胆管切除, 胆道再建術を施行した症例に対する, 適切な術後抗菌薬の投与法を明確にする目的で以下の検討を行った. 対象は悪性胆道疾患70例で, 術前後の胆汁培養検査で同定された細菌と投与された薬剤の感受性試験を検討した.術後予防的に投与する抗菌薬は, 原期的にピペラシリン(PIPC) かスルバクタム/ セフォペラゾン(SBT/CPZ) を使用した. 術前の初回胆汁培養検査では細菌陽性率は40% (6/15) で, 減黄チューブ留置後,陽性率は上昇した.術後,3日以内の細菌陽性率は50%でグラム陰性桿菌が多く,4日以降では陽性率は79%に上昇し,グラム陽性球菌の割合が増加した.8日以降では細菌陽性率は100%で,再度グラム陰性桿菌の割合が増加した.術後感染症は53%(37/70)に認め,術後7日以内の感染症は胆管炎によると思われる敗血症7例で,8日以降の感染症は,縫合不全や胆汁瘻が原因の腹腔内感染であった.薬剤感受性試験は,SBT/CPZに対しては腸球菌が,PIPCに対しては
Stenotrophomonas maltophiliaが耐性を示したが,これらはバンコマイシン(VCM)やミノサイクリン(MINO)に対して感受性を示した.在院死6例はすべて葉切除以上の肝切除が施行され,そのうち2例は術後感染症を契機に肝不全へ移行した症例であった.術後4日目には酎性菌が出現してくるため,感染徴候が増悪,遷延する場合,腹腔内感染を念頭におき治療的抗生剤へ変更する必要がある.特に肝不全が危惧される拡大肝切除例では早期の対策が必要で,empiric therapyとしてVCMやMINOを追加投与すべきである.
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