油圧ショベルをベースマシンとした林業機械作業の安全性を明らかにするためアンケート調査を行った。運転室ガードの装着率は95.3%と非常に高かった。しかし運転室全体を保護するタイプのものはガード全体の21.3%であり,落下物による事故を防ぐには不十分であった。次に,運転室でのヒヤリハット事例324件,車体全体に対する損傷事例553件を収集し,車体の衝突多発位置と他の要因(衝突物など)との関係を分析した。ヒヤリハットでは作業機で扱っている材の前方の窓やオペレータから見て左支柱,左下角への衝突例が多く見られた。車体全体の損傷では,ヒヤリハット事例と同じ場所に加え,作業機扱い材による右前の損傷や,残存立木や法面等へ車体後方を衝突させ損傷を受けることが多かった。このような機械を用いる作業において安全性を高めるためには,車体の衝突が多発する箇所を保護するとともに,現状の運転室ガードよりも保護範囲を左側に広げたガードを装着することが必要であると考えられた。
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