胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
17 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 伊藤 直人, 水野 伸一, 浅野 英一, 下地 英機
    2003 年17 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は, 62歳, 女性. 右側腹部痛にて受診. 腹部超音波およびCT検査で, 肝内胆管(B6)の拡張および肝膿瘍,総胆管結石を認めた.経皮経肝胆管ドレナージ術(PTBD)で,肝内胆管・右後下背側枝(B6b)の拡張および中枢側への先細り狭窄を認め,肝表面の膿瘍も拡張胆管との交通を認めた.
    狭窄部を含めた肝切除を施行し, 病理学的には, 炎症性の胆管狭窄と診断した. 胆管狭窄の良悪については,画像診断では困難なことが多く,文献的にも,悪性を考慮した外科的治療が多い.
    本症例のような,末梢肝内胆管の狭窄には,良性であってもstentの挿入が困難な例が多く,早期手術による早期退院が望ましいと推察された.
  • 森 隆, 松田 忠和
    2003 年17 巻1 号 p. 19-24
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢捻転症( 以下, 本症) は術前診断が困難と考えられてきた. 今回我々は, CT検査で術前診断の後,発症から5時間後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した88歳,女性の症例を経験した. 超音波検査では結石は認めず, 緊満した胆嚢・胆嚢壁の肥厚・周囲の腹水貯留を認め,急性胆嚢炎と診断した.CT検査で胆嚢頸部に渦巻き状の多層構造を認め,本症と診断できたため, 緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 胆嚢は頸部を軸に時計方向に270度捻転しており,捻転整復後に容易かつ安全に鏡視下切除でき,術後は順調で,第13病日に退院した.症例数の集積によって,その画像診断上の特徴も明らかになってきた今日,急性胆嚢炎診療の際に本症を疑ってかかることで,これまで困難とされてきた術前診断が可能になると考えられた.そして診断がつけば,その解剖学的特徴から腹腔鏡下切除を治療の第一選択にすべきと考えられた.
  • 木暮 道夫, 吉川 達也, 今泉 俊秀, 高崎 健, 宮内 倉之助, 藤本 章, 林 俊之
    2003 年17 巻1 号 p. 25-31
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の女性で, 初回手術時肝左葉に胆管内腫瘍塞栓を伴った径5cm肝細胞癌に対し, 肝左葉切除, 肝外胆管切除胆道再建術を施行した. 術後1年目より乳頭部に腫瘍の増殖, 脱落が認められた. 腹痛の増強, 出血, AFP の上昇から, 転移性乳頭部腫瘍の診断で術後3年目に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 十二指腸憩室内に乳頭が開口しており, その口側に径3.5cm×2.5cmの有茎性腫瘍を認めた. 病理では肝細胞癌の乳頭部転移で, 十二指腸進展, 膵浸潤, リンパ節転移はなかった. 胆管内発育型肝細胞癌の十二指腸乳頭部への転移形式としては, (1)血行性転移, (2)リンパ行性転移, (3)直接浸潤, (4)播種性転移が考えられるが, 自験例は胆管内腫瘍栓が脱落し胆管に implantation した播種性転移例と思われた. このような報告例は過去になく, 胆管内発育型肝細胞癌の転移形式として, 稀ではあるが,経胆道的な播種性転移も考慮されるべきである.
  • 坂本 英至, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 伊神 剛, 森 俊治, 水野 隆史, 服部 弘太郎, 杉本 昌之, 深見 保之
    2003 年17 巻1 号 p. 32-37
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    最近10年間に切除した胆管癌31例のうち, 肝側断端癌陽性となった5例について断端陽性となった理由および断端の組織所見と術後成績を検討した. 5例中4例は術前診断からHPDが必要と判断したが, 患者側の理由により姑息手術としての胆管切除を選択した. 他の1例は術前診断した癌進展範囲をこえて癌が浸潤していた. 肝側断端陽性例を, 癌が胆管断端の fm 層から ss 層に浸潤している壁浸潤群と, 癌が断端の粘膜内のみに存在する粘膜内進展群とに分類した. 壁浸潤群は平坦型2例, 結節型1例で, 粘膜内進展群はいずれも結節型であった. 他の臨床病理学的因子に大きな差がないにもかかわらず, 壁浸潤群は3例とも術後半年から1年半で再発死亡したのに対し, 粘膜内進展群では術後1年8カ月, 4年9カ月の現在, 無再発生存中である. 以上より,胆管癌の粘膜内進展部分では深部浸潤部に比べて異型度が少なく, 生物学的悪性度が異なることが予想された.
  • 安藤 秀明, 安井 應紀, 伊勢 憲人
    2003 年17 巻1 号 p. 38-42
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌は切除率が低く, 予後不良で集学的治療法が必要とされる. 今回,非治癒切除肝門部胆管癌症例に対し術後外照射施行し, 遺残癌治療に有効であったが, その後照射領域の高度線維化を引き起こし死亡した症例を経験したので報告する. 疲例は72歳, 女性. 心窩部不快感で発症し, 肝門部胆管癌と診断され手術施行. 肝門部切除を施行したが, 術中迅速病理組織診断で, 十二指腸側・左右肝管切離縁に癌浸潤を認めたので, これ以上の切除は付加しなかった. 術後外照射を1.8Gy/日を合計50.4Gy施行.照射直後より, 腹部CT検査で照射野の血流低下を認めた. 術後3カ月より胆管炎を繰り返し, 術後7カ月で胆汁性肝硬変, 肝膿瘍で死亡した. 剖検所見では, 照射野に一致した高度線維化を認めたが癌浸潤はなかった. 本症例では, 術後外照射が有効であったが, 照射による線維化強く, このような症例では, 肝門空腸吻合部にステント留置したり, 胆道ドレナージが必要と思われた.
  • 伊神 剛, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 森 俊治, 服部 弘太郎, 水野 隆史, 杉本 昌之, 深見 保之
    2003 年17 巻1 号 p. 43-50
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例1は67歳の男性, 胆嚢結石, 総胆管結石, 胆嚢腺筋症で腹腔鏡下胆嚢摘出術 (以下LC) を施行, 術中胆汁の漏出を認め, 胆嚢の組織学的所見は慢性胆嚢炎であった. LC後1年6カ月で臍下部の port site recurrence を認め切除し, 病理組織の再検討で高分化型管状腺癌, 深達度mであった. 以後, 2度の臍下部の port site recurrence と両側鼠径リンパ節転移を生じ, LC後5年4カ月で癌死した. 症例2は72歳の女性, 胆嚢結石, 胆嚢腺筋症でLCを施行, 術中胆汁の漏出を認め, 高分化型管状腺癌, 深達度ssであった. 追加切除は患者の希望で未施行, LC後1年で臍下部と心窩部の2カ所に port site recurrence を認め切除した. さらに, LC後1年10カ月で2カ所とも再発し, 切除LC後3年6カ月, 腹膜播種, port site recurrence を伴い生存中である. LC後 port site recurrence は, 切除後の再発, 複数カ所の発生, 非典型的な臨床経過, など重要な問題を含み, 根治切除困難である.
  • 山田 康雄, 今井 延年, 森岡 研介, 松本 浩次, 吉田 範敏, 藤澤 稔, 児島 邦明, 深澤 正樹, 別府 倫兄, 信川 文誠, 須 ...
    2003 年17 巻1 号 p. 51-56
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は75歳, 男性. 腹部圧迫感を主訴に来院. 腹部超音波検査, 腹部CT検査にて肝右葉に直径12cm大の巨大肝嚢胞を指摘されるも, 壁在結節および壁肥厚はなく, 逆行性胆管造影, 腹部血管造影検査においても肝内胆管との交通および腫瘍濃染像は描出されず, 悪性を示唆する所見は認めなかった. 2001年5月, 肝嚢胞の診断で経皮的嚢胞穿刺・エタノール洗浄の保存的加療を試みるが効果無く, 2002年1月30日, 腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行し, 内腔をアルゴンビームにて焼灼した. 嚢胞内溶液の細胞診は Class II , 嚢胞内腫瘍マーカーCEA 56.9ng/ml,CA 19-9 434, 315U/mlと高値を示した. 病理組織学検査では, 嚢胞壁内に充実性病変認めなかったが, 嚢胞壁に類円形から紡錘形の細胞が部分的に認められ, 卵巣様間質を伴っていた. 免疫組織染色にて上皮および間質の細胞にプロゲステロンレセプター陽性所見を示し, 病理組織学的に肝粘液性嚢飽腫瘍(肝MCT)の診断が得られた肝MCTは卵巣様間質と粘液産生上皮を含有する腫瘍と定義づけられており, 一般に若年女性に好発すると言われている. 今回,極めて稀な高齢男性の肝粘液性嚢胞腫瘍の1切除例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.
  • 松山 隆生, 尾関 豊, 角 泰廣, 村瀬 勝俊, 吉田 直優, 大西 佳文
    2003 年17 巻1 号 p. 57-62
    発行日: 2003/04/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝内胆管が嚢胞状に拡張し, 術前に肝内胆管癌の合併が疑われた肝内結石症の1例を経験したので報告する. 症例は63歳, 女性. CA 19-9 の異常高値を認め, 腹部超音波検査と腹部CTで, 左肝管に肝内結石と肝内胆管の嚢胞状の拡張を認めた. 右からのPTCD造影では左肝管は途絶し, 造影されなかった.血管造影では, 肝左葉に血管増生像を認めた. 以上から, 肝内胆管癌を合併した肝内結石症と診断し, 肝左葉切除術を施行した. 肉眼的には,肝左葉の萎縮と左肝管の嚢胞状の拡張を認めた. 術中超音波検査所見では結石を認めるのみで,悪性所見を得られなかった. 病理組織検査では慢性増殖性胆管炎の所見のみで,悪性所見を認めなかった. 肝内結石症と肝内胆管癌の合併は稀ではないが, その診断には難渋することが多い. 治療に際しては, 常に癌の合併を念頭に置いた積極的な対応が必要である.
feedback
Top