閉塞性黄疸を合併した肝癌に対してexpandable metallic stent(EMS)を挿入し,良好に経過した2 例を経験した. 症例1は44歳, 女性. 慢性B型肝炎で経過観察中, 肝左葉から肝門部に約4cmの肝癌を認め入院. 十二指腸乳頭から出血を認め, ENBD留置,TAIにて止血に成功し退院となったが,7カ月後,再び黄疸が増悪し,内視鏡的胆道ステントを留置し, 約2 カ月の家庭復帰が可能となった. 症例2は80歳, 男性. C型肝硬変にて経過観察中, 左葉, 肝門部, 右葉S
8に腫瘍を認め, 黄疸が急速に増悪したため入院. PTCDからの造影では肝門部胆管に肝癌の浸潤を認め,経皮経肝胆道ステントを留置し,家庭復帰が可能となった.6カ月経過した段階でも外来通院中である.閉塞性黄疸を併発した肝癌は予後不良とされているが,EMSを応用することにより,家庭復帰が期待できる.
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