Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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7 巻, 33 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • Robert B. Trimble, Mary Fran Verostek, 畑中 研一
    1995 年 7 巻 33 号 p. 1-30
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖タンパク質のN-結合型糖鎖、あるいはO-結合型糖鎖の生合成やプロセッシングを研究するモデル系として酵母が使われる。Glc3Man9GlcNAc2-PP-Dolの合成とその14糖のタンパク質中のアスパラギン残基への転移およびグルコース3分子の切断は、酵母と哺乳類の細胞で同じように受け継がれている。しかし、哺乳類の細胞におけるN-結合型糖鎖が14糖からトリマンノシルコアまで分解され、ゴルジ体において、N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、シアル酸、硫酸基、フコースによって複雑に修飾され、複数に分岐した“complex”糖鎖を形成するのに対し、酵母では、ERにおいて、最初の糖鎖からマンノース1残基のみが切断されてMan8GlcNAc2Asnとなり、さらにゴルジ体において、ハイマンノース型オリゴ糖鎖にマンノース残基が付加することによって伸長され、“マンナン”となる。このマンナンは、主鎖がα1, 6-結合で、α1, 2-とα1, 3-結合のマンノース側鎖を有する50~100糖からなる多糖である。セリン及びトレオニン残基へのO-グリコシル化においては、哺乳類細胞では、すべての反応がゴルジ体で起こるのに対して、酵母では、ERにおけるマンノース1残基のアミノ酸残基上への転移反応によって開始されるところに違いがある。酵母では、その後、O-結合したマンノース残基に1~4分子のマンノースがゴルジ体において付加、伸長する。N-およびO-結合型糖鎖プロセッシングの後半の段階では、酵母と哺乳類細胞において大きな違いがあるが、糖タンパク質代謝における特異性や複雑さを理解する上で、酵母における遣伝子研究や生化学研究は、有用な範例として扱うことができる。
  • K.L. Carraway, N. Fregien, 伊藤 ユキ
    1995 年 7 巻 33 号 p. 31-44
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ムチンは高度にOグリコシル化された糖タンパク質で、細胞外からの作用物質に対する細胞の保護に関与していると考えられている。ムチンは、分泌型ムチンと膜結合型ムチンの二種類が知られている。ほとんどのムチンは、分子の中央に縦列反復配列 (tandem repeat) 構造の領域を持つが、この部位はセリンとスレオニンに富み、ムチンの種類により長さが大きく異なっている。多くのムチンにはシステインに富むドメインもある。反復配列は、ひとつのムチン分子中では、ヒトMUC1タンパク質分子のように、多くの場合保存されている。しかし二種間では、例えば、マウスのMUC1タンパク質とヒトMUC1タンパク質の反復配列のように、ほとんど保存されていない。ムチンの多くは反復配列の数に違いがあるために多型であり、ムチン遺伝子の転写産物は多くの場合不均一である。ムチンは組織特異的に発現しているものが多いが、MUC1やMUC2のようにいくつもの組織でみられるものもある。一つの組織が一つ以上のムチンを発現している可能性もある。これまでに得られた範囲の研究からも、ムチンの発現制御は複雑であることがわかる。膜結合型ムチンは細胞間相互作用を調節することにより発生や腫瘍の進行に関与しているのではないかと考えられている。ある種のムチンのシステインに富むドメインは、細胞増殖の制御に役割を果たしている可能性もある。組み換えDNAプローブを用いた研究が、このムチンという複雑な分子に対する理解を大いに深めることは疑いない。
  • G.J. Dougherty, S.T. Dougherty, J.F. Dirks, R.K. Chui, C.E. Peters, A. ...
    1995 年 7 巻 33 号 p. 45-56
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    CD44は生体内に広範に分布する細胞表面糖タンパク質で、リンパ造血、骨髄造血、リンパ球再循環、がん転移、単球やマクロファージの活性化など、接着に依存した多くの細胞現象に重要な役割を果たすことが示されている。しかしながら、この重要な分子の機能的な活性とリガンド結合特異性がどのように調節されているかに関する分子機構は、現在ほとんど明らかにされていない。特に、CD44はグリコサミノグリカンであるヒアルロン酸に対する主要な細胞表面受容体としての機能が示されているが、全てのCD44陽性細胞株がこの特定のリガンドに結合できるわけではない。本総説で述べるように、独立した調節機構が幾つか存在するであろう。例えば、alternative splicing によって、異なるリガンド結合特異性を持つ多様なCD44アイソフォームが多数発現するであろう。さらにこのような多様な分子の機能的活性は、これらの分子の立体構造の変化、あるいは糖鎖修飾、あるいは細胞膜面の局在変化などによってさらに調節されているであろう。
  • Takashi Watanabe
    1995 年 7 巻 33 号 p. 57-68
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    リグニンー糖結合体 (LCC) は、樹木細胞壁において疎水性のリグニンが親水性の多糖に化学的に結合した両親媒性の複合糖質であり、アルカリに安定なリグニン・糖鎖間のベンジルエーテル結合はクラフトパルプに着色物質が残留する主要な原因の一つである。従来行われてきた塩素系化学薬品によるバルブ中の着色物質の脱色は、毒性の強い環境汚染物質を生じるため、近年この着色成分を微生物によって変換する技術 (バイオブリーチング) が注目を集めている。しかしながら、パルプ中のリグニンー糖結合体に関しては、これまでその性質は体系化されておらず、バイオプリーチングにともなうLCCの化学変化は分子レベルでは解明されていない。アルカリに安定なLCCの化学構造を明らかにすることは、これを分解する微生物のスクリーニングのために必要であり、環境保全を指向した製紙プロセスにもつながる。
  • 藤井 英
    1995 年 7 巻 33 号 p. 69-71
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 平林 淳
    1995 年 7 巻 33 号 p. 73-75
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 石原 雅之
    1995 年 7 巻 33 号 p. 77-78
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 日向 須美子
    1995 年 7 巻 33 号 p. 79-80
    発行日: 1995/01/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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