症例は51歳,女性. 閉塞性黄疸で発症し, 肝門部胆管癌と診断された.膵胆管造影で新古味分類IIa型の膵・胆管合流異常を認め,肝門部胆管はしめつけ型に狭窄し,左右肝管,さらに右肝内胆管も前後枝分岐部で分離されていた.占居部位BrclsmC,平坦浸潤型の盟管癌と診断し肝右葉切除を予定したが,肝切除率67%,兵庫医大式予後得点39点と安全域上限であったため門脈右枝塞栓術を施行した.門脈塞栓後3週目に,肝右葉,尾状葉全切除,胆管切除術,D
2郭清を施行した.切除標本では狭窄範囲は肝門より右肝管優位に肝内へ進展し,組織型は中分化型管状腺癌,切除断端はhm1,dm1であった.胆嚢は限局性に腸上皮化生を認めたが過形成や悪性所見はなく, 胆嚢粘膜のBcl-2発現, codon12のK-ras点突然変異,テロメラーゼ活性,p53異常発現は全て陰性であった.本例のように胆管非拡張型合流異常に胆管癌を合併したのは稀であり,その発癌の機序について過形成を介する胆嚢癌とは異なる可能性が考えられたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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