都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
14 巻, 4 号
都市計画報告集
選択された号の論文の35件中1~35を表示しています
  • 福島県福島市の宿泊施設を対象として
    河合 洋平, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 216-221
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、宿泊施設の客室のバリアフリー化の状況について、福島市を事例として考察する。福島市において一定規模以上の宿泊施設を建築する場合、福島県のバリアフリー化条例である「人にやさしいまちづくり条例」が適用されるが、本研究では、福島市内のすべての宿泊施設を対象として、この条例への適合状況を分析する。結論として、今後、バリアフリー化を進める上では、①条例の適用となった宿泊施設については、条例に基づいて建築された施設だという情報を公開することが求められること、②条例の適用対象範囲の拡大と資金的援助が求められること、③洋室以外の客室にも対応しうる基準が必要であること、視聴覚障がい者などにも対応しうる整備基準が必要であることを指摘している。

  • 佐藤 歩, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 222-229
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、ジオパーク協議会の現状とジオツーリズムの問題点を体系的に明らかにすることを目的とするものである。①協議会は市町村などの多様な主体によって構成されており、行政からの経済的支援のもとに運営されている場合が多い。②多くの協議会は、関係者の連絡調整、教育活動、研究活動、広報活動などを行っている。③ジオパークとなった目的は交流人口の拡大が最も多いが、達成できていない協議会が多い。④協議会自体、ジオサイトの保全・管理、ジオツアーガイドなどに問題を抱えている協議会が多い。⑤今後のジオパークの活性化のために、ジオパークの認知度の上昇などが重要だと考えている協議会が多い。今後、ジオツーリズムの活性化のためには、ジオパークの質を維持・向上させ、その魅力を発信する仕組みづくりが必要である。

  • 福島県の事例研究
    松﨑 祐樹, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 230-235
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、福島県における防災集団移転促進事業の現状を分析し、今後の課題を提示することを目的とするものである。福島県では、6市町の46地区で防災集団移転促進事業が進められている。今後の課題として、第一に、市町村が買い取って公有地となっている移転促進区域内の土地について、迅速に土地利用方法を具体化し、整備を進めていくことが必要であること、第二に、高齢者をはじめとする入居者のコミュニティ形成、買い物環境の確保、医療・福祉サービスのアクセス確保など、生活の支援が必要であることを指摘している。

  • 福島県内の道の駅を事例に
    田中 陽大, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 236-241
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、福島県を事例として、道の駅の防災機能に関する現状と課題について考察するものである。本研究を通じて、全体として見ると、ハード面もソフト面も、まだまだ防災機能に関しては充実しているとは言えない状況にあることが明らかになった。今後の課題としては、ハード面については、特に災害用トイレ、非常用電源、代替通信手段が重要であり、ソフト面については、特に、全ての災害対応の根源となるスタッフの防災教育が重要であることを指摘した。

  • 渡邉 洋太, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 242-246
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、福島県、市町村、住民等へのヒアリング調査と現地調査を通じて、福島県における防災緑地の整備の現状と課題を明らかにすることを目的とするものである。現状では、すべての地区において工事が進められている段階にあり、まだ完成した地区はないが、防災という単一の目的に偏りすぎて計画されていることが問題点として挙げられる、今後の課題としては、住民が親しみを持って防災緑地にかかわることができ、地域の活性化に資するように、行政と住民の協働管理体制を構築することが挙げられる。

  • 増山 篤
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 247-250
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では消費者余剰に相当する時空間アクセシビリティ指標の一種を提案し、その応用と計算についても検討する。まず、これまでにも提案された消費者余剰に相当する時空間アクセシビリティ指標について再検討し、代替的な指標を提案する。次に、ここで提案する指標は既存のものとは異なり、一般的な空間的相互作用に関するモデル・理論と整合することを示す。また、提案される指標は、例えば、施設移転のような事業が考えられているとき、それがある一個人にとって望ましいかどうかを判断するだけでなく、地域全体という観点から望ましいかどうかを判断するのに用いうることを示唆する。そして、そのときに求められる計算は、現実的な計算時間で実行可能と考えられることを示す。

  • 金成 礼貴, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 251-256
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故後の福島県における農業の現状を分析するものである。福島県では、地震・津波被害からの農業復興に向けて、除塩や農業基盤の復旧などが行われており、放射能被害からの農業復興に向けて、米の全量全袋検査、除染、風評被害対策などが行われている。こうした復興施策に加えて、例えば、相馬市では、津波被害からの復興に向けた転炉スラグの活用による除塩、二本松市東和地区や伊達市小国地区では、詳細な農地土壌汚染マップの作成などが行われている。今後、農業の復興に向けて、これまで以上に住民、行政、事業者、研究者などが一体となった体制を構築し、実践・研究活動を進めていく必要がある。

  • 飯塚 裕介, 長原 慎一, 内山 翔太, 川村 能勝, 末永 真樹, 中谷 友紀
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 257-261
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,小中学生向けの防災教育ツールとして,災害の種類や仕組みに関する知識を身に付けさせると同時に,周囲の地形や災害の種類や規模をもとに適切な事前・事後の対応を導く判断力を養うことができるゲームを提案することを目的としている。この目的のため,本研究では災害の種類や事前・事後の対応策を表すカードと地形を模したマップを組み合わせたボードゲームのプロトタイプを開発した。人間側プレーヤーと災害側プレーヤーが1対1でプレーする対戦形式とすることで,ファシリテーターや指導者を不要となった。本報告ではプロトタイプの概要を報告する。

  • 飯塚 裕介, 井野 雄太, 五十嵐 航太郎
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 262-265
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    鉄道が廃線になってから長い時間が経っても、鉄道の形跡が残っていることがある。本研究はその要因を理解することを目的とする。対象データは30年以上前に廃止された2つの鉄道である。廃止された鉄道線上の土地利用や建物配置は分類された。そして、鉄道の周辺の地域の特徴との関係が検討された。結果として、学校などの施設が鉄道線上に建設された場合を除いて、鉄道の形跡が残っていることが多かった。

  • 川崎市商店街を対象として
    杵淵 和也, 竹村 卓也, 室田 昌子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 266-269
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    度商店街が実施しているか、どの程度関心があるかを把握した。本研究は、多様な商店街組織が環境配慮型活動に取り組めるようにするために、商店街が行う販促活動等を含めて、これらの既存の活動を環境配慮として評価することにより、商店街が無理なく目標を持って環境配慮型の活動を実施することを検討した。川崎市内全商店街を対象にアンケート調査を行い、組織タイプ別の活動内容や進め方を明らかにすることを目的とする。大形駅近接タイプ、中型駅近接、中型駅非近接などで環境配慮型活動の実態を明らかにした。

  • 40年にわたる茨城県全域の買い物行動を分析対象として
    谷口 守, 對馬 和慶, 山根 優生
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 270-275
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    人口減少社会において地方部の自立的かつ持続的な社会の形成が求められる中で、地域間での人々の行動を把握する必要性が高まっている。本研究は1970年から継続して調査されてきたデータを用い茨城県の人々の買い物行動先の長期的変遷を明らかにした。本研究の特長は調査形式等が年次により異なるデータを経年比較が可能なように整備することでこれまでは客観的に見られなかった多様な地域階層を持つ市町村間での比較分析を可能とした点である。本研究で得られた知見として買い物行動の吸収人数における市町村間格差の拡大や、吸収先となる市町村の移り変わりが挙げられ、40年間で地域構造が劇的に変化してきたことが明らかとなった。

  • 「地先の安全度マップ」を活用して
    森 英高, 西村 洋紀, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 276-280
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    滋賀県では,これまでのハザードマップよりも実像に近い予測を行っている「地先の安全度マップ」という形で水害リスクを広く一般に公開した.キャピタリゼーション仮説によると,災害などのリスクなどはすべて土地の地価に影響を与えていると考えられるが,水害リスクについてその実態を把握した分析は見られない.そこで本稿では,居住者のリスク認知を地価,土地そのものの持っているリスクを「地先の安全度マップ」に置き換えて,両者の関係性を確認した.その結果,本稿で対象とした期間においては水害リスクが地価に反映されておらず,居住者が認知している水害リスクと土地そのものの持っているリスクには齟齬がある可能性が示唆された.

  • 飯塚 裕介, 瀧本 晃裕, 大塚 和人
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 281-284
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    この研究は高島平団地の住民のライフスタイルの変化を理解するため,毎年発行されている地域情報紙に掲載された店舗リストを元に団地内に出店するテナントの業種の変化を調べた。その結果,近年高齢者の健康に関連する施設が増えていること,周辺地域での大規模スーパーの出店にともなって団地内の食料品店が大幅に減少したことなどが明らかとなった。

  • 横浜市錦が丘地区を対象として
    有賀 楓, 松澤 匠, 室田 昌子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 285-288
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、街路樹・道路空間を中心とした緑化活動を展開する地域で、緑化活動への関心や主観的に感じる効果が何によって決定づけられるのかを明らかにし、活動を促進するための提案を行うことを目的とする。緑のまちづくり事業全体への関心を集めるには、第一に地域のシンボルや住民の重視する視点、本地区では「街路樹による美しい街並みづくり」を意識し、地域イメージの向上を図ることが重要である。第二に、何らかの「緑化活動の経験」を持ってもらうことが効果的である。

  • 東京都町田市を対象として
    岸川 翔, 室田 昌子, 薬袋 奈美子, 矢島 浩子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 289-292
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、旗竿敷地の実態を把握するために、町田市全域を対象として、数・分布・形状などを調査し、さらに要因についての分析を行うことを目的とする。旗竿敷地を整形・不整形、単独・連続等により分類を行い、さらに数は少ないものの旗状だけではなくコの字型やTの字型などの形状を加えて16分類を行った。町丁目ごとに見ると、成瀬台一丁目や鶴川三丁目のように旗竿敷地の割合が高い地域は、土地区画整理事業区域が目立っており、特に整形の連続型は土地区画整理事業区域内に多い。

  • 福島県いわき市の小川江筋を事例として
    村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 293-296
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    小川江筋は17世紀に起源を有する歴史的な用水路である。山麓を丁寧にたどる線形より,地形に即した導水の有様が沿岸の景観に現れていると予想される。踏査および分析の結果,山麓をたどる水路と,より低所にある農地とが一望され,地形に即した導水の仕組みが,小川江筋の沿岸における景観構造として現れている区間のあることがわかった。ただし,そのような区間は総延長の1/3に過ぎず,それ以外の区間では,両岸の地形や景観要素により,地形に即した導水の仕組みの現れが不明確となっている。一方,起点と終点の付近を除けば,異なる断面形の区間が混在し,区間の延長はおおよそ400m程度までの範囲に収まっている。

  • その1:西部地区を対象とした基礎調査結果の報告
    加藤 浩司, 古澤 栄子, 田代 公貴
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 297-299
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,地方都市における中心商業地の駐車場問題を考える調査研究の一端として,福岡県大牟田市中心市街地に広がる駐車場の実態を明らかにしようとするものである。<br>本報では,大牟田市が「中心市街地」として定める区域の一部について,2015年7月に実施した基礎調査を実施した。その結果,小中規模の駐車場がそのほとんどを占める形で,駐車場が調査対象地区の約1/6を覆う結果になっていること,その大半が月極駐車場であることが明らかになった。さらには,これらの土地の多くは,長い間,駐車場として使われているものであることも確認できた。一旦駐車場になると,用途変更が起こりにくい,という状況が,ここにうかがえた。

  • 2014年11月から2015年6月のデータ分析
    樋野 公宏, 石井 儀光, 浅見 泰司, 李 廷秀
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 300-305
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本報告では、よこはまウォーキングポイント事業のデータを用いて、まず季節や曜日による平均歩数の変動を明らかにした。男女、65歳未満/以上で4群に区分し平均歩数の季節変動を調べたところ、すべての群で気候の良い11月、5月が多かった。同様に平均歩数の曜日変動を調べたところ、すべての群で金曜が最多、日曜が最少だった。続いて、本報告では各大字の平均歩数と都市環境との関係を分析した。各変数と平均補正歩数との相関を、まず10人以上の参加者がいる625大字で調べたところ、人口密度、駅距離、平均標高、戸建/集合住宅に0.1%水準で、商業地率に5%水準で有意な関連が見られた。

  • 可視の立入不可空間をめぐる考察
    水上 象吾
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 306-311
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論は、立ち入り不可の雨水専用調整池を都市において自然が確保された事例として取り上げ、自然を享受する方法として、知覚の利用調整に着目した。雨水調整池の配置、立地、空間形態や囲障構造の特徴を調べ、内部の自然を都市住民が眺望できる空間として機能することを示した。また、調整池の周辺に居住する住民に対する意識調査を行い、調整池に関する印象や認識を把握し知覚する感覚別に整理した。その結果、周辺住民は視環境だけでなく音環境や温熱環境等も知覚しており、内部の自然要素が調整池の印象を良くしていることが示された。自然と人間活動とは干渉するため、触れ合いを制限し眺めを確保する等の知覚の利用調整という考え方が、都市という人工的な環境において自然を享受できる可能性が示唆された。

  • 星野 奈月, 見城 紳, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 312-316
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    情報通信技術の発展に伴い,インターネット上での情報伝達・交流が個人の地域活動参加意思に影響を及ぼす事例が見られるようになっている.本報告では,インターネットによって促される地域活動の量,促されることが多い地域活動の種類,活動を促されやすい個人の特徴を把握するために,独自のインターネット調査を行った.その結果,1)地域で行われるイベントやサークル活動等に関するWebページやSNSを認知している者は少ないが,活用している者は参加意思を醸成されている者が多い;2)ニュースなどを調べるためにインターネットを利用する頻度の多い者の方が,活動への参加意思を醸成されていることが明らかとなった.

  • 佐世保・小値賀観光圏を事例として
    片山 健介, 牧島 理香
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 317-321
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    全国の地域で、観光振興による地域活性化の取り組みが行われる中、広域連携による観光地域づくりが注目されている。本稿は、観光圏整備法に基づく観光地域づくりに着目し、佐世保・小値賀観光圏の事例を通して、広域連携の意義と課題について考察することを目的とした。佐世保・小値賀観光圏では、観光圏制度の枠組みのもとで連携体制が構築され、観光圏のパンフレットの作成・配布による情報発信力の強化などの成果が見られた。また、交流地区における自発的な組織づくりや、「海」に関わる自然環境・景観保全の認識も見られた。一方で、様々な事業者との連携、自治体の壁を超えた連携の深化は今後の課題であり、中核都市と離島という特性の違いが連携を難しくしている面も明らかになった。

  • 千葉県浦安市中町地区を対象として
    假谷 柾維, 岡崎 健二, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 322-325
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)時に震源から遠くはなれた千葉県浦安市では発生した液状化現象によって下水管が破損し住民の生活に支障を来した。その浦安市の被害状況から液状化現象で下水管が破損しトイレの使用ができなくなった場合の対処方法などを考察し、今後の震災における、人間の生理的欲求である排泄を行う環境の改善点を提案することを目的とする。アンケート調査の結果から、また、市役所の今後の震災時における対策との相違点をヒアリング調査の結果から東日本大震災での浦安市のトイレ問題を明らかにすることにより、トイレ問題に対する今後の行政の対策、自作の簡易トイレの工夫の方法を提案した。

  • 東京都町田市鶴川3丁目を対象として
    鏑木 恵太, 鶴 貴之, 室田 昌子, 薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 326-329
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    町田市のなかでも最も旗竿敷地注1の多い地区である鶴川3丁目を事例として、その地域の住民の居住環境評価と今後の街の方向性についての調査を行った。特に居住環境のレベルダウンは居住者にはどのような評価をもたらしているかを把握し、併せて今後の街の方向性に関して世代間や居住環境による違いを踏まえつつその意識を把握した。全般として比較的高く低い項目は、通勤通学の利便性のみであり、特に緑や日当たり、風通しの良さ、道路の広さなどの項目はいずれも評価の高い。しかし、細分化された地域の居住者の評価は低いと言える。

  • 土屋 有加, 岡﨑 健二, 落合 知帆
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 330-333
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    静岡県は、歴史上大津波に見舞われてきた地域の一つであり、現在は南海トラフ巨大地震発生時の想定被害を軽減するため様々な対策事業を行っている。本研究では、2013年に新規の津波一時避難施設として「湊命山」と呼ばれる津波避難マウントが建設された静岡県袋井市を調査対象地とし、湊命山の課題や地域住民の意識も考慮した利用可能性の分析を行った。結果、津波避難施設としての湊命山には、住民が施設の安全性を不安視している、地元住民の中でコミュニティの場としての認識が低い等の課題があったが、避難施設であるとの認識は高く、今後課題解決の策が講じられれば、状況に応じた利用ができる、地域の象徴的施設になりうると明らかになった。

  • 横浜市都筑区「ほっとカフェ中川」を対象に
    長谷川 祐規, 室田 昌子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 334-337
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、コミュニティ・カフェの一タイプである郊外地域の駅前ビルに立地し、地域まちづくりを行う住民団体が運営するC.C.を対象にカフェの効果を把握する。本研究では、カフェ利用者と運営スタッフに行動や意識面でどのような変化が起こったのか意識調査を行い、それを主観的効果として明らかにすることを目的とする。特に、本カフェでは、地域関心醸成効果と新たな友人関係づくりなどの地域交流促進効果などの効果が高く、高齢者ほど効果を感じること等が把握された。

  • 山内 彩加, 土屋 一彬, 大黒 俊哉
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 338-342
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市部のムクドリの集団ねぐらは、糞害や騒音などの多様な社会問題を起こしており、これまでの追い払いなどの一時的・局所的な対策ではその解決に到っていない。本研究は、東京都区部のムクドリの集団塒と周辺土地利用の関係を明らかにすることで、長期的・広域的な対策のための生態学的な観点からの基礎的知見を得ることを目的とした。その結果、集団ねぐらは2ha以上の大規模緑地から200m-300m程度の範囲に存在し、実際に就塒前にそうした大規模緑地を利用していることが明らかになった。また、集団ねぐらは、開放的な場所の木立か、駅前など高層建築物に囲まれた場所のいずれかに存在する傾向がみられた。

  • 西広島駅周辺の商店街地区を対象に
    栗田 陵, 室田 昌子
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 343-346
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、空き店舗が顕著に存在している西広島駅周辺の商店街と競合大型店を対象にアンケートを実施し、交通手段・来店頻度と属性のクロス分析、地域評価分析を行った。クロス分析では、西広島駅周辺商店街は、40代以上の消費者が多く利用しており、全体的に競合大型店に比べて高齢者が利用している。交通手段では徒歩や自転車が多くなっており、商店街に近い消費者が使っており、利用頻度も高くなっている。地域愛着調査では、西広島駅周辺商店街への愛着を高めるには、家族や友人と楽しめる環境の提供、商店街における連続性のある歩行空間の確保、休憩場所の提供や開放感を感じさせられる空間の提供、そして、西広島駅周辺にはこれが自慢できるといった街の象徴をさらに高めていくことが必要であることが示唆された。

  • 季美の森住宅地を対象として
    藤原 誠, 室田 昌子, 手嶋 裕, 高野 修一
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 347-350
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、遠郊外に立地すると捉えられる千葉県季美の森住宅地を対象として地域の人々の居住行動や近所づきあいなどを把握し、その上で、活発な地域での住民交流や地域活動、相互学習に焦点をあて、多世代交流型社会の構築可能性を検証する。多世代型の地域活動の促進可能性や人材資源を活用した相互学習の可能性を検証したが、地域活動の可能性は十分にあると言え、相互学習は、頻度が低ければ可能性はあるが、今後のさらなる検証が必要である。

  • 和歌山市を事例として
    猪瀨 紋花, 長曽我部 まどか, 小川 宏樹
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 351-354
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、まちなか居住を促進するための施策を検討することを目的として実施した。まず、和歌山市の郊外賃貸共同住宅に住む世帯を対象とし、現在の居住環境や転居意向、希望する居住地や住宅・周辺環境についてアンケート調査を行った。次に、まちなかエリアが郊外居住者のニーズを満たしているのかどうかを、主要施設の面積カバー率と人口カバー率から評価した。まちなかエリアは、商業施設や交通機関については、郊外居住者のニーズを満たす可能性があることが明らかになった。一方で、回答者の多くは将来戸建てに居住することを希望しており、その場合、まちなかでは地価と駐車場料金が問題となることが改めて確認された。

  • 横須賀市を事例として
    山田 浩義, 志摩 憲寿
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 355-358
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    携帯電話を活用した新たな観光振興の可能性への着目が集まっており、実際、岩手県や横須賀市などでは位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」を用いた取り組みが進められている。本研究は、横須賀市を事例として、観光者のアクションに着目しつつ、Ingressを用いた観光振興の可能性を検討することを目的とするものであり、横須賀市におけるIngressを用いた観光振興の取り組みを整理し、横須賀市によって作成されたIngressのミッション達成者数とその空間的広がりを分析した。本研究を通じて、横須賀市公式ミッションの達成者数は増加しており、そして、彼らによって作成されたミッションが新たな観光地を見出していることが明らかになるなど、Ingressを用いた観光振興に対して積極的な結論を得た。

  • イタリアのアルベルゴ・ディフーゾの取り組みを事例として
    松下 重雄
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 359-363
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿においては、タリアの集落再生モデルであるアルベルゴ・ディフーゾ(AD)について、全体像や特徴、運営実態、地域への波及効果など、その概要を整理した。ADは集落に残る地域の歴史的資産を活かしながら環境負荷の少ない手法でまちづくり基盤を整え、多様な主体が協働的に地域内で関わるツーリズム手法を導入することで、持続可能な地域社会の形成を図ろうとするものである。その取り組みの理念的な特徴は、本物の環境にこだわる「真正性」と小さいながらも地域に新しいしくみを導入しようとする「革新性」にあると思われる。今後、この「集落まるごとホテル」というユニークな発想を日本型にアレンジした観光まちづくりの導入が期待される。

  • 世界遺産登録前の道の駅滞在者を対象に
    菊池 佐智子, 山本 清龍, 勝俣 英里, 遠藤 淳子, 本郷 哲郎
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 364-371
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    富士山は2013年に世界文化遺産に登録された。しかし、富士山は解決しなければならない多くの課題を有している。本研究では、アンケート調査法を用いて富士山北麓地域の観光の動向を調査した。その結果、以下のポイントが明らかになった。道の駅の滞在者は、家族連れで、道の駅に20回以上の訪れるリピータであった。一人あたりの旅行費用は約33,757円で、道の駅によりその金額が異なっていた。道の駅の滞在者の多くは、富士山北麓の観光旅行に「日常からの解放」と「家族との団らん・交流」を求めていた。この結果を受けて、今後は滞在場所の違いによる属性や各種項目の違いを比較して、富士山北麓地域の観光特性を把握する。

  • 世界遺産登録前の鉄道駅利用者を対象に
    菊池 佐智子, 山本 清龍, 勝俣 英里, 遠藤 淳子, 本郷 哲郎
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 372-379
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    富士山は2013年に世界文化遺産に登録された。しかし、富士山は解決しなければならない多くの課題を有している。本研究では、アンケート調査法を用いて富士山北麓地域の観光の動向を調査した。その結果、以下のポイントが明らかになった。鉄道駅の利用者は、電車や高速バスを利用して、家族や友人に小学生を入れた5~6名のグループであった。一人あたりの旅行費用は鉄道駅によりその金額が異なっていた。鉄道駅の利用者が重視する評価項目は見出すことができなかった。この結果を受けて、今後は滞在場所の違いによる属性や各種項目の違いを比較して、富士山北麓地域の観光特性を把握する。

  • 世界遺産登録前の富士山五合目滞在者を対象に
    菊池 佐智子, 山本 清龍, 勝俣 英里, 遠藤 淳子, 本郷 哲郎
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 380-383
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    富士山は2013年に世界文化遺産に登録された。しかし、富士山は解決しなければならない多くの課題を有している。本研究では、アンケート調査法を用いて富士山北麓地域の観光の動向を調査した。その結果、以下のポイントが明らかになった。富士山五合目の滞在者は、近くて短期間の旅行ができるエリアとして富士山北麓地域を選択した。一人あたりの旅行費用は約25,731円で、交通費と宿泊費がその旅行費用の大部分を占めている。富士山五合目の滞在者の多くは「地域の環境保全」について考えている。しかしながら、「地域の経済貢献」を考える人は少ない。この結果を受けて、今後は滞在場所の違いによる属性や各種項目の違いを比較して、富士山北麓地域の観光特性を把握する。

  • 和歌山市を事例として
    杉本 紗季, 長曽我部 まどか, 小川 宏樹
    原稿種別: 研究論文
    2016 年14 巻4 号 p. 384-387
    発行日: 2016/03/04
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、共同住宅を対象とし、学区といった地区レベルで現在と将来の空き家率を推計することを目的として実施した。現在空き家率については、まず住宅地図や登記情報より、地区ごとに共同住宅の実態を調査した。次に、共同住宅戸数と共同住宅世帯数より、空き家率を算出した。その結果、地区ごとの空き家率には、最大約24%の差が生じた。将来空き家率については、まず住宅着工量と除却量から将来共同住宅戸数を推計した。次に、共同住宅世帯数については、「過去の変化率に従う」、「変化しない」、「減少する」の3つのシナリオで推計を行った。将来空き家率を算出した結果、地区の空き家率に応じた対策が必要であることが示唆された。

feedback
Top