胆道
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15 巻, 2 号
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  • 篠塚 望, 斉藤 直人, 安西 春幸, 松本 隆, 小澤 修太郎, 俵 英之, 上笹 直, 鈴木 智晴, 浅野 博, 阿達 竜介, 小山 勇
    2001 年15 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    血管吻合用クリップであるVascular Closure Staple(VCS)は内腔に露出しない特徴をもつが,このVCSを用いて総胆管直接閉鎖術を計20例(全例総胆管結石例)に施行した.7例は最初から開腹手術で行い,13例は腹腔鏡下で施行した.開腹手術ではVCSによる総胆管直接閉鎖はきわめて容易で,手術時間を短縮することができた.一方,腹腔鏡下ではVCSを直接腹壁より挿入し,支持糸と鉗子を用いて胆管閉鎖が可能であったが,緊急例1例において術後胆汁漏から胆管狭窄をきたし,再手術を必要とした,他の症例においては術後合併症はなく,観察期間はまだ短いが胆管狭窄や再発結石は認めていない.VCSを用いた総胆管直接閉鎖術は,今後,器具の開発や手技の確立が必要であるが,腹腔鏡下手術においても手術時間の短縮や合併症の軽減に有用となりうる可能性があると思われた.
  • 大屋 敏秀, 小道 大輔, 岩本 慶子, 杉山 真一郎, 末永 敏彰, 丸橋 暉
    2001 年15 巻2 号 p. 85-91
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    総胆管結石の治療法は複数の選択肢が確立しており,体外式衝撃波結石破砕療法(ESWL)も有効な方法の一つである.内視鏡的乳頭切開術(EST),内視鏡的乳頭拡張術(EPBD),およびESWLを用いて行った総胆管結石の治療成績を検討した.それぞれの結石除去率は,84.6%,86.1%,63.3%であった.結石の長径が,10mm未満の群では,EST,EPBD,ESWLによる結石除去率は,それぞれ100%,93.1%,69.2%であったが,10mm以上の群では,60%,42.9%,61.1%とESWLは大きな結石の除去により有効であった.ESWL単独による結石破砕が不十分で,EST,EPBDを併用して結石除去した18症例中結石の回収が可能であった14例では,93%においてビリルビンカルシウムを主成分とする弾性軟の結石であった.総胆管結石の効率の良い結石除虫をめざす上で,ESWLはサイズの大きな結石,弾性硬の結石に対して有効であると考えられた.
  • 相浦 浩一, 岩崎 靖士, 浦上 秀次郎, 岸 真也, 北郷 実, 鈴木 慶一, 関 博章, 星本 相淳, 松井 芳夫, 今枝 博之, 熊井 ...
    2001 年15 巻2 号 p. 92-97
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    総胆管結石の内視鏡的治療として乳頭バルーン拡張術は広く普及してきたが,その適応の問題や術後膵炎の予防という観点でまだ解決されていない問題点も存在する.我々は,結石径が大きくても乳頭機能を温存することに意義があると考え,乳頭拡張術を第一選択としてきたが,このような結石径の大きい症例においても,より安全に内視鏡的除石を可能とするため,亜硝酸剤投与のもと径10mm以上の結石の場合,まず内視鏡的乳頭括約筋小切開を先行させてから乳頭バルーン拡張を行った.その結果,最終結石除去率95.1%,平均治療回数1.5回,術後膵炎2.4%で,主に径10mm未満の結石において行ってきた通常の内視鏡的乳頭バルーン拡張術の成績と大差がないと考えられた.したがって,結石径の大きい症例に対する内視鏡的乳頭括約筋小切開併用乳頭バルーン拡張術による総胆管結石治療は,有用と考えられた.ただし,亜硝酸剤投与による膵炎予防効果については,今回の検討からは確認できなかった.
  • 原 均, 森田 眞照, 左古 昌蔵, 土肥 健彦, 岩本 充彦, 井上 仁, 河合 英, 谷川 允彦
    2001 年15 巻2 号 p. 98-103
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    切除胆嚢癌54例を対象とし,胆道癌取扱い規約とpTNM分類における進行度の不一致例と,その遠隔成績につき検討した.経験した症例の進行度分類は,胆道癌取扱い規約では,stageI:18例,stageII:20例,stageIII:7例,stageIVa:6例,stageIVb:3例で,pTNM分類では,stageI:20例,stageII:12例,stageIII:16例,stageIVA:3例,stageIVB:3例であった.進行度の不一致症例は,13例(24%)で,その要因は胆嚢周囲進展度4例,リンパ節転移9例であった.胆嚢周囲進展度による進行度不一致例は,胆道癌取扱い規約ではstageIVa,pTNM分類ではstageIIIであったが,すべて1年以内に再発死した.リンパ節転移による不一致例は,胆道癌取扱い規約において第1群リンパ節のみ転移陽性例のstageIIが,pTNM分類ではstageIIIであったが,全例生存している.以上より,pTNM分類におけるstageIII症例の取り扱いに注意を要するものと考えられた.
  • 神澤 輝実, 屠聿 揚, 江川 直人, 石渡 淳一, 岡本 篤武, 松川 昌勝
    2001 年15 巻2 号 p. 104-110
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Choledochoceleを,胆汁と膵液の流出動態の観点から,膵胆管像における共通管の形成状態より三型に大別し,自験4例と文献報告55例を対象として各々の特徴を検討した.いずれの型も胆石の合併頻度が高かった.胆管と膵管が形成する共通管が拡張した共通管拡張型21例では,急性膵炎を9例,胆道癌を2例で合併した.胆管末端部が嚢状に拡張し,膵管末端部とともに共通管を形成して十二指腸乳頭部に開口する胆管末端部拡張・共通管形成型21例では,急性膵炎を6例で合併し,膵管の拡張を9例で認めた.胆管末端部が拡張し膵管と別個に十二指腸乳頭部に開口する胆管末端部拡張・共通管非形成型17例では, 急性膵炎や胆道癌の合併例はなかった. 膵管と共通管を有するcholedochoceleでは,膵液のうっ滞や胆汁の膵管内逆流などのために急性膵炎合併例が多い.特に共通管拡張型では, 膵液の胆管内逆流がみられ, 膵・胆管合流異常と同様に胆道癌発症を懸念する必要がある.
  • 北郷 実, 相浦 浩一, 鈴木 慶一, 関 博章, 星本 相淳, 岩崎 靖士, 若林 剛, 熊井 浩一郎, 北島 政樹
    2001 年15 巻2 号 p. 111-114
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性.腹痛と発熱を認めたため,CTとUSを施行したところ,胆嚢・総胆管結石症と診断された.内視鏡的逆行性胆管膵管造影施行時,膵管の開口部と胆管の開口部は完全に分離して観察され,総胆管開口部は憩室内に開口していた.胆管造影にて径12~15mm大の結石が3個認められたため,径8mmのバルーンで胆管ロを拡張し,機械的砕石具にて破砕後結石を可能な限り除去した.切石後,内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブを挿入し,2日後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後6日目に再度遺残結石に対し内視鏡下切石術を行い, 完全に総胆管結石を除去した. 膵管と胆管が完全に分離した稀な症例で,さらに胆管開口部が憩室内に開口していた症例であり,内視鏡的乳頭バルーン拡張術が完全切石に有効で,安全な治療法と考えられた.
  • 藤井 義郎, 遠藤 格, 神山 雅子, 増成 秀樹, 上向 伸幸, 三浦 勝, 三浦 靖彦, 田中 邦哉, 市川 靖史, 関戸 仁, 渡会 ...
    2001 年15 巻2 号 p. 115-122
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性. 閉塞性黄疸で発症し, 肝門部胆管癌と診断された.膵胆管造影で新古味分類IIa型の膵・胆管合流異常を認め,肝門部胆管はしめつけ型に狭窄し,左右肝管,さらに右肝内胆管も前後枝分岐部で分離されていた.占居部位BrclsmC,平坦浸潤型の盟管癌と診断し肝右葉切除を予定したが,肝切除率67%,兵庫医大式予後得点39点と安全域上限であったため門脈右枝塞栓術を施行した.門脈塞栓後3週目に,肝右葉,尾状葉全切除,胆管切除術,D2郭清を施行した.切除標本では狭窄範囲は肝門より右肝管優位に肝内へ進展し,組織型は中分化型管状腺癌,切除断端はhm1,dm1であった.胆嚢は限局性に腸上皮化生を認めたが過形成や悪性所見はなく, 胆嚢粘膜のBcl-2発現, codon12のK-ras点突然変異,テロメラーゼ活性,p53異常発現は全て陰性であった.本例のように胆管非拡張型合流異常に胆管癌を合併したのは稀であり,その発癌の機序について過形成を介する胆嚢癌とは異なる可能性が考えられたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 竹内 靖雄, 石井 耕司, 森 孝之, 萩原 正史, 川船 隆史, 住野 泰清
    2001 年15 巻2 号 p. 123-127
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    癌例は45 歳男性. アルコール性肝硬変, 黄疸, 上腹部痛のため入院. 総胆管内に10個以上の結石が認められたが肝硬変の病期がChild Cであったため,内視鏡的に乳頭括約筋を中切開後,経鼻的胆道ドレナージ(以下ENBD)チューブを留置した.7日後の造影上,過半数の結石は自然排石されており,遺残結石をバルーンカテーテル等で除去し,合併症もなく経過し黄疸も軽減した.高リスクの患者に伴発した総胆管結石の除去に際して,今回施行した乳頭括約筋切開,ドレナージ,そして後日採石という分割治療が有用な方法であったと思われる症例を報告した.
  • 上田 順彦, 山本 精一, 吉光 裕
    2001 年15 巻2 号 p. 128-132
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流部に括約筋作用が及んでいるにもかかわらず,題汁中アミラーゼ値が高値であった1例を報告した.癌例は50歳,女性.胆嚢結石の精査加療を目的に入院となった.腹部超音波所見では胆嚢内に6mm大の結石を2個認めた.題嚢粘膜と筋層を示す低エコー層は5mmとやや幅広く,内腔側は不規則であった.ERCP所見では胆管と膵管の合流部は十二指腸壁外であるが,括約筋作用は合流部より上流に及んでいた.ただし,胆管および主膵管の拡張は認めなかった.腹腔鏡下胆摘術を施行したが,後日判明した胆嚢胆汁中アミラーゼ値は127,932U/lであった.切除標本では胆嚢壁はやや肥厚し,粘膜面は小顆粒状であった.胆嚢内に5mm大のコレステロール結石を2個認めた.病理学的には胆嚢粘膜は著明な過形成を示したが,異型性はなかった.自験例は十二指腸壁外に存在する膵・胆管合流部に括約筋作用が及んでいたが,合流異常と同様の病態を呈した症例であった.
  • 渡野辺 郁雄, 高森 繁, 児島 邦明, 深澤 正樹, 別府 倫兄, 二川 俊二, 須山 正文, 有山 嚢, 松本 俊治, 須田 耕一
    2001 年15 巻2 号 p. 133-139
    発行日: 2001/07/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常を伴った,いわゆる胆嚢癌肉腫の1例を経験した.症例は71歳の女性.自己免疫性肝炎があり,その経過観察で腹部超音波検査を施行したところ,胆嚢体部に結節型の腫瘍を認めた.腹部CTでは粘膜面から造影効果のある腫瘍で,肝S4への転移を認めた.ERCPでは胆嚢内の結節型の腫瘍および膵・胆管合流異常症の所見であった.超音波内視鏡では,高エコーと低エコーが混在する結節型の腫瘍で,腹部血管造影でencasement伴う腫瘍濃染像および肝転移を認めた.平成12年4月17日,膵・胆管合流異常を伴った胆嚢癌およびその肝転移の術前診断で,開腹胆摘+肝部分切除,肝動注カテーテル挿入術を施行した(T1,N1,H2,P0,M(-),StageIVb, CurB) . 術後の病理組織所見はwell differentiated adenocarcinoma+so-called carcinosarcoma,肝転移はsocalled carcinosarcomaの診断であった.術後,内服にてdoxifluridine 300mg/day,動注ポートよりfluorouracil 500mg+cisplatin 10 mg 1回,fluorouracil 250 mg×9回化学療法施行したが,多発肝転移および癌性腹膜炎を来たし平成13年1月31日永眠されている.
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