都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
19 巻, 1 号
都市計画報告集
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • リノベーションまちづくり聖地百万人都市のプライド
    尾藤 文人, 澤田 尚人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在、COP27に向けて、地球温暖化に伴う気候変動を防ぐために、世界各国において検討がなされ、欧州を中心に原因因子となるCO2やゴミの削減を目的とする『VISIONZERO』という政策を掲げています。 私たちは『インフラ公共空間社会』を創造・構築する必要があります。少子高齢化に伴う無秩序な都市化(空洞化)は、高コスト構造、高エネルギー構造、スラム化など、とても重要な社会的課題を産むことになります。これらの社会的課題は、地球温暖化に伴う気候変動といった地球規模の環境への影響も与える事になります。ここで重要なのは、北九州市が世界における「VISIONZERO」政策のリーディングカンパニーとなることです。すなわち、リノベーションまちづくり聖地百万人都市としてのプライドを表すものです。 特に、私は、欧州型都市政策である『自転車で15分で行ける街』を意味する『クロノ・アーバニズム』政策によって社会的課題が解消されるであろう事に着目し、今後、少子高齢化社会を迎える日本の地域計画にへ寄与することが必要であると考えます。

  • カンタベリー地震, ハリケーン・サンディ, 東日本大震災を事例として
    近藤 民代, 井内 加奈子, 馬場 美智子, マリ エリ ザベス
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 5-12
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では土地利用規制や建築制限がかかると共に、被災者が沿岸域から移転をすることによって、都市の空間構造が変容する復興事例を報告する。ニュージーランドのカンタベリー地震、米国のハリケーン・サンディ、東日本大震災の復興減災期における土地利用管理の仕組みと実態を示し、それが都市の持続性、住みよさ、レジリエンスの向上や被災者の生活回復にどのように貢献しうるか、課題は何かについて考察した。災害保険料負担が住み続けることを困難にする可能性、不動産買い上げにおける社会的公正と透明なプロセス、インフラや広大な居住禁止エリアの維持管理などを課題として指摘した。

  • 福島県に関する事例研究
    本田 裕理, 川﨑 興太
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、福島原発事故の発生に伴い、原子力災害の避難に関する法令・指針・計画の改正等が行われた後における、福島県59市町村の避難体制の現状と課題を明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)福島原発事故の避難の問題、(2)福島県59市町村の避難体制が進んでいる一方、残る問題があること、(3)これらの市町村の約6割が確実かつ安全に住民を避難させる上で何らかの問題があると認識していることが明らかとなった。以上を踏まえ、避難の安全性を法制度として担保すること、原発の立地と居住地の関係性を検討することが重要であると指摘する。

  • 日本における『インフラ公共空間社会』の構築に関するケーススタディ
    尾藤 文人, 天川 洋介
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 21-24
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在、COP27 に向けて、地球温暖化に伴う気候変動を防ぐために、世界各国において検討がなされ、欧州を中心に原因因子となる CO2 やゴミの削減を目的とする『VISIONZERO』という政策を掲げています。私たちは『インフラ公共空間社会』を創造・構築する必要があります。少子高齢化に伴う無秩序な都市化(空洞化)は、高コスト構造、高エネルギー構造、スラム化など、とても重要な社会的課題を産むことになります。これらの社会的課題は、地球温暖化に伴う気候変動といった地球規模の環境への影響も与える事になります。特に、私は、欧州型都市政策である『自転車で 15 分で行ける街』を意味する『クロノ・アーバニズム』政策によって社会的課題が解消されるであろう事に着目し、今後、少子高齢化社会を迎える日本の地域計画について考察する。

  • 居住地選択の傾向と親子間交流の特徴に着目して
    松岡 貴大, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    郊外ニュータウン(NT)において、親子の近居の促進は多世代が居住する持続的なまちの形成に繋がると考えられる。本研究は、近居世帯の居住地選択の傾向及び親子間の交流と世帯特性との関係を明らかにすることを目的とした。兵庫県の北摂三田NTにて住民アンケート調査を実施した結果、賃貸住宅を求めた子世帯がNT周辺地域に居住する傾向や、それら子世帯がNT内の親世帯との近接性を考慮して居住地選択をする傾向が見られた。また、親子の年齢により親子間の往来頻度や生活支援の内容等が異なることが示された。親子が個々の住欲求を満たしつつ近居を行えるよう、NT周辺地域も併せて多様な住宅ストックを整備することが有効であると考えられる。

  • パターソン公園地区の場合
    平 修久, 西浦 定継, 吉川 富夫
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 31-36
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ボルティモア市パターソン公園地区は、アメリカ東海岸の他の古い工業都市と同様に、市街地の郊外化、経済の衰退、人種間の居住地の分離などにより、住民の人種構成や所得階層の変化とともに、人口減少に見舞われた。賃貸住宅や無責任な賃借人が増加し、犯罪も増え、危険な地区となった。しかし、コミュニティ開発会社(CDC)が、1990年代から空き家の再生を行い、地区を復活させた。その成功要因としては、1)中心部への近接性と隣接地区の活発な不動産市場、2)強力なリーダーとCDC、3)街角の飲食店など住民の交流場所と良好な人間関係、 4) 多様な住宅の供給、5) 高い評価を得ている公立学校、6) 財政的支援者の存在が挙げられる。

  • 新たなる地域応援ファンド「天竜川応援基金(SDGs 基金)」の創設
    尾藤 文人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 37-38
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ビル・ゲイツ氏やバラク・オバマ大統領を始めとした世界のトップリーダーや裕福層が財団法人 を設立し、様々な社会的還元活動を行っている。先進国は軒並み出生率が下がり、日本は急激な少 子高齢化社会を迎えようとしている。そのような社会的背景において、街を維持していく為には行 政だけでは充分では無く、NPO 等を始めとした「街リフレッシュ機能」を持ちえた団体の存在が肝 要である。一方で、その為の「人・物・金」は充分ではなく、新たなる資金調達手法が必要となっ てくる。ここでは、新たに創設された地域応援ファンド「天竜川応援基金(SDGs 基金)」をご紹介 したい。

  • 昭和初期から現在における東京・赤坂を対象として
    中村 英慈, 久保 有朋, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    花街は日本の文化をソフト・ハード両面から包括的に継承している稀有な場であり、近年ではその価値が再評価されつつある。赤坂花街は、明治期には多くの陸軍や政界の客が利用する等、東京都内では新橋と並び特に格式の高い花街として知られていた。本研究では赤坂花街の戦前の最盛期である1933年頃、戦後の最盛期である1955年頃、衰退が始まる直前の1965年頃、衰退過程である1988年、現時点の2019年の5時点での花街建築の業種毎の分布とその変遷を明らかにする。主な結論として、花街建築の集積する場所が1933年以来変化していないこと、昭和末期以降に料亭の営業形態が茶屋形態から料理屋形態中心に変化したこと、置屋の大半がいずれの年代においても路地沿いに分布していたことが挙げられる。

  • 鈴木 直輝, 高松 未来, 貫井 玲音, 藤松 駿, 洪 義定, 宮園 侑門, 樋野 公宏
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 45-46
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    COVID-19の感染拡大は大学生の生活にも影響を与えた。その実態を把握するため、大学生108人を対象に行動・生活様式の変化に関するオンラインアンケートを行った。自宅生と下宿生を区分した分析の結果、両者とも閉鎖あるいは営業自粛対象の大学等施設の利用頻度やそれを目的とした移動は大幅に減少していた。一方で、下宿生は小売店舗の利用頻度が平常時とあまり変わらない点、自宅生は公園の利用頻度、気分転換のために徒歩・ジョギングを行う割合が倍増していた点が特徴的だった。

  • CVMによる計測の試み
    吉田 恭
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 47-54
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、エリアマネジメントの重要性が強調され、様々なエリアで実施されるようになって来た。エリアマネジメントがより大きな社会的な認知を受け、必用な活動予算を獲得できるようにするためには、それがいくらの価値を生み出しているかを金額で評価することが重要である。本報告は、大阪の梅田地区のエリアマネジメントがいくらの価値を生み出しているかをCVMを用いて計測するものである。エリアマネジメント活動全体で約14.7億円の利用価値、そのうち4.4億円がイベント活動により生み出されていると推計された。この金額は他の方法で計測したものとかなり近い金額となった。

  • 研究成果の活用,研究活動での連携に関する対応方策を考える
    森本 章倫, 菊池 雅彦, 桑田 仁, 林 良太郎
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 55-62
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市計画行政を進めていく上では研究成果を実務に生かすことが重要であるが,実務と研究の乖離が指摘されて久しく,いまだに両者の連携が十分であるとは言いがたい.このため,研究交流分科会「実務と研究の連携のための研究会」では,官の実務者と学の若手研究者が連携して,2017~2019年度の3か年にわたり検討を行ってきた.本稿は,その成果を踏まえて,実務と研究の連携のニーズが高い分野の論点整理を行うとともに,連携の効果的な取り組み内容として,これまでの研究成果の活用,これからの研究活動の連携という2つの視点から考察を行った.さらに連携した取り組みを行う主体として,行政と学だけでなく,コンサルタントのような民間も重要な役割を有しており,各主体の取り組みと連携強化が重要であることを整理した.

  • 今村 洋一
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 63-67
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、『東京都下における旧軍用地並に旧軍用地建物調査』からータベースを作成したうえで定量的な分析をおこない、市区町村単位での旧軍用地と旧軍建物の分布状況を明らかにすることである。東京都内には、259件、3,584haもの旧軍用地があり、216件の旧軍用地に旧軍建物が残され、総延床面積は2,451千m2にも及ぶ。旧軍用地面積では多摩地域が過半を占める。市区町村別に旧軍用地面積を集計した結果、区部4区(新宿区、世田谷区、渋谷区、北区、練馬区)、多摩地域5市町村(立川市、小平町、昭和町、福生町、稲城村)が100ha以上であった。市区町村別に旧軍用建物の延床面積を集計した結果、区部1区(北区)、多摩地域3市町(立川市、府中町、小平町)が200千m2以上であった。

  • 全国の動向と福島県の概況について
    今西 一男, 西田 奈保子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 68-72
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は中堅所得者向け公的賃貸住宅の今日的な役割・機能を検討することである。わが国では特に1990年代から中堅所得者向け公的賃貸住宅の供給が展開してきた。しかし、この政策の都道府県及び市区町村における普及状況の把握は進んでいない。そこで本研究では全国47都道府県を対象に照会を行い、41団体から回答を得て供給動向を把握した。また、福島県を事例に59市町村を対象とした調査票調査を行い、53自治体から回答を得て施策の普及状況を把握した。特に本報では都道府県の動向についてまとめている。回答41団体中、こうした住宅の供給は25団体で確認された。しかし、今後の供給必要性があるとの回答は4団体に止まった。また、都道府県から見た市区町村による供給の展望について、進展すると回答したのは7団体であった。この二つの回答に共通して見られる特徴は、今後は人口減少傾向にある、また、都市化の進展が低い側で供給の可能性があるという点である。この点を確認するため人口減少割合及び市区割合が低い都道府県として、福島県を検討対象事例として抽出し、調査票調査を行った。その回答53自治体の内、こうした住宅の供給は47自治体で見られた。つまり広く普及している。そして、その自治体の意図については次報で考察している。

  • 福島県内市町村を事例に
    西田 奈保子, 今西 一男
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 73-77
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は、市町村が供給主体の中堅所得者向け公的賃貸住宅の実態を整理することにある。本稿における中堅所得者向け公的賃貸住宅とは、自治体が供給主体となる、公営住宅法適用外の賃貸住宅のことを指す。福島県内の全59市町村及び該当102事業を対象とした住宅課宛の質問票調査結果を分析し、主に次の2つを結論とした。1)小規模自治体では、国の財政的支援策が整備されていない、自治体独自施策としての住宅を供給する傾向がみられる。2)近隣自治体との競争的視点を含んだ人口減少対策目的の住宅は、民間賃貸住宅市場と公営住宅が対応しない隙間に持家以外の選択肢を提供した。他方、中堅所得という収入基準に限らず入居者を限定する傾向が見られ、公的支援の対象世帯とそうでない世帯の選別的性格を強めた。

  • 新潟市における取り組みの沿革・実態の把握を通じて
    溝口 哲平, 藤井 さやか
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 78-85
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,営利事業を含めた河川空間利用が各地で進んでいる。この河川空間利用は寒冷地では盛んではない一方,新潟市では例外的に活発な取り組みが行われており,本研究では,そんな新潟市における河川空間利用の沿革および実態を明らかにすることを目的とする。文献調査と関係者へのヒヤリングを通じて,主に次の二点が明らかになった。1)新潟市の河川空間利用は「黎明期」と「発展期」に大別される。前者は,数日間のイベントが中心だったが,先駆的なオープンカフェの取り組みとして「萬代橋サンセットカフェ」が非営利で実施された。後者になると,制度の充実や民間事業者の参画によってより高度な利活用が行われるようになった。2)新潟市では利活用が活発であるとはいえ,夏季に限られているという実態がある。冬季の利活用に向けた試みも存在するものの,現状では大きな流れには至っていない。

  • 2020年2月末のトイレットペーパーの買い求め行動を事例とした実態調査
    関口 達也, 林 直樹, 寺田 悠希, 大上 真礼, 杉野 弘明
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 86-93
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では,2020年2月末のトイレットペーパーの買い求め行動を事例として,非日常時における人々の日用品の購買意識・行動調査結果を報告する.複数の特性の異なる地域を対象として,地域特に平常時の購買行動との比較,特性の異なる複数地域の比較を行い,人々の購買意識・行動に見られた共通点や違いについて分析を行う.そして,今後の類似事例の発生防止,またそのための対策立案に資する知見を得る事を目的とする.結果から,多くの人々がごく短期間に時間的・空間的に集中をして買い物を行った事が明らかになった.一方で,非日常時の購買行動であっても,平常時の購買行動実態との共通点やその延長上にあると考えられる点も多く見られた.

  • 石井 智也, 吉川 徹, 讃岐 亮
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 94-100
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、観光資源の立地が地方都市や都市の商業集積地区の賑わいに与える影響を明らかにすることである。 81の調査対象都市と都市内の6つの商業地区を選択し、市内の観光資源間のアクセシビリティに関する独自の指標を開発した。分析方法として重回帰分析を使用した結果、回遊性が高い都市は、より多くの商業集積地区を持つ傾向があることがわかった。さらに、観光資源が市内中心部近くにある場合、そのエリアは駅周辺に比べて繁栄する傾向があることがわかった。

  • 東京首都圏を対象として
    中西 健, 吉川 徹
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 101-107
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、実際の距離に対する、人々のイメージする距離のズレについて、居住履歴との関係から分析する。多様な地域特性を含む日帰り圏を対象とし、認知距離に影響を与えると考えられる様々な要因を多角的に分析するために、WEBにて回答可能なアンケート調査を用いた。調査結果を用いてサンプルの分類や重回帰分析を行った結果、一部結果に不明瞭さが生じるものもあったが、多くのサンプルの分類において、居住履歴が認知距離に影響を与えていることが示唆される結果が得られた。

  • 1970年代以降の滋賀県米原市を事例として
    萩原 和
    原稿種別: 研究論文
    2020 年19 巻1 号 p. 108-118
    発行日: 2020/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本報告は、滋賀県米原市を事例として役場庁舎移転のまちづくりによる景観変化を整理したものである。そもそも1970年までは役場は、米原駅を挟んで東側に位置していたが、現在、区画整理事業によって駅の西側に所在する。この事業によって米原駅界隈の都市機能や景観を大きく変化させた。当該報告では、当時の基本計画に言及されていた戦略を紐解くとともに、人口密度データ、航空写真データから、当該地域の人口増減の動向を明らかにした。なお、2021年5月には米原駅東口に新たな新庁舎が竣工予定である。東から西、さらに東に庁舎移転する変化によって、米原駅界隈の都市計画は時系列的に変化し続けている。その一方で一つの拠点にじっくりと腰を据えて発展しなかった課題も表出している。今後、持続的なまちづくりを進めるうえでも東口の開発と「まいはらじゅく」をはじめとする歴史的景観の保全活用、1970年代より開発された駅の西口のまちづくりなどが課題である。

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