都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
19 巻, 3 号
都市計画報告集
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 東京向島の三業建築を中心として
    棚橋 結花, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 290-293
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    花街は日本の文化をソフト・ハード両面から包括的に継承している稀有な場であり、近年ではその価値が再評価されつつある。向嶋花街は芸妓数が東京の花街において最多であり、東京大空襲を逃れた昭和初期の料亭が現存している。本研究では向嶋花街を対象に関東大震災以前の1921年頃、戦前であり最盛期の1935年頃、戦後直後の1953年頃、衰退過程の1968年頃、現時点の2019年の5時点での花街建築の業種毎の分布とその変遷を明らかにする。主な結論としては、1)花街建築の集積する場所は1921年頃から変化していないこと、2)昭和後期以降に料亭の営業形態が茶屋型から料理屋型中心に変化したこと、3)向嶋花街では現在、他の東京の花街と異なり、昭和後期以降に新しく組合に加盟した料亭が多いことが挙げられる。

  • 白井 正樹, 笹野 耕平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 294-296
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、栃木県宇都宮市の架空送電線におけるカラスの飛来パターンを、2018年11月から12月にかけて観測した。送電線に留まるカラスの個体数は日没30分後に最も多く、その後カラスがねぐら入りしたために個体数は減少した。また、日没から1時間後でも100個体以上が送電線上に留まり続けていることから、カラスにとって送電線はねぐら入り前の集合場所としてだけでなく、ねぐらとしての機能も有していると考えられた。加えて、送電線下ではカラスによるフン害が観察された。

  • 世界遺産平泉の拡張登録構成資産:骨寺村荘園遺跡に位置する若神子亭を事例として
    浅野 亮平, 岡村 祐
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 297-304
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    本研究は、世界遺産活動を行ううえで地域住民や世界遺産ガイダンス施設が担う役割の多くが共通していることに着目し、両者が関わることで世界遺産活動にどのような影響が生じているのかを明らかにしたものである。本研究では、世界遺産:平泉の暫定リストに登録されている骨寺村荘園遺跡のガイダンス施設である若神子亭を調査対象地として扱い、その運営主体である住民組織へのヒアリング調査や文献調査を行った。その結果若神子亭では、住民組織がガイダンス施設に施設運営として参画することで、骨寺村荘園遺跡と世界遺産:平泉との歴史的つながりなどの「無形の価値の可視化」という点において世界遺産活動に良好な影響を与えることが明らかとなった。

  • 今村 洋一
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 305-310
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    本研究の目的は、『東京都下における旧軍用地並に旧軍用地建物調査』から作成したデータベースを用い、30ha以上の大規模旧軍用地と30,000m2以上の延床面積を有する大規模旧軍建物を対象として、1948年当時の使用状況を明らかにすることである。進駐軍が使用していない旧軍用地や旧軍建物も比較的あり、それらは農地として使用されていたほか、主に、学校、住宅、産業用途、研究所として使用されていた。日本側による使用の特徴としては、同一旧軍用地、旧軍建物において、使用用途が混在している場合が多い点、旧軍の学校や研究所は建物用途が継承されていた点が指摘できる。また、未使用の旧軍用地、旧軍建物は限られていた。

  • 緊急事態宣言前後3断面でのダイアリーデータを用いて
    武田 陸, 小松﨑 諒子, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 311-317
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    COVID-19の感染拡大により,人々は生活行動を大きく変化させてきた.そのような生活変化には,弾力性があり,その弾力性を捉えることがポストコロナの都市を考える上で重要となると考えられる.そこで本研究では,一日のある活動を行う時間帯に着目してCOVID-19流行前,緊急事態宣言中,解除後の3断面における生活行動の変化の弾力性について把握を行った.その結果,1)鉄道による移動が減少し,自動車による移動は増加している傾向がみられたこと,2)就業時間帯には変化があまり見られなかったこと,3)在宅勤務の増加により,仕事の合間に家事や育児などが行われていた可能性があることが明らかとなった.

  • 東京都の7つの公園を対象に
    ウォンダラ ハルシット, 鈴木 茜, 竹中 大貴, 磯部 裕汰, 岡本 亮太, 松坂 大和, 真野 知也, 三木 裕子, 山崎 嵩拓, 泉山 ...
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 318-323
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    2020年、COVID-19流行時に生活行動が制限されている中、都市公園は運動や休息する場所として利用することができた。しかし、一部の公園では、密集状態を避けるために遊具などのパークコンテンツを封鎖する対応がとられていた。感染症蔓延の状況下において公園利用を継続するためには、公園内の密集防止措置を講じる必要がある。本研究は東京都内の7か所の公園を対象に、パークコンテンツに着目して利用実態及び密集状況を把握した。その結果として、遊具および観覧を伴う広場では密集度が高い傾向が示された。それを踏まえた密集を防ぎながら公園利用を可能とする方策を考察した。

  • 中野 卓, 木内 望
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 324-329
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    我が国では昨今、集中豪雨等の影響で河川水害が頻発しており、水害に強いまちづくりのあり方が模索されている。こうした検討の参考情報として、本稿では、本邦の水害事例が網羅的に整理された唯一の統計資料である水害統計調査のうち、26年間分の基本表データを用いて、過去の河川水害による家屋・市街地等被害の傾向を分析し、その特徴を明らかにした。分析の結果、大都市では内水被害が中心で、地方都市では外水被害が中心であること、さらに建物被害の約8割が床上50cm未満の浸水被害であり、建築的工夫で水害に対応可能な被害程度であることが明らかになった。

  • 高蔵寺NTのモビリティ・ブレンドの実証実験を通じて
    大野 沙知子, 稲葉 久之, 金森 亮, 森川 高行
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 330-337
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    本研究の目的は、新しいモビリティサービスの地域的な実装に向けて,地域住民の利用意向のプロセスを明らかにすることです。 特に本稿では、新たなモビリティサービスとしてのモビリティ・ブレンドの日常利用につながる要素とプロセスに焦点を当てます。 この目的のために、高蔵寺NTでの3つの社会実験の利用者へのインタビュー調査を実施しました。 分析にはグラウンデッドセオリーアプローチ(GTA)が用いました。 GTAの結果、利用に関連する7つの要素が抽出されました。 そして、GTAのカテゴリー関連の統合図によって、7つの要素から3つのプロセスを示しました。

  • 東京都墨田区たもんじ交流農園の事例から
    新保 奈穂美
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 338-340
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    空き地の農的利用はその様々な機能から、有望な土地活用方法のひとつである。こうした住民主体の緑地管理は、予算やアイデアの不足に直面している自治体にも利点がある。ただし都市の農は形態が多様であり、各事例に適したガバナンスを見つけることは難しい。そのため、関係者が適当なモデルを見つけるために、事例調査の蓄積が必要である。本稿は、東京都墨田区の空き地にNPO法人が開設したコミュニティガーデンの設立経緯と運営方法に関する調査結果を報告する。インタビューと資料調査の結果、人の交流を生み出すため伝統野菜を育てる農園が開設され、自治体の補助金を受けるためにNPO法人格を取得したことがわかった。また、NPO法人格は固定資産税の問題の解決にも役立つ可能性がある。このように、NPO法人はコミュニティガーデン運営の経済的安定性の面で利点があると考えられる。

  • コロナ道路占用許可を活用した「上野・湯島ガイトウスタンド&テラス」
    植田 啓太, 河崎 篤史, 永野 真義, 中島 直人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻3 号 p. 341-345
    発行日: 2020/12/04
    公開日: 2022/06/08
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    東京都心の歓楽街である仲町通りには老舗から風俗店に至るまで様々な店舗が集積し、誰もが歩きやすいと感じられる路上空間が求めらている。新型コロナウイルス感染症対策として、屋外空間外灯スタンドと呼ばれるスタンド型路上客席を設置する社会実験を行い、利用者のアクティビティを調査した結果、路上に人が滞留する風景を作り出し、路上空間の雰囲気の改善と地域の店舗間の結束を強化する可能性を見出すことができた。

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