胆道
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14 巻, 4 号
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  • 高橋 進一郎, 竜 崇正, 佐竹 光夫, 木下 平, 小西 大, 井上 和人
    2000 年14 巻4 号 p. 323-331
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    左門脈の分岐様式は52例中49例(94%)が,門脈水平部からP 2が分かれ,その肝側でP3とP4が共通管となる型である.しかし,左胆管の合流様式は大きく3タイプに分けられ,内側枝が肝門部で合流しそれより肝側のB 2,B 3が共通管となるtype 1が26例(50%),同一部位にB 2,B 3,B 4が合流するtype 2が7例(13.5%),門脈と同様な形式をとるB 3,B 4共通管型のtype 3が15例(29%)であった.それぞれの胆管合流様式ごとに,B2の合流部と門脈臍部との関係を検討すると,type 1では門脈臍部の左側であるが,type 2,type 3ではいずれも門脈臍部の右側であった.B 2胆管とP 2門脈の非並走部の距離は,type 1では0.7±1.9mm,type2では17.3±3.1mm,type3では28.3±7.6mmとtype1が有意に短かった.すなわち,肝門部癌でB2に浸潤がある場合,type 1では右からの切除は困難であるが,type2の同一部合流型,type 3のB 3,B 4共通管型では,右からの切除でも十分根治切除となる可能性がある.術式決定に左肝管合流様式を検討することは極めて有意義であり,胆管枝と門脈枝の相互関係を把握できる胆管門脈同時造影CTは肝門部胆管癌の術前検査として有用であると思われた.
  • 増井 秀久, 若林 一郎, 岩田 信生, 小泉 直子
    2000 年14 巻4 号 p. 332-338
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢平滑筋収縮へのtyrosineのリン酸化の関与,およびその機序について検討した.Tyrosine phosphatase阻害剤であるsodium orthovanadateはKClによる収縮を著明に増強したが,histamineによる収縮へは有意な影響を与えなかった. またL型Ca2+channel刺激剤であるBayK 8644存在下でのCa2+による収縮は,sodium orthovanadateにより有意に増強した.さらにsodium orthovanadateは50μM以上から収縮反応を惹起し,この収縮反応は細胞外Ca2+を除去することや,verapamil存在下で完全に抑制された.
    一方,tyrosine kinase阻害剤であるgenisteinはKCl収縮には影響を与えなかったが,histamine収縮を強く抑制した.またouabainによる収縮はsodium orthovanadateにより強く増強されたが,この増強した収縮はgenisteinにより強く抑制された.これらの実験結果から,胆嚢平滑筋ではtyrosine リン酸化がL型Ca2+channelを介する収縮過程に関与していることが明らかとなった.
  • 木村 康利, 古畑 智久, 向谷 充宏, 柳内 良之, 川上 雅代, 佐藤 昌明, 一宮 慎吾, 平間 敏憲, 平田 公一
    2000 年14 巻4 号 p. 339-346
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌の発癌,進展に関与する癌関連遺伝子の検索を目的に,β-catenin蛋白をコードするctnnb-1遺伝子の変異検索を行った.ctnnb-1遺伝子のexon 3はGSK-3βによるリン酸化部位であり,これをPCR-SSCP法にて解析した.さらに,免疫組織化学的検討を行いβ-catenin蛋白の細胞内局在の異常を解析した. 対象は膵管胆道合流異常を合併した胆嚢癌5例と胆嚢癌の合併のない合流異常症8例の胆嚢である.その結果,胆嚢癌5例中3例に,遺伝子変異を同定し得なかったものの,β-catenin蛋白の核,または細胞質への移行が確認された.合流異常症例の胆道系組織(非癌部)では,遺伝子変異,細胞内局在をともに認めなかったことから,Wnt-winglessの情報伝達系におけるβ-catenin蛋白の異常蓄積は胆嚢癌の発生,進展において北較的後期に関与する可能性が示唆された.
  • 和田 慶太, 高田 忠敬, 天野 穂高, 吉田 雅博, 安田 秀喜, 山川 泰彦, 豊田 真之, 伊藤 康治, 高木 健司, 守屋 由紀
    2000 年14 巻4 号 p. 347-353
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    切除不能悪性胆道狭窄に対する胆管ステントを用いた胆道内瘻術の有用性と問題点について検討した.肝門部胆管狭窄群ではExpandable Metallic Stent ; EMSとTube Stent ; TSの開存期間に差がなかったが,中下部胆管狭窄群ではEMSの方がTSよりも有意にステント開存期間が長かった.ステント挿入によりPerformance Status; PSは14例中13例(92.9%)がPS-0またはPS-1に改善された.最も重要な問題点は再閉塞であり,EMSの閉塞は肝門部胆管狭窄群では3/3(100%),中下部胆管狭窄群では2/6(33.3%)に認められた.閉塞原因としては腫瘍側因子であるingrowth, overgrowthが4/5(80%)を占め,挿入後平均80.6±7.3日で認められた.今後は肝門部胆管狭窄に対するステント開存成績を向上させることが重要な課題である.
  • 神澤 輝実, 屠 聿揚, 江川 直人, 石渡 淳一, 唐沢 克之, 佐々木 常雄, 鶴田 耕二, 岡本 篤武, 高橋 俊雄
    2000 年14 巻4 号 p. 354-360
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    進行胆嚢癌(Stage IV)111例に対し,温熱・化学・放射線療法の三者併用療法(23例),治癒切除術(9例),非治癒切除術(30例),化学/放射線療法(49例)のいずれかを施行し,それぞれの治療成績を比較検討した.三者併用療法群では,CT像による腫瘍縮小効果を14例(著効4例,有効10例)61%で,胆道造影による胆管狭窄改善効果を16例中11例(著効4例,有効7例)69%に認めた.治療成績は治癒切除群は最良であるが,三者併用療法施行群の平均生存月数は9.0±6.4で,化学/放射線療法群の5.5±4.4より有意に長期であり(p<0.01),非治癒切除群の8.0±4.1と差を認めなかった.三者併用療法は進行胆嚢癌の治療法として有用であり,金属ステントの胆管内瘻術を併用することにより,一層のQOLの向上が期待された.
  • 井口 雅史, 太田 哲生, 北川 裕久, 谷 卓, 西村 元一, 萱原 正都, 清水 康一, 三輪 晃一, 松井 修
    2000 年14 巻4 号 p. 361-367
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    固有肝動脈塞栓術後に肝十二指腸間膜切除を安全に施行できた,中部胆管癌の1例を経験した.症例は55歳,男性.画像検査より術前診断は壁外浸潤を伴う中部胆管癌であり,門脈・固有肝動脈と近接し浸潤が疑われた.血管造影では左肝動脈が左胃動脈から分岐していたため,肝内シャントの増加を目的に術前に固有肝動脈に対しTAEを行った.3週間後の血管造影では固有肝動脈の血流は遮断され,左肝動脈から中肝動脈への肝シャントの血流増加を確認した.TAEに伴う肝機能障害は認めなかった. 手術は肝十二指腸間膜切除+ PpPDを行い, 腫瘍をen blocに切除した. 肝動脈は再建せず, 門脈は端々吻合にて再建した. 術翌日にAST,LDH,T-bilは一過性に高値を示したが,速やかに正常化した. 経過は順調で術後34日目に退院となった. 胆管癌に対する肝十二指腸間膜切除術は,術前TAEを行うことにより,肝動脈非再建にて安全に施行できる方法であると考えられた.
  • 藤井 秀樹, 松田 政徳, 茂垣 雅俊, 板倉 淳, 宮坂 芳明, 飯塚 秀彦, 松本 由朗, 相川 勝則
    2000 年14 巻4 号 p. 368-372
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の女性で,15カ月前に慢性胆嚢炎の診断で腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けている.その際の腹部超音波検査所見では,軽度の胆嚢壁の肥厚と胆嚢の緊満腫大が認められたが胆嚢結石は認められなかった.また,DICでは胆嚢は描出されなかった.今回閉塞性黄疸で発症した.PTCDを施行され,総肝管の完全閉塞が認められ,胆管癌と診断された.手術所見では胆嚢管切離部に十二指腸球部が癒着し,剥離部に腺癌が認められたため,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には,胆嚢管原発の高分化腺癌であった.胆嚢不影例で胆嚢の腫大が認められる症例では,胆嚢管に閉塞機転が存在するものと考え,直接胆道造影を駆使し,その病態の解明を試みると同時に癌の併存を常に念頭におき,慎重にその適応を決定すべきである.
  • 松本 浩次, 小坂 泰二郎, 佐藤 泰然, 須郷 広之, 行方 浩二, 鈴木 州美, 高森 繁, 児島 邦明, 深澤 正樹, 別府 倫兄, ...
    2000 年14 巻4 号 p. 373-378
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は,72歳,女性.主訴は腹壁腫瘤触知,既往に52歳時胆石症にて開腹胆嚢摘出術,62歳時総胆管結石症にて総胆管切開術,65歳時内視鏡的乳頭切開術(EST)施行歴あり.腹壁腫瘤より粘液の流出を認め,生検で粘液腺癌と診断.経皮経肝胆道造影(以下PTC)にて肝内胆管左外側下行枝(B3)と腹壁腫瘤が瘻孔を形成する像が描出され,腹壁腫瘤より造影剤の流出を認めた.経皮経肝胆道鏡(以下,PTCS)では,外側区域枝を中心に左肝管にかけて粘液産生を伴う乳頭状隆起性病変を認めた.腹壁浸潤を伴う粘液産生胆管癌の診断にて肝左葉切除術を施行したが,術後9カ月目に癌性腹膜炎にて死亡した.
    我々は,腹壁に連続的に浸潤を来した,非常に稀な粘液産生胆管癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 増成 秀樹, 遠藤 格, 金谷 剛, 藤井 義郎, 窪田 徹, 関戸 仁, 渡会 伸治, 嶋田 紘, 河野 尚美, 林 嘉繁
    2000 年14 巻4 号 p. 379-384
    発行日: 2000/10/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性. 右季肋部痛, 発熱を主訴に,当科入院した.入院時WBC17,600/μl,CRP18.7mg/dlと強度な炎症所見を伴い,腹部CT検査では著明に肥厚した胆嚢壁内および胆嚢床部とS4+S5を中心とした肝内に多発するlow density lesionを認めた.絶食,抗菌剤投与にて症状軽快し,入院21日目の腹部CTでは胆嚢壁および肝内のlow density lesionは著明に縮小した.画像および臨床経過から黄色肉芽腫性胆嚢炎・多発肝膿瘍を疑い,胆嚢摘出・残存肝膿瘍開窓術を施行した.病理組織所見では胆嚢壁内に異物多核巨細胞を含むgranulomatous lesionを認め,黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した.
    通常,黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆嚢壁の一部に限局した病変を呈することが多く,胆嚢全体に病変が及ぶことは稀である.さらに多発肝膿瘍を伴った黄色肉芽腫性胆嚢炎の報告は本邦1例目であり,貴重な症例と考え報告した.
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