要旨:今回我々は,胆管癌と鑑別が困難であった原発性硬化性胆管炎の1例を経験したので報告する.
症例は73歳の女性,高血圧症で通院中の医院で肝機能障害を指摘され,腹部超音波検査で肝内胆管拡張を認めたため当院に紹介となった.入院時には黄疸は認めなかったが,入院中にT-bil 8.8 mg/d
l と黄疸が出現したため内視鏡的逆行性胆道造影(endoscopic retrograde cholangiography:ERC)を施行した.ERCでは左右肝管から総肝管にかけて狭窄像を認めた.胆汁細胞診,ブラッシング細胞診では悪性所見はなかったが,経乳頭的胆管生検で高分化型腺癌を否定できない所見を認めたため経皮経肝門脈塞栓術を行った後,肝左3区域切除術+D2リンパ節郭清を施行した.術後病理診断は胆管周囲に炎症細胞の浸潤と線維化による壁肥厚を認め原発性硬化性胆管炎と診断された.
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