インテグリンは細胞と基質、細胞間の接着の受容体として機能する糖タンパク質ファミリーであり、各々1分子のα、及びβサブユニットからなる細胞膜を貫通するヘテロダイマーからなっている。β
1サブユニットからなるインテグリンは主要な細胞接着の受容体で、多くの細胞で細胞外基質や基底膜の成分であるコラーゲン、ラミニンそしてフィブロネクチンと結合する。β
1インテグリンサブユニットのアスパラギン結合糖鎖の細胞内での合成は非常にゆっくりと行なわれ比較的大きな糖鎖の付加が起こる。この大きな糖鎖の結合が、フィブロネクチンとの結合能の高いインテグリンであるα
5β
1の結合活性獲得に必要であり、その基質結合活性はおそらくβ
1インテグリンサブユニットのシアリル化と密接に関連している。ケラチノサイトの活性化はこのインテグリン分子のフィブロネクチン基質への接着性やフィブロネクチン基質上での移動の増強を伴っており、これはまた細胞内でのインテグリンの糖鎖プロセッシング過程の変化と関連している。ガン遺伝子による形質転換は細胞表面のβ
1インテグリン分子の発現には必ずしも変化を与えないが、インテグリン分子のプロセッシング速度を増加させ合成途上のインテグリンβ
1鎖の細胞内プールサイズを減少させたり、細胞表面でのインテグリン分子の分布に変化を与える。
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