1980 年代以降の林業従事者の著しい減少と高齢化に対応して,2003年から開始された新規就業者の確保と育成を目的にした研修事業である「緑の雇用」事業は13年目を迎えた。本稿は,「緑の雇用」事業のフォレストワーカー研修生を対象に2013年度に実施したアンケート調査の再集計をもとに,研修生の属性や研修環境と「緑の雇用」事業集合研修とOJT研修の評価との関連を分析した。アンケート調査は全国森林組合連合会によって実施され,集合研修後に研修生に2,505通を配布,回収数は1,839である。その結果,1)集合研修については伐採・搬出に関わる技術の研修に対して評価や要望が高いこと,2)OJT研修についてはおおむね良い評価が得られていること,3)研修の評価と,研修生の年齢,前職・学歴,地元・UIターン別などの属性との関連性は見いだせず,研修の設計や研修体制を通じていかに研修生の学びへの動機づけをできるかが重要であることが明らかになった。
ヒノキ林分において上方伐倒の際,残存2立木の樹冠に接触して発生するかかり木について,伐倒方向に引き倒して処理する際に要するけん引力を測定し,かかり木が樹冠を通過する際の接触抵抗力を推定した。かかり木の地上1.2mの位置でけん引した場合に必要な力は平均6.76kNであり,樹冠部を通過する際の接触抵抗力は1.1kNであった。2立木の間隔とけん引力および接触抵抗力との間には明確な関係は見られなかったが,樹冠の重なり率と接触抵抗力との間にはべき乗関係が認められた。2立木の間隔に応じたけん引力および接触抵抗力の上限値の存在が予想された。既報の他の処理方法と比較した結果,2立木樹冠に接触したかかり木の処理に要する力の大きさは,上方伐倒引き倒しが最も大きく,次いで下方伐倒引き倒しと下方伐倒元口移動とが同程度であり,上方伐倒元口移動が最も小さかった。また,人力でロープ等によりけん引して引き倒すもしくは元口を移動させる処理は成功率が低いが,トビや小丸太等を用いて元口を移動しての処理は有効であることが示された。
元玉切りによるかかり木処理の安全性を明らかにすることを目的として,ヒノキ林分において,隣接2立木の樹冠に接触して発生させたかかり木の元玉を段階的に鋸断する試験を行った。試験で発生させたかかり木44本のうち,元玉切りによって伐倒方向に倒伏したのは16例,かかり木は解消したが,横方向や伐倒方向とは反対側に倒伏したのは15例,元玉切りでは倒伏しなかったもの13例であった。かかり木が水平となす角度が60度を超えると,横方向や伐倒方向とは反対方向に倒伏する例が見られた。けん引により元口を移動させる方法と比較すると,元口が斜面上を移動する距離には差がなく,元玉落としによる予定方向への倒伏の成功例は全体の3割強,予定方向以外への倒伏を合わせても7割にとどまり,かかり木処理方法としての優位性は確認されなかった。
J-SACL was conducted on a total of eight forestry workers (four females and four males) to clarify the physical, psychological and social stress states of such workers for contributing to the spread of forestry worker education and forestry technique. The investigation revealed that stress levels of the participants were low, while arousal levels were high. Stress levels were significantly lower than those of general adults and the risk of stress-related diseases was low. Stress levels measured after forestry operations tended to be lower than those before those operations. Although the existence of psychological stress from mechanized work was pointed out in previous studies, there were no such signs in our work. This may be because the workers were not only affected by mechanized operations but also by other manual labor during the study periods. A comparison of our results with those in other fields shows that stress levels of forestry workers in this study were equivalent to those of urban college students who had undergone stress relaxation training.
岐阜県中濃地域を中心とした8森林組合において,森林・林業に関する専門教育機関の出身者数を調査した。対象森林組合の内勤職員・現場技術者116名のうち,高等学校の森林・林業系学科出身は48名,県立農林大学校出身者は28名,大学の林学系学科の出身者は5名であった。高等学校,農林大学校,大学のいずれかで森林・林業系の専門教育を受けていたのは49名(42%)であった。高等学校の森林・林業系卒業で就職した場合には現場技術者の割合が高く,農林大学校および大学出身者は内勤職員の割合が高かった。