胆道
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6 巻, 5 号
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  • 有山 嚢
    1992 年 6 巻 5 号 p. 457-461
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 永井 哲志
    1992 年 6 巻 5 号 p. 462-472
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    恒常的に消化管の内容に暴露された胆道上皮にいかなる変化がおこるかを調べるため,ラットを用いて,消化酵素の作用を強く受ける総胆管空腸吻合モデル6例と,細菌感染の影響の強い総胆管大腸吻合モデル5例を作製し,20カ月を経過した長期生存例について,さきに報告した6カ月後の所見と比較して胆道系の病態生理を検討すると共に,総胆管上皮の超微細構造を含む形態学的変化を観察し,以下の成績を得た.血液生化学では両実験群とも,GOT,LDHが上昇し,慢性胆管炎がみられた.総胆管内アミラーゼ値は総胆管空腸吻合群がもっとも高値を示し,総胆管内細菌については,特に総胆管大腸吻合群に嫌気性菌を含む混合感染が認められた. 病理形態学については, 両吻合群共に6 カ月後の所見と比較してさらに著しい総胆管の拡張がみられ,その内容物に脂肪酸カルシウムを主成分とする結石を認めた.光顕の組織学的所見では,総胆管空腸吻合群の6カ月後には総胆管上皮の剥離が主であったものが,総胆管上皮の過形成が大部分を占めるようになり,一部に剥離,腸上皮化生,異型性が認められた.また,総胆管大腸吻合群では全域が大腸粘膜類似の過形成上皮で被われ,上皮の脱落や異型性は認められなかった,さらに,その胆管上皮細胞の微絨毛を電顕で観察すると,総胆管大腸吻合群の微絨毛は総胆管空腸吻合群のそれに比し,数,丈ともに有意に大きかった.これらの所見から,環境因子や時間の経過が,胆管上皮の過形成,腸上皮化生,異型性,剥脱に大きく関与していることが示唆された.
  • 隈井 知之, 山田 珠樹, 大西 勇人, 川村 益生, 加藤 直也, 山本 俊幸, 片桐 健二, 早川 富博, 星野 信, 宮治 眞, 武内 ...
    1992 年 6 巻 5 号 p. 473-482
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    名古屋市厚生院における1961年3月より1990年8月までの剖検1,881例を対象に,胆石保有高齢者の検討を行い,以下の成績を得た.
    1)胆石保有例は378例(胆嚢結石303例,胆管結石38例,併存37例).胆石保有率,特に胆管結石保有率は加齢と共に増加.
    2)CT,US,排泄性胆道造影の併用は,胆嚢結石の診断率向上に寄与したが,胆管結石の診断率向上には有用でなかった.
    3)死因は肺炎等の呼吸器系良性疾患が多く,胆道疾患は17例(癌6例,胆嚢結石1例,胆管結石10例)と少なかった.
    4)胆管結石は胆嚢結石に比し,有症状化率,致死率共に高く,生前何らかの胆石発作の症候を示す例が多かった.
    5)治療法については,開腹術と非開腹結石除去術との間で予後に差はなかった.以上より,高齢者の胆嚢結石は,有症状化率,胆嚢癌死率共に低く,積極的,予防的開腹術の適応となり難いと思われた.しかし,胆管結石は一旦発症すると重篤化し易く,全身状態を考慮した上で可及的早期の根治術が必要であると考えられる.
  • 畦元 亮作, 土屋 幸浩, 大藤 正雄
    1992 年 6 巻 5 号 p. 483-494
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    種々の開心術後患者214例を対象としたretrospective study と,35例の開心術患者を対象とした prospective studyで,開心術後の胆石発生機序に関して検討した.retrospectivestudy の開心術群では,術式に関係なく20.1%に胆石の保有を認め,その胆石の多くは,超音波像とCT像から色素石と判定された.非弁膜疾患患者2,495例を対照とした年齢別胆石保有率の検討から,開心術施行時の年齢と胆石発生との間の密接な関連を認めた. prospective studyでは, 術式にかかわらず開心術後6カ月以内に25.7% に胆石の発生を認め,開心術の人工心肺に起因する溶血が,開心術後の胆石発生に大きな影響を及ぼしていると考えられた.
  • 竹田 秀一
    1992 年 6 巻 5 号 p. 495-508
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    CTならびに血管造影による胆嚢癌の壁深達度診断のための基礎的研究として,切除胆嚢癌63症例を対象に,描出された画像所見をretrospectiveに検討し,壁深達度別の所見のばらつきと特徴的な所見を捉えた.壁深達度は腹腔側壁深達度,肝内直接浸潤に分けて検討を行った.CTでは,腫瘍基部の胆嚢壁の肥厚の有無やその漿膜側の性状,肝や他臓器との境界の状態により,血管造影では肝動脈や胆嚢動脈の分枝レベルでの読影により,深達度別に特徴的な所見が得られた.腹腔側壁深達度ではm,pm,肝内直接浸潤ではhinf0,血管造影ではさらにhinf2の所見のぱらつきが大きく,実際の診断も困難と考えられた.ss症例を漿膜下層内での浸潤度別にss軽度浸潤,ss中等度浸潤,ss深部浸潤に分け画像所見を検討すると,CT,血管造影ではss深部浸潤とseの鑑別が困難であり,血管造影ではss軽度浸潤とm,pmの鑑別が困難であった.
  • 三須 雄二, 高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 長谷川 浩, 土屋 繁之, 岩垣 立志, 牛谷 宏子, 山川 泰彦, 小平 進
    1992 年 6 巻 5 号 p. 509-516
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢捻転症の成因としてあげられる遊走胆嚢は全人口の5%に存在すると推測され,まれなものではないが術前に診断される症例は少ない.不完全型捻転症の画像診断においては体位変換による胆嚢の可動性を証明することであり,完全型胆嚢捻転症においては遊走胆嚢の所見,壊死性胆嚢の所見に加え胆嚢管の捻転の所見に着目することが早期術前診断に有用である.
    われわれは,この7年間に8例の胆嚢捻転症(完全型2例,不完全型6例)を術前に診断し,完全型の2例と不完全型の2例に開腹による胆嚢摘出術を,不完全型の3例に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.
    腹痛発作により来院した患者に対し,常にこの疾患を念頭におくことが早期診断,早期治療の第一歩であると考えた.
  • 小松 永二, 松山 秀樹, 鏑木 祐二, 羽島 隆, 松尾 成久, 大井 至, 今泉 俊秀, 鈴木 衛, 中迫 利明, 原田 信比古, 広瀬 ...
    1992 年 6 巻 5 号 p. 517-522
    発行日: 1992年
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵管と胆管が側々に合流した膵胆管合流異常の1例を経験した.症例は16歳,女性.幼少時よりの食後の心窩部痛,嘔気を主訴に来院,ERCPにて,総胆管は最大径1.5cmと拡張し,膵管と胆管は十二指腸乳頭より上流2cmの部で分枝の介在なしに側々に合流していた.また,合流部主膵管内にprotein plugを認めた.PTCにても同様の合流形態が確認された.側々に合流する膵胆管合流異常,円筒状先天性総胆管拡張症,膵石の診断で,肝外胆道切除,分流手術,切石術を施行した.最近では種々の合流形態の膵胆管合流異常が報告されており,それに基づき発生学的考察が成されている.左側のventral pancreaticbudの導管の遺残によるconnecting ductにより交通している症例も報告されており,本例の成因はこの左側ventral pancreatic budの導管がほとんど長さを持たずに遺残,胆管末端の形成不全も起こらなかったことによるものと推測された.
  • 海保 隆, 宮崎 勝, 伊藤 博, 安藤 克彦, 安蒜 聡, 大多和 哲, 尾形 章, 安田 典夫, 林 伸一, 郷地 英二, 清水 宏明, ...
    1992 年 6 巻 5 号 p. 523-528
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肺転移のため切除しえなかった肝門部胆管癌患者に対し,Expandable Melallic Biliary Endoprosthesis(以下EMBE)を用いて,左肝管,右前区域胆管枝,右後区域胆管枝の3本の肝内分枝を内瘻化し, 以後, 患者が癌死するまで, 良好な減黄状態をtube freeの状態で得ることができた. 肝内胆管多分枝閉塞症例の内瘻化は, 従来のplastic tubeを用いる方法では困難であり, 今後EMBEを用いた肝内胆管分枝の内瘻化は, 切除不能肝門部胆管癌患老をはじめとする肝内胆管多分枝閉塞患者のQuality of Lifeの向上に役立つものと考える.
  • 岩村 健一郎, 中野 敦史
    1992 年 6 巻 5 号 p. 529-535
    発行日: 1992/12/10
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    58歳の男性において,健診の際,超音波像で胆嚢壁の全周性肥厚が描出された.まず慢性胆嚢炎が推定されたが,自覚症状はなく,胆嚢炎の既往歴もなく,胆石もみとめられない.胆嚢癌をも考慮する必要があろう.規則的でないにせよ,経時的に反復された超音波像において壁肥厚の増幅が認められた. はじめて壁肥厚を指摘されてからの6 カ月間は比較的緩徐な進展である.6カ月を終わる頃に腫瘍マーカーCA 19-9が基準値を僅かに超えた.ひきつづいての3ヵ月間の肥厚の増幅は急速であり,胆嚢内腔は失われていた.内部充実型胆嚢癌の成立を考えざるをえなかった.同時に胆嚢周囲の肝右葉への浸潤転移を考えざるをえない像も描出された.この時にはCA 19-9およびCA 50も著明に上昇していた.手術により胆嚢と肝転移が確認された.胆嚢壁の肥厚がみられれば経時的な画像診断法を反復し,その増幅がみられ,CA 19-9が基準値を超せば胆嚢癌の疑いを強める.
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