し、土地区画整理事業の開発プロセスに影響を及ぼす要因を明らかにする。

  • 越川 譲太郎, 秋本 福雄
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 58-61
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    多摩ニュータウンは、日本最大面積規模の新住宅市街地開発事業(2225.6ha)であり、1965年12月から東京都等により開発された。当初基盤整備は新住宅市街地開発事業のみで行なわれる予定であったが、その後、既存住民の反対等により666.5haが土地区画整理事業に変更された。本研究は、土地区画整理事業に変更された区域に着目し、その変更プロセスと要因を、住民、施行者、関係市町村の行動より明らかにする。また、それら区域の施行前の特徴を地形、人口密度、鉄道・道路計画配置から、施行後の特徴を減歩率、土地利用割合から明らかにする。

  • 橋本 香代子, 一ノ瀬 友博, 美濃 伸之, 平田 富士男
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 62-65
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,大阪湾周辺地域において土砂採取等の大規模開発のあり方と今後の方向性を探るために,土砂採取地の分布と跡地利用の変化について把握し,その要因を考察した.その結果,土砂採取地の分布は広域的に広がっている傾向があり,その規模が年々大規模になっていること,都市的土地利用がなされることが多かった大都市近郊でも,経済状況の変化によって近年では未利用地が増加していること,大都市から離れた立地では開発時期に関係なく荒地・未利用地となっていることが明らかになった.またこれらの状況の中で,必ずしも法規制等が有効に機能してこなかった実態が示唆された.今後,土砂採取等の乱開発の防止と跡地の適正化を図るために,地方自治体の枠を超えた広域的な規制や計画が必要不可欠であると考える.

  • 米国での取組を事例として
    佐藤 孝之, 小林 英嗣, 瀬戸口 剛
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 66-69
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人口減少社会を迎え、成熟社会へと移行している現在、都市には今までのストックを維持・管理する新たな論理が必要となっている。しかし、コミュニティがそれぞれの地域特性を踏まえ、個別の目標を設定し評価するプログラムは確立されておらず、地域が担うべき役割は不明瞭なままである。そこで本論では、地域社会単位の社会的環境計画要素に対する目標像の共有化プログラムを、地域個別の目標像設定とその実現化の仕組みと捉え①コミュニティの位置づけと役割、②コミュニティと他主体の関係を考察し、目標像共有化プログラムを検討することを目的とする。

  • 加藤 孝明
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 70-73
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    産官学の共同研究の速報.GISを基盤技術とした「防災まちづくり支援システム」の開発状況について報告する.行政の「防災まちづくり共同研究推進会議」,民間企業の「防災まちづくり」,これに学識経験者が加わって開発をすすめている.このシステムは防災まちづくりの基本計画策定支援と合意形成の支援を目的としている.

  • 千葉県市川市での試み
    加藤 孝明, 神谷 秀美, 程 洪, ヤルコン ユスフ
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 74-77
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在,市川市では,地震被害想定機能と計画支援機能からなる地域防災計画策定支援システムの構築と,横割り的に市役所職員が参加する庁内ワークショップを進めながら,地域防災計画の見直し作業をすすめている.この方法を数十万人規模の自治体における地域防災計画の効果的な策定方法と位置づけている.職員教育,部局間の連携,事前計画の最適化と応急対応の効率化を目指すものである.

  • 都市計画法典(2001), ヴォアネ法(1999), シュベヌマン法(1999), SRU法(2000)の関連性に着目して
    河原田 千鶴子, 宮脇 勝
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 78-83
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    この研究の一つ目の目的は、ヴォアネ法、シュベヌマン法、SRU法の関係を報告することである。近年、フランスで制定された、これらの法律は、1992年、リオ・デ・ジャネイロの地球サミットで宣言された「持続可能な開発」の概念に基づいている。二つ目の目的は、SRU法が定義する都市計画文書についての報告である。この都市計画文書は「まとまりのある広域計画SCOT」、「都市計画ローカルプランPLU」、「市町村図la carte communale」となっている。SRU法はヴォアネ法とシュベヌマン法の延長上にあり、都市政策を具体化するものである。また、これらの都市計画文書は市町村の主導のもと広域で行われるものである。

  • 中村 仁俊, 高見沢 実, 弾塚 崇
    原稿種別: 研究論文
    2003 年1 巻1 号 p. 84-87
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2022/09/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    一般に「市町村の都市計画に関する基本方針」(以下都市マスと略す。)を策定するには、時間・お金・労働力等のコストがかかるだけでなく、策定における技術的・専門的な問題、組織体制での問題が存在する。さらに、それらの問題を解消しても策定に終始し、具体的なまちづくりに繋がらないケースも多々あるように思われる。既往研究としては、市民参加のプログラムのあり方1)やワークショップの効果と課題2)、市街地像や協議会の役割の検討3)、さらには都市マスによる地区のまちづくり活動への影響4)や都市マスと地区まちづくり活動との関係5)等の研究が行われているが、策定後の都市マスの進行管理も考慮した策定方策や策定後の推進方策、都市マス策定を契機とした地区レベルの計画の推進等について扱った研究はまだ少ない。そういった中、横浜市では、上で挙げたような問題を抱えながらも、積極的に都市マスの策定に取り組んでいる6) 7) 8)。しかも、都市マスを推進する具体的な動きが見られている。そこで、横浜市の都市マスに着目し、その方針と実態を明らかにすることにより、今後の都市マスとまちづくりの議論の一知見となることを目的とする。ただし、本研究は、昨年度作成した研究を基に一部、体裁を変えたものであり、横浜市における都市マスの策定状況を更新したものではないことは前述しておきたい。

feedback
Top