胆道
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12 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 藤田 力也
    1998 年 12 巻 5 号 p. 369-376
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 岩見 昇, 大矢 正俊, 石川 宏
    1998 年 12 巻 5 号 p. 377-385
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆石症胆嚢におけるVasoactive intestinal peptide(VIP)含有神経線維密度の分布を,免疫染色と画像解析により定量的に検討した.対象は胆嚢結石症39例,胆嚢総胆管結石症7例,胆道疾患のない8例である.胆嚢頸部・底部の全層組織に抗VIP抗体を用いABC法で免疫染色を施行し,粘膜固有層・筋層の強拡大像をCCDカメラで取り込み,画像解析でVIP含有神経線維密度を計測し,胆石の存在部位,症状の有無,胆嚢炎の組織学的程度, 結石の組成, 胆嚢壁の厚さとの関係を検討した. 底部筋層におけるVIP含有神経線維密度は胆石症胆嚢で高く,とくに組織学的な炎症所見が高度の例で高かった.また,底部筋層においてコレステロール胆石群で高く,頸部粘膜固有層において有症状例・色素胆石群で低かったことから,胆石症・胆嚢炎とVIP含有神経線維密度の変化との関連が推測された.
  • 発癌との関連を中心に
    杉山 讓, 小堀 宏康, 袴田 健一, 清藤 大, 鳴海 俊治, 遠藤 正章, 佐々木 睦男, 須貝 道博, 棟方 博文
    1998 年 12 巻 5 号 p. 386-394
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常症(以下, 合流異常) では, 胆道癌の発生頻度が高いといわれ,その原因の1つとして胆汁組成の変化があげられている.そこで,合流異常8例(以下,合流異常群)と胃癌手術時に採取した肝胆道系に異常がない19例(以下,対照群)の胆嚢胆汁の比較を行った.その結果,対照群に比べ合流異常群では,総および一次胆汁酸,細胞障害性が強いとされる二次胆汁酸の濃度が有意に低く,遊離型胆汁酸(以下,FBA)も検出されなかった. 一方, リン脂質(以下, PL) は有意に低かったが, 分画・分画比率共細胞障害性の強いリゾレシチン(以下,LL)が有意に高かった.また,LL生成の原因と考えられる膵液の胆道内逆流の証拠となるアミラーゼは,合流異常群で有意に高かった.以上より,胆道癌発生には細胞障害性が強いとされる二次胆汁酸やFBAの関与は少なく,むしろ膵関連酵素の胆道内混入に伴うLLの増加の影響のほうが大きいものと思われた.
  • 花田 敬士, 日野 文明, 天野 始, 山崎 総一郎, 大林 諒人, 土田 明
    1998 年 12 巻 5 号 p. 395-401
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸を合併した肝癌に対してexpandable metallic stent(EMS)を挿入し,良好に経過した2 例を経験した. 症例1は44歳, 女性. 慢性B型肝炎で経過観察中, 肝左葉から肝門部に約4cmの肝癌を認め入院. 十二指腸乳頭から出血を認め, ENBD留置,TAIにて止血に成功し退院となったが,7カ月後,再び黄疸が増悪し,内視鏡的胆道ステントを留置し, 約2 カ月の家庭復帰が可能となった. 症例2は80歳, 男性. C型肝硬変にて経過観察中, 左葉, 肝門部, 右葉S8に腫瘍を認め, 黄疸が急速に増悪したため入院. PTCDからの造影では肝門部胆管に肝癌の浸潤を認め,経皮経肝胆道ステントを留置し,家庭復帰が可能となった.6カ月経過した段階でも外来通院中である.閉塞性黄疸を併発した肝癌は予後不良とされているが,EMSを応用することにより,家庭復帰が期待できる.
  • 神澤 輝実, 江川 直人, 石渡 淳一, 鶴田 耕二, 岡本 篤武, 佐々木 常雄, 河内 洋
    1998 年 12 巻 5 号 p. 402-407
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は4 8 歳, 女性. 主訴は上腹部膨満感と腹部腫瘤触知. 腹部U S , C T で, 胆嚢底部から壁外性に発育する腫瘤と肝内に転移巣, および後腹膜リンパ節腫大を認めた. 血管造影では腫瘍濃染像を,ERCPでは上部胆管の狭窄と共通管長20mmの膵・胆管合流異常を認めた.エコー下肝生検では未分化癌であり,CDDPとVP-16の化学療法を施行した.腫瘍の著しい縮小を一時期認めたが,再燃し初回入院より16カ月後死亡した.剖検では,胆嚢底部の粘膜内に高分化型腺癌を,その深部に内分泌腫瘍を認め,両者が混在する胆嚢内分泌細胞癌と診断した.膵・胆管合流異常に合併した胆嚢内分泌細胞癌の報告は,本例が3例目である.
  • 古川 善也, 松本 能里, 山本 昌弘, 小野川 靖二, 山岡 義, 藤原 恵, 山本 一治, 江崎 卓弘
    1998 年 12 巻 5 号 p. 408-413
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    重複胆管と膵・胆管合流異常(以下,合流異常)の二つの先天異常の併発に,胆嚢癌を合併した1例を経験した.症例は68歳,男性.自覚症状はなかったが,検診で胆嚢に異常を指摘され当科受診.腹部エコー・CTでは,胆嚢頸部から肝臓に浸潤した腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性胆管膵管造影では,胆嚢は頸部で閉塞していた.肝外胆管に拡張はなく, 下部胆管が二つに分岐し, 内側の胆管は膵管に合流していた. 以上より, 重複胆管と合流異常に合併した進行胆嚢癌と診断し,拡大胆摘術を施行した.胆嚢癌は病理組織学的にadenoendocrine cell carcinomaであった.術後1年半経った現在,再発・転移は認めていない.合流異常を合併した重複胆管の報告は9例あり,その内胆嚢癌の合併が5例あった.今後同様な症例を見た場合,胆嚢癌の合併に十分な注意が必要であり,予防手術を考慮する必要がある.
  • 内村 正史, 今津 浩喜, 船曵 孝彦, 落合 正宏, 桜井 洋一, 松原 俊樹, 長谷川 茂, 浦口 貴, 神野 治, 神保 康子, 庄司 ...
    1998 年 12 巻 5 号 p. 414-420
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 女性. 上腹部不快感にて近医受診. 腹部超音波検査にて胆嚢腫瘍と診断され, 精査治療目的に当科入院した.腹部造影CTにて腫瘍による肝床部への直接浸潤像を,腹部血管撮影では胆嚢壁にに沿った濃染像を認めた.また,内視鏡的逆行性胆道膵管造影(以下ERCP)で胆管非拡張型膵・胆管合流異常を合併していた,以上より,合流異常に伴う胆嚢癌と診断し手術を施行した.
    切除標本上,胆嚢頸部を中心とした結節浸潤型腫瘍あり, 病理組織学的には円形の小型な細胞で,敷石状に増殖していた.またEMAおよびchromogranin-A, synaptophysin陽性であり胆嚢原発小細胞癌と診断した.
  • 武井 和夫, 武田 一称, 篠原 靖, 糸井 隆夫, 中村 和人, 堀部 俊哉, 斎藤 利彦, 土田 明彦, 青木 達哉, 小柳 泰久
    1998 年 12 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    癌例は56歳,女性.主訴は心窩部痛.腹部超音波検査および腹部CTで胆嚢は描出されず,ERCでも胆嚢と胆嚢管は造影されなかった.また肝内胆管枝は減少しprunedtree signを呈し,多発性の狭窄や硬化像を認めた.肝外胆管にも不規則な硬化像や嚢状拡張を認め,硬化性胆管炎に特徴的な形態を呈していた.画像所見より硬化性胆管炎を伴った先天性胆嚢欠損症を疑い腹腔鏡検査を施行した.その結果,胆嚢窩に胆嚢,胆嚢管は存在せず,索状構造物も認められなかった.また同時に施行した肝生検では,硬化性胆管炎に矛盾しない組織像が得られた.以上より硬化性胆管炎を合併した先天性胆嚢欠損症と診断した.
  • 岩本 末治, 木元 正利, 小沼 英史, 久保添 忠彦, 伊木 勝道, 吉田 和弘, 山本 康久, 角田 司
    1998 年 12 巻 5 号 p. 427-431
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢管に限局して発見される胆嚢癌は,きわめて稀である.今回我々は,胆嚢管に限局し乳頭状に発育する粘膜癌を経験したので報告する.症例は62歳,男性で夕食後に腹痛が出現した. 翌日, 発熱と黄疸が出現したため近医を受診した. その後, 黄疸は自然に消失.精査の結果,三管合流部近傍の悪性腫瘍を疑われ当科に転院となった,三管合流部近傍に原発した隆起性の早期胆管癌を疑い,手術を施行した.胆嚢は緊満し,胆嚢管から総肝管にかけて壁内に腫瘤を触知した.手術は胆嚢摘出術兼肝外胆管切除術とD2リンパ節郭清を施行した.腫瘤は胆嚢管に限局して存在し,4.8×3.2cmの乳頭状に発育する軟らかいもので,その一部が総肝管に突出していた.
    病理組織学的には乳頭状腺癌で深達度は粘膜にとどまっていた.
    本例はFarrarの診断基準を厳密に満たす早期癌胆嚢管癌と思われた.
  • 山中 晃一郎, 有山 嚢, 須山 正文, 窪川 良広, 崔 仁煥, 三輪 健, 二川 俊二, 丸山 俊秀, 岡田 安郎
    1998 年 12 巻 5 号 p. 432-437
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    早期胆管癌の1切除例を報告した.症例は67歳女性,無症状であった.軽度の胆道系酵素の上昇を契機にUSで胆管拡張がみられ,ERCPを行い下部胆管癌と診断された.CT,EUS,IDUSを用い,fmまでの早期胆管癌と診断でき,また上皮内進展の診断にはPTCSによる観察と生検が術前の切除線の決定に有用であった.膵頭十二指腸切除を行い,病理組織学的に深達度fmの高分化型乳頭管状腺癌で,上部胆管まで上皮内進展していた.
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