Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
12 巻, 68 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Štefan Janecek, 大段 光司
    2000 年 12 巻 68 号 p. 363-371
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    現在、α-アミラーゼファミリーに属する酵素は27種類の異なった酵素群にわたり、ハイドロラーゼ(EC3)、トランスフェラーゼ(EC2)、およびイソメラーゼ(EC5)に分類される。これらはグライコサイドハイドロラーゼファミリー13、70、および77に属し、アミノ酸配列に基づいた分類によるGH-H族を形成している。また、特に超極限微生物由来のいくつかのα-アミラーゼとその関連酵素を含めたグライコサイドハイドロラーゼのファミリー57も存在するが、現在の知見ではこれらはファミリー13とアミノ酸配列上は関係がない。ここでは主に、α-アミラーゼファミリー13に属する酵素とアミノ酸配列が明らかに似ているが触媒活性はもたないタンパク質について採りあげることにする。これらのタンパク質には、ほ乳類の二塩基性または中性アミノ酸膜輸送誘導タンパク質や、細胞表層抗原の4F2H鎖といったものがあり、澱粉分解酵素とは機能的に全く関連がない。しかしながら、構造と進化という観点にたてばこれらは酵素とともに同じα-アミラーゼタンパク質ファミリーに属するといえるだろう。本レビューではこれと似た例として他のタンパク質ファミリーに属するキチナーゼおよびアルド-ケト-レダクターゼについても紹介する。
  • Atsuo Kimura
    2000 年 12 巻 68 号 p. 373-380
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    α-グルコシダーゼは、植物や動物組織における澱粉・グリコーゲン代謝に関与しており、基質認識が多様性であることが特徴である。最近の研究により、α-グルコシダーゼが2つのグループ(ファミリーIとファミリーII)に大別され、ファミリーIはα-アミーゼファミリーに属することが明かにされた。本稿では、α-グルコシダーゼファミリーの相違に力点を置き、触媒アミノ酸(求核基と酸塩基触媒基)を含む構造情報、基質の分子認識や加水分解反応の遷移状態における中間体について記述する。
  • Shukun Yu, 釜阪 寛
    2000 年 12 巻 68 号 p. 381-388
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    α-1,4-グルカンリアーゼ(EC4.2.2.13)は、マルトース、マルトオリゴ糖、澱粉およびグリコーゲンのようなα-1,4-グルコシド結合からなるグルコースオリゴマーやポリマーに作用して、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースを生成する酵素である。分子量は約120kDa、作用至適pHは4.0-6.5であり、シングルポリペプタイドからなっている。α-1,4-グルカンリアーゼはα-1,4-グルコシド結合に対し高い特異性を有しており、α-1,6-グルコシド結合に対しては、殆ど作用しない。また、本酵素はエキソ型の酵素作用を示し、非還元末端側から還元末端あるいは枝別れ箇所まで順次グルコース単位で切断し、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースを生成する。つまり、マルトースを作用基質とした場合、グルコースと1,5-アンヒドロ-D-フラクトースが等モル量生成してくることになる。一方、アミロペクチンやグリコーゲンに作用させた場合は、1,5-アンヒドロ-D-フラクトースとα-1,6-グルコシド結合部分で分枝構造を多く含むリミットデキストリンを生成する。著者らは、現在までに、カビや藻類からα-1,4-グルカンリアーゼを精製し、その遺伝子のクローン化もおこなってきた。1,5-アンヒドロ-D-フラクトースおよびその代謝産物である1,5-アンヒドロ-D-グルシトールが、大腸菌やほ乳類において見出されている。この事実は、大腸菌やほ乳類ではもう一つのグリコーゲン分解経路が機能している可能性を示唆するものである。
  • Miyoko Hashida, Henrik Bisgaard-Frantzen
    2000 年 12 巻 68 号 p. 389-401
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    タンパク質工学的手法により、カルシウム非依存性かつ酸耐性の向上した澱粉加工用α-amylaseを開発することに成功した。部位特異的変異法で得られた Termamyl LCTMは高いカルシウム非依存性を持ち、カルシウムを添加しない条件であっても40ppmのカルシウム添加時のTermamylTMと同等の液化効果が得られた。この Termamyl LCTMをさらに改変するためにランダム変異法が用いられ、最新のタンパク質工学的手法により性質が一段と向上した新しい酵素を効率的に取得することができた。
    洗剤用α-amylaseの開発では最初に自然界からのスクリーニングを行ない、アルカリ条件で高活性を示しかつ安定である2種類のα-amylasesを取得した。これらのα-amylasesはタンパク質工学的(部位特異的変異法)にさらに改変され、アルカリ安定性とカルシウム非依存性の向上した新しいα-amylaseを得ることができた。
  • Kohji Ohdan, Takashi Kuriki
    2000 年 12 巻 68 号 p. 403-410
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖質はヒトの生命維持に不可欠であり、常に十分な量を確保する目的から、糖質関連酵素の研究は歴史が長く、その情報量は膨大である。また、これらの酵素について工業的利用の立場に立った研究も多く成されている。α-アミラーゼやサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase)といった糖化産業の根幹を成す実用酵素は、酵素の機能改変といった基礎的研究の対象としても興味深い材料である。本レビューでは、工業用酵素として広く使用されているα-アミラーゼにCGTaseの持つ生デンプン吸着能および分解能を導入した一成功例を紹介するとともに、ドメインレベルにおける酵素の構造と機能の相関について議論する。
  • 「私はおとなしい研究者だ」
    Ken-ichi Kasai
    2000 年 12 巻 68 号 p. 411-420
    発行日: 2000/11/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top