都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
17 巻, 4 号
都市計画報告集
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 横浜市泉区領家地区地区計画
    鈴木 俊治
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 360-365
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    横浜市西部の丘陵地域に位置する領家地区は、鉄道系ディベロッパーにより1980年代後半から開発された低層戸建住宅を中心とする約1,400世帯の地区である。開発当初からの建築協定を元に地区計画と地域まちづくりルールを策定しようという住民発意型の活動が2012(平成24)年に開始され、約6年の精力的な活動の結果2018(平成30)年に地区計画の都市計画決定がなされた。筆者はその間一貫して市派遣まちづくりコーディネーターとして住民による検討委員会のサポートに当たった。本稿ではそのプロセスと成果を報告するとともに、今後の課題について論じた。

  • つくばセンター地区を対象につくばセンター地区を対象に
    山口 航平, 藤井 さやか
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 366-373
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    中心市街地は、その都市を代表する「まちの顔」であり、商業・業務・居住などの機能が集積している。しかし中心市街地内に位置する商業地区では十分に顧客や住民ニーズを満たすことが出来ず、商業地区そのものの衰退が著しい。街の顔でもあった大型商業施設は、周辺店舗との競合に立たれ敗者は当たり前のように撤退していく環境に直面している。そこで、本研究は、「撤退前後における公共空間において、人の分布やその属性、停留・滞留行動等の変容実態を把握することで中心市街地の賑わい(来街者の集合分布)の変容を明らかにし、中心市街地での公共空間の使われ方を明らかにすること」を目的とし、大型商業施設撤退後における中心市街地への賑わい創出への検討を行ったものである。

  • 団地再生にむけて
    加藤 仁美
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 374-377
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、神奈川県二宮団地における共同住宅及び戸建住宅居住者の居住実態と居住意識を把握し、住み続けられる郊外住宅団地の再生を探ることを目的とした。その結果、団地内の戸建住宅や共同住宅では、親族による近居スタイルが比較的多くみられ、家族の成長段階に対応した循環居住の実現可能性が確認された。

  • 彦根市・東近江市・湖南市を対象に
    花房 昌哉, 瀧 健太郎, 秋山 祐樹, 吉田 丈人, 一ノ瀬 友博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 378-381
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    2014年に都市再生特別措置法が改正され、各自治体は居住誘導区域と交通ネットワーク等を定めた立地適正化計画を策定することとなった。今回、立地適正化計画を策定済みである滋賀県内3市(彦根市、東近江市、湖南市)の事例を取り上げる。GISを用いて、マイクロ将来人口推計と3つの水害リスクデータを各自治体の立地適正化計画に重ね合わせることによって、水害リスクのあるところに、居住誘導区域を設定していることが分かった。また、3市の立地適正化計画策定担当者にヒアリングを実施した。市民の感情や財産権への配慮と水害リスクの回避という二つの問題を考慮しながら、誘導区域を設定する難しさがある。

  • 拠点の地理的・機能的整合性に着目して
    宮原 弘成, 片山 健介
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 382-387
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    全国の市町村で立地適正化計画の策定が進んでいるが、国の方針では都道府県が広域的な調整を図ることが期待されている。本稿では、立地適正化計画(立適)と都市計画区域マスタープラン(区域MP)の関係性について、拠点の地理的・機能的整合性に着目して分析を行った。その結果、区域MPより立適の拠点の方が多い市町村が多く、同じ区域内でも市町村によって違いがみられた。また、拠点の階層性は概ね一致していたが、区域MPから商業・業務以外の具体的な機能を読み取れたものは少なかった。立適に対して区域MPが広域調整の役割を果たすには、拠点の設定に関する共通の方針・基準の設定や商業・業務以外の機能の記述が必要であると考えられる。

  • 鎌倉市腰越地区をケーススタディとして
    伊藤 渚生, 一ノ瀬 友博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 388-392
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、観光客が避難する際の避難行動を決定している要因を会話と行動に着目し、何が要因になっているか明らかにすることを目的として、鎌倉市腰越地区を対象に、観光客の避難行動の分析を行った。まず、ビーチに近く、津波浸水域となっている場所をスタート地点として、設定した。観光客として想定した2人1組で避難行動をとってもらい、避難経路をGPSログで、避難中に考えていることについて、音声で収集を行った。合計で15組のデータを収集した。その上で、鎌倉市の最短津波到達時間である、8分以内で逃げることができる否か、GPSログを用いて検証を行い、逃げることができなかった事例と逃げられなかった事例をわけ、代表事例について分析を行った。結果として、逃げることができた事例ではすぐに近くの高台へ逃げることができていたため、近くの高台へ逃げられるように誘導を行うことが必要であることがわかった。

  • 水俣市久木野を事例に
    境 翔悟, 一ノ瀬 友博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 393-399
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究では、対象地域である久木野の土地利用の変遷と、その要因の分析を行った。久木野では、戦前において多様な土地利用が存在していたが、農地を除くほとんどの土地は植林地に置き換えられてしまった。伝統的な土地利用は地理的条件や地域住民の営みと深く関わっている一方、1984年にはそれらとの関係がほとんど見られなかった。分析結果をもとに、久木野における伝統的な土地利用を集落及び農地、里山斜面林、草地、奥山に類型化した。里山は日本において一般的であった土地利用類型で、久木野においては雑木林としてだけでなく、焼畑などの生産活動も行われていたことがわかった。しかしながら戦後、それらのほとんどが植林地に変わることとなった。その植林地の多くは急傾斜地で、林業従事者不足により管理放棄されるケースが増えている。そのようなかつて里山であった土地に、植林地に変わる持続的な土地利用を考える必要性が本研究によって示唆される。

  • 石巻市震災伝承検討委員会資料の分析を通して
    西坂 涼
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 400-403
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    東日本大震災の震災遺構の保存を表明した自治体が、どのような検討を経て処置決定に至ったのか、その全体像は未だ明らかでない。本稿は2箇所の小学校の保存を表明した宮城県石巻市において、処置決定前に6回開催された「石巻市震災伝承検討委員会」の資料を分析した。資料の内容をコーディングして10カテゴリに分類し、検討時期別に移動平均を求め、検討事項の出現傾向を明らかにした。その結果、委員会の前半では現況や市民意見の把握に関するコードが多く、第4回で旧門脇小学校が候補として選定された後は、具体的な保存整備に関するコードが多く出現した。また、全体にわたり震災遺構の定義等認識の形成に関するコードが見られた。

  • 行政意向調査に基づいて
    神吉 晃大, 小塚 みすず, 髙田 知紀
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 404-408
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    本報はアンケート調査により明らかとなった港湾都市の特徴を紹介するものである。行政意向調査を実施し集計した結果を以下に示す。1)各港湾都市が想定する港湾周辺地域の範囲を「地形」と「形状」の点から分類・整理した。2)多くの都市で指摘された課題は「景観」,「防災」,「観光」であった。3)港湾部と都市部のつながりの要件とその度合いをAHPを用いた分析により定量的に明らかにした。4)多くの港湾都市において、現在だけでなく今後においても観光関係の積極的な取り組みが見込まれている。

  • 前迫 康文, 土屋 一彬, 大黒 俊哉
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 409-412
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    地域制緑地を適切に運用していくことは、市街化調整区域のような開発規制と都市公園のような行政の買入れによるものの、いずれもが解決できないと考えられる多くの課題解決に貢献し得る。初めに、首都圏近郊緑地保全区域の土地利用変化を分析した。その結果、台地上の2つの区域では区域指定後においても開発が継続して行われていることがわかった。次に、区域指定の経緯で、保全目的の位置づけの有無と実際の緑地保全状況の整合性を各区域ごとに分析した結果、首都圏近郊緑地保全法の第3条にある保全区域の指定要件に関して複数の言及がなされていた4つの区域では、緑地の保全状況がより良い傾向にあることがわかった。

  • オーストリアにおける“生活の道 Wohstraße”と“出会のゾーン Begegnungszone”
    薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 413-418
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    ボンエルフ(生活の道)は、1983年にオーストリアで導入され、2013年には出会いのゾーンと呼ばれるシェアードスペースが導入された。ボンエルフに指定された区間では、当該区間の沿道に立ち寄る車両以外の進入が禁止され、歩行速度での走行のみ認める。出会いのゾーンでは、時速20㎞まで出すことができ、通過も可能である。いずれの道でも、人々は道幅いっぱいに使うことができ、車両は道の利用者に十分な配慮をすることが求められる。ボンエルフの道では、歩道があることが要件となっていたが、シェアードスペースでは、縁石を設けた歩行者空間の指定がある。ボンエルフは歩道があることにより、車道部分を人が歩きづらいため十分に活用されてこなかった。いくつかの地区では、歩きやすい環境をつくるために、プランターで入り口部分に狭窄を設けたり、路面を明るくペイントする大きな改変をせずに実現している。

  • 年月の経過と地域コミュニティ
    水上 象吾
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 419-422
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    個人住宅における庭の緑量は年月の経過による緑の生長が規定要因になり得るかを検討するため、庭の所有者の居住年数や建物の建築年数、地域コミュニティ等の緑量への関係を検討した。その結果、長い年月をかけて維持された庭ほど緑量が増加すると考えられ、古い住居でも所有者が変わると緑は継承されない可能性が示唆された。

  • 福岡 孝則, 加藤 禎久
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 423-429
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    アジア・モンスーン気候下で,都市・国土スケールを対象として展開されるGI適用策の推進手法としてのシンガポールのABC Waters Design Guidelines(ABC-WDG)の内容と実態,及びガイドラインで認証された事例の動向・実効状況から得られた,GI適用策推進に向けた知見は以下の通りである。ABC-WDGは計画・設計や啓蒙のための媒体である一方で,認証制度や人材育成,認証プロジェクトの推進と市民への啓蒙までを3P(市民,行政,民間)で包括的に推進する戦略であることがわかる。シンガポールのABC-WDGは,都市・国土スケールにおけるGI適用策の推進手法としての一つのあり方を示している。

  • 東北・北陸地方を対象として
    石塚 啓太郎, 岡崎 篤行
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 430-435
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市の歴史や文化を把握するため、日本では近世都市研究が進められている。しかし、近世港町研究は、城下町研究と比較して少ない。日本海沿岸地域に城下町の外港として建設された近世港町が存在することはあまり周知されていない。本研究の目的は日本海沿岸地域における近世港町の成立経緯と都市形態を明らかにすることである。分析の結果、港側の町構造は合理的に計画されており、他方で内陸側の町構造は無秩序であるといった傾向があった。

  • 愛媛県内子町を事例として
    西口 光, 中口 毅博
    原稿種別: 研究論文
    2019 年17 巻4 号 p. 436-441
    発行日: 2019/03/07
    公開日: 2022/06/08
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    本研究の目的は衰退する地方の商店街の現状を背景に、商店街ツアーを持続可能性の観点から評価しその効果を検証することを目的とする。対象地域は愛媛県内子町とし、比較事例として石川県七尾市、三重県鳥羽市、ドイツ・フライブルク市とした。GSTC基準をベースにした独自の評価基準により評価した結果、経済面と社会面の課題が明らかとなった。その課題を克服することを目的とした商店街ツアーを企画実施し、さらにWebアンケートにより全国のモニターを対象に商店街ツアーの集客効果を分析した。その結果、分析から明らかになった内子斗湯の弱みを克服する効果を期待でき、かつ一定の集客効果も見込めることが明らかになった。

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