胆道癌の外科切除縁には胆管断端と剥離面が含まれる.
胆管断端の評価は,胆道ドレナージチューブによる炎症のための上皮の再生・反応性異型,凍結切片での評価の困難性,付属腺/胆管周囲腺や壁内の導管が浸潤癌と類似,等の理由で経験豊富な病理医でも診断が難しい場合がある.胆管断端が浸潤癌陽性の予後は不良だが,追加切除の意義に対する意見は分かれる.上皮内癌陽性では短期的な予後は断端陰性と変わらないが,中長期的に再発を来す可能性がある.リンパ節転移がない早期の胆管癌では,上皮内癌陽性に対する追加切除が生存を改善する可能性がある.
肝門部や肝十二指腸間膜では胆管と脈管の近接のため,剥離面の十分なマージンを確保しづらく,剥離面の浸潤癌陽性の場合は成績不良と報告されている.
切除縁陽性例に対する術後治療で,上皮内癌と浸潤癌陽性を分けた報告はなくエビデンスは少ないが,化学療法や化学放射線療法に期待が持たれている.
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