都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
8 巻, 2 号
都市計画報告集
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 東京都三鷹市の子育てひろばを事例として
    宮尾 政行, 山本 佳世子
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 46-53
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は三鷹市の子育てひろばを対象とし,アンケート調査を実施して,運営上の課題を抽出し,具体的な改善策を提案することを目的とした.本研究の結論は,以下の3点に要約できる.(1)ハード面とソフト面における運営上の課題,資金に関する課題があることが明らかになった.(2)ハード面での改善策として,周辺地域の公共施設等と連携して空きスペースを有効活用することを基盤とした相互補完ネットワークを構築することを提案した.(3)ソフト面での改善策として,組織間でそれぞれの持つ専門的知識や支援に関する情報を子育て支援資源として共有し合うこと,多様な市民団体やサークルなどとの間で適宜協力を得ることが可能な相互補完ネットワークを構築することを提案した.

  • 髙見 淳史, 原田 昇
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 54-58
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    フランスは2050年までに1990年レベルの4分の1という温室効果ガス(GHG)排出削減目標の達成を目指し、各種の対策を進めつつある。本稿は、第一に、フランスの交通部門におけるGHG・CO2排出と地球温暖化対策の現況について概観した。第二に、イル・ド・フランス地域圏の新しい広域計画であるSDRIFに着目し、GHG排出削減の文脈における土地利用・交通戦略について述べた。自動車交通量の増大が市街地の郊外化と相俟って進んでいる傾向を鑑み、公共交通や非動力系交通環境の整備・改善と併せて、都市核や公共交通沿線に土地利用を集約するという戦略方針を整理するとともに、高密化地区や市街化地区などを25ha単位という詳細さで計画図上に特定している点を紹介した。

  • 髙見 淳史, 原田 昇
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 59-63
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ドイツのベルリン・ブランデンブルク地域は、遠郊部における人口減少、少子高齢化、住宅の過剰供給といった困難な状況に直面している。本稿は、ベルリン・ブランデンブルク地域が縮退の戦略を取ることを余儀なくされている背景を整理するとともに、その戦略の具現化と見ることのできる2つの点について概観する。1つはベルリン市Marzahn-Nord地区の集合住宅団地における減築・都市改造事業である。もう1つは2009年に発効した地域の新しい広域計画・LEP B-Bである。特に、現在および将来の状況に対応すべく下位レベルの中心地を除外するという中心地システムの再構築と、住宅開発を放射鉄道沿線と中心地に集約させるという計画方針について報告する。

  • 松橋 啓介, 米澤 健一
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 64-69
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    地域の旅行速度がより速いことが地域の乗用車からのCO2排出量をより低くすることにつながるか否かを分析した。低炭素型の交通の実現策には、新規道路建設が含まれる場合がある。短期的には、道路建設にともない、交通量の増加にも関わらず、速度向上による排出原単位によって排出量の削減につながると言われるためである。本研究では、1999年と2005年の道路交通センサスデータを用いて、旅行速度と排出量の関係を分析した。中期的に見ると、低い旅行速度は、高密度な地域で自動車利用が少なく短距離の利用が多いことを反映しており、CO2排出量を少なくする効果がある傾向が示された。

  • 横浜市青葉区青葉台駅周辺を対象として
    小杉 理理子, 伊藤 史子
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 70-75
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、都市における交通手段として自転車利用を促進する動きがあり、日々の生活で自転車利用することの意義は高まっていると考えられる。よって、本研究では、市街地における自転車走行ルートに関するネットワーク分析を行った。まず、実走行により自転車速度と坂道勾配の関係を求めた。 次に、自転車利用者が選択したルートとネットワーク分析により求めた3つのルート(最短距離ルート・最短時間ルート・勾配制限を与えた最短時間ルート)を比較・分類し、走行ルート選択の傾向を把握した。さらに、クロスM関数を用いて空間解析を行い、坂道勾配によるルート選択の法則性を見出した。以上のことから、自転車ルートの傾向を得て、市街地における自転車ネットワークの考察を行った。

  • 全国の被収容者を対象とした質問紙調査報告
    雨宮 護, 島田 貴仁, 菊池 城治, 齊藤 知範, 原田 豊
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 76-79
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は,犯罪者の視点から見た時の防犯環境設計の有効性を検討することである。全国の拘置所・拘置支所から選んだ382名に対する質問紙調査の結果,以下のようなことがわかった。1)犯行場所の事前の下見行動を行う者の割合は少ない,2)防犯環境設計は,犯罪者の犯行を阻止する要因を増やす点で有効である,3)近所の人の目は,犯行を阻止するうえで重要である。本稿ではこれらの結果をもとに,とくに「自然な監視」に焦点をあて,その有効性や意義について議論した。

  • 和歌山県田辺市における田辺祭りを事例として
    落合 知帆, 小林 正美
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 80-83
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本報告では、今年450年を迎える田辺祭を取り上げた。田辺祭り実施の一地域である江川町を対象に伝統的な祭りと地域住民の「地域力」に着目し、地域住民が祭りの実施に際してどのように対応し、維持しているのか、その仕組みや取り組みを調査した。祭りという共通の目標を達成するために、地域住民は時間と労力を使ってその準備と実施を行っていた。また、「組」という最小単位の組織が中心となり、祭りを支える体制が構築され、祭りの経験や苦労、問題を共有することで信頼関係や地域のつながりなどが形成されていた。地域には、これらの様々な要素が複雑につながりながら存在していることが推察された。

  • 名古屋市の民生部門を対象として
    大西 暁生, 高平 洋祐, 谷川 寛樹, 井村 秀文
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 84-87
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    低炭素都市の実現には,人口の多くが住み,社会経済活動の主舞台である都市における取り組み,とりわけ民生部門・交通部門での対策が重要である.またこのような都市の低炭素化には中長期的なビジョンを持った都市計画や国土計画の役割が重要となる.そのため本研究では,まず名古屋市の民生部門を対象に,都市空間の再編及び省エネ技術導入に伴うCO2排出量の削減効果を評価するためのシミュレータを作成する.具体的には,人口及び土地・住宅・業務建物利用などのデータを用いることによって2000年から2050年までの民生(家庭・業務)部門からのエネルギー消費量及びCO2排出量を500m格子ごとに推計する.これによって,都市空間の再編及び省エネ技術導入の違いが,エネルギー消費量及びCO2排出量の削減にどの程度効果があるのかが時空間で把握できる.

  • 消防団と女性防火クラブに着目して
    浅田 麻記子, 落合 知帆, 小林 正美
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 88-91
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    白川村では、昔から地域に根ざした消防団が、地域の防災や安全維持に大きな役割を果たしている。本調査では、消防団の歴史や活動内容、消防団員の意識、消防団に対する住民の意識、また女性防火クラブの活動など、白川村の防災の核となっている消防団について整理し、消防団が地域において果たす役割とその継続の仕組みを明らかにする。白川村消防団の様々な活動が地域の防災や防災意識の向上につながっていた。また、消防団の役割は防災だけではなく、白川村のほぼ全ての行事の核になっている。現在のような合掌家屋を保持した白川村が維持されてきたのは消防団の存在が大きい。加えて、消防団を支える女性防火クラブや地域住民の存在も忘れることはできない。

  • 飯田 義彦, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 92-95
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    熊野古道中辺路において歩行者の撮影写真に基づき,1.地道表面と周囲の植生,2.維管束植物の部位,3.林床の蘚苔類・キノコ類・シダ類,4.大径木,5.動物,6.水の動態と形状,7.光といったシークエンス景観の景観構成要素と歩行者の関係性について考察した.自然の機微な動きや対照性の観察体感が歩行者のもつ着眼点として理解され,それらが歩行者の非日常性の体験を誘発し,感動を保存し伝達したいという撮影注視動機に結び付くことが見出された.

  • 和歌山県熊野地域における自転車移動を事例として
    尾形 浩一朗, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 96-99
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    まちづくりや地域コミュニティ研究の分野では、移動途上の様々な要素との接触が地域への理解や愛着の醸成に影響を及ぼし、移動交通手段の持つ特性がそれらの要素との接触度合いを左右することが示唆されている。しかし、それらの研究の多くは地域に属する住人を対象としたものであり、外部からの来訪者の交通手段の選択に関するものはほとんど見られない。本報告では、和歌山県熊野地域での自転車移動を事例として、移動途上で体感される要素を抽出・分類し、それらの要素相互の関係性を示す。また、移動手段の持つ、周囲の環境への開放性や接触度、移動者の意志反映性などの特性が、これらの要素に基づく移動者の経験に対して及ぼす影響の可能性について考察する。

  • 千葉県における県土利用の問題点をケーススタディとして
    小川 剛志
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 100-105
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、千葉県をケーススタディとして、市街化調整区域と非線引き白地地域及び都市計画区域外の土地利用上の問題、現行の土地利用に係る法制度の問題点、適切な土地利用を図るため、土地利用計画制度の課題をについて分析を行った。今後、土地利用基本計画と個別計画の一元化を行い、真に保全すべき農地や森林を明確にし、開発行為・農地転用・林地開発・廃棄物処理施設の立地等の許可判断の基本とすべきである。市町村における独自の土地利用基本計画の策定や独自の制度と施策の実施可能となるよう国土・土地利用計画制度を再構築が必要である。

  • 増山 篤
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 106-113
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    この論文では、都市計画とその周辺分野で提案され、利用されてきた地域区分方法をレビューするものである。都市計画を含む多くの分野で、一つの地域を、空間的に連坦し、なおかつ、最大限に均質な部分地域に区分していくことがしばしば求められる。このような区分は、英語圏では「reginalization」と呼ばれているが、本稿では「地域区分」と呼ぶ。この論文では、数ある地域区分方法を、それが実行される際に事前に部分地域数が決まっているかどうかによって、大きく二タイプに分類し、さらに、それらをいくつかのタイプに分類する。そして、それぞれのタイプの長短を論じる。その上で、地域区分方法に関してどのような研究が今後行われうるかを議論する。

  • 明石 達生, 芮 京禄
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 114-118
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    韓国の土地適性評価(評価体系1)は、都市の外側に位置する「管理地域」を対象とする都市計画基礎調査である。その方法は、原則筆地を単位に各土地の特性を地形、周辺土地利用、立地の各側面から指標を用いて計測・点数化し、都市開発、農業生産又は自然保全に関する適性値を算出した上で、5等級に分類するものだ。韓国では、90年代の開発促進政策がもたらした都市地域の外側の乱開発問題に対処するため、2002年制定の国土計画法により従来の準都市地域と準農林地域を統合した「管理地域」をさらに3区分化する作業が行われたが、その基本となったのが土地適性評価である。本稿は、この制度の手法と理論を明らかにし、わが国の都市計画研究者に紹介するものである。

  • 敦賀市舟溜まり地区における景観まちづくりワークショップを通して
    高橋 梢, 内村 雄二
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 119-124
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    街並み景観の整備では、いかに都市の個性や独自性を創っていくかが重要な課題となっている。既往の景観計画では、素材や工法を特定した基準内容が見られるが、依然歴史的地域に限られており、本事例では、一般的な市街地における事例を通して地区の個性ある景観計画に重要な事項を明らかにした。・イメージを図案化することで、目標像を共有し景観を身近なものとする、固有のモチーフの抽出・住民の日常的な感覚(風情や演出等)の固有の景観イメージの記譜化、条例への明文化・まちづくりと景観整備を一体的に進め、住民の参加意欲を高める制度の支援環境の充実・WSによる事前協議の充実と、ファシリテーター機能の連携した役割の仕組みの確立

  • 孫 立, 城所 哲夫, 大西 隆
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 125-128
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    開発途上国における都市部への人口集中が進んでいるうちに、劣悪な居住環境であるインフォーマル市街地の拡大が問題となる。中国においても、1990年代以来、「城中村」と呼ばれている都市空間現象が中国における大、中都市の普遍な現象となってきている。近年、新たな都市問題として、これについての議論は盛んになってきている。2000年以来、大都市における城中村の改造が相次ぎに発足されていたが、城中村への価値判断とその改造の限界は近年の話題になっている。今まで行った城中村の改造は、公認された成功したといえるケースが挙げられない。では、今まではどのような改造を行っているのか、その問題点と課題がどこにあるのかを明らかにすることは、本文の目的にある。

  • 志摩 憲寿, 柏崎 梢, 金 ミンソン, 前島 彩子, 矢島 綾, 堀 美菜
    原稿種別: 研究論文
    2009 年8 巻2 号 p. 129-132
    発行日: 2009/09/10
    公開日: 2022/08/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

    アフリカでも都市化が進んでいる。現在、アフリカ全土で人口100万人を超える都市は50を超えている。しかしながら、彼らの多くはスラムに居住している。このような状況にも関わらず、都市計画的対応は事実上機能不全の状態にある。果たして、アフリカ都市の将来をどのように描くことができようか。本研究は、アフリカ都市の多くを構成する「セルフ・ヘルプ」的に形成されたスラムにおける「インフォーマルな都市計画」に「フォーマルな都市計画」に対するヒントを見いだそうとする試みである。その第一歩である本報告では、ザンビアの首都ルサカを事例として、ルサカの都市化と未計画居住地「コンパウンド」の現状に関する基本情報を整理する。

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