本研究は1994年に行った在日韓国・朝鮮人集住地区におけるM通り商店街の変容を追跡調査したものである。商店の業態と商店建物の変容を1994年時点のものと比較して分析を行った。11年を経て撤退した商店と新たに転入してきた商店の特徴を分析したところ、以下のような知見を得た。廃業した多くの商店が日本人商店主であった。転入してきた多くの商店が韓国系の商店であった。撤去された商店は日本人の木造住宅であったが、新たに建て替えられた建物は韓国系のものが多かった。これらにより、M通り商店街ではこの11年間で「日本人商店の退場」が進んでいるものと思われる。
この研究の目的は、中心市街地のにぎわい創出に向けた知見を得るべく、歩行者デッキで行われる定期市の来場者の発話や対話を調査し、その特徴を明らかにすることである。滋賀県大津市の中心市街地で開催された朝市の来場者176人の行動を追跡調査した。1)72人、222件の発話は全て店員に対するもので、87件が対話へ発展した。2)商品に対する質問が対話へ発展しやすい傾向があった。3)会場に10分以上滞在した場合や会場全体を歩き回った場合に発話と対話が増す。4)商品や店員に対する来場者の行動や、店員からの声かけが発話のきっかけとなった。調査結果を元に、定期市における発話や対話の機会を増すための課題について考察した。
本研究は、参加型まちづくりの教育的演習を支援するため、場所、時間の制約の少ないインターネットの利用を想定した条件で、参加型計画デザインのシステムを開発し、学生実験を行う。目標設定や計画提案とその相互評価の演習プロセスを考察し、システムの適用可能性を検証する。なお、演習の内容を街区公園の計画デザインとした。
現在の災害対策における最も重要な課題の一つとして,今後どのようにして老朽した住宅の耐震化を進めていくのかという課題があげられる.本研究では,耐震性能に着目して住宅を構造分類及び建築年代によって4つに分類(建築年代が1980年以前の木造住宅,建築年代が1981年以降の木造住宅,建築年代が1980年以前の非木造住宅,建築年代が1981年以降の非木造住宅)し,1978年から2003年までの期間における東京都区部の住宅戸数及び住宅戸数密度の推移を見た.これにより,1978年からの30年間で住宅の耐震性能の観点から東京都区部における地域の脆弱性がいかに変化してきたのかを明らかにすることが可能となる.
土地利用規制により地価が減少した場合、政府は土地所有者に保障しなければならないという法案37が、2004年にオレゴン州で住民投票の結果、可決した。政府は財政難のため、補償の代わりに土地利用規制を解除した。そのため、土地利用規制を主体とするオレゴン州の成長管理政策は危機を迎えた。2007年に、州議会は、公聴会を経て、法案37修正法案を可決し、それを諮問的レファレンダム(法案49)として住民投票にかけ、61%の賛成を得た。同法案は、1-10軒の住宅建設の権利と、請求権の移転を認める一方で、農地や森林の保全のため、請求に基づく大規模開発は禁止した。このように、法案37は、民主的なプロセスで土地所有者との妥協を図る形で修正された。
本稿では,文献調査をもとに,英米の防犯まちづくりの基礎となっている「場所に基づく防犯理論」(PBCP)の系譜と近年の動向を把握した.その結果,以下の3点が示された.1)1960年代に誕生したPBCPは,1990年代までに「効果の限界性」,「対象空間の限定性」,「実践の困難さ」,「副作用への懸念」の4つの限界に直面した.2)それを踏まえて1990年代後半以降に現れてきた後期PBCPは,「包括的概念」,「対象空間の拡大」,「実践への配慮」,「上位概念への位置づけ」の4つの性格を含むものとなった.3)PBCPは,ニューアーバニズムなどの現在のまちづくりの理論と大きな目標を共有しつつ発展している.
本研究では、防犯カメラの正負の影響に着目し、実際に防犯カメラが設置された集合住宅団地駐車場の利用者(=団地居住者)の意識を調査し、設置に対する賛否の態度が形成される構造を分析した。防犯カメラへの期待は高く、回答者の約半数が自動車関連犯罪への不安が軽減されたと答えた。また、プライバシー侵害等への懸念を感じる人は5%と少なく、9割を超える人が設置に賛意を示した。それでも、SEMによる分析からは、防犯カメラへの賛否の態度が期待と懸念のバランスで形成されていることが明らかになった。また、不安減少は賛成態度に直接影響しないことが明らかになった。
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