森林利用学会誌
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16 巻, 2 号
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論文
  • 澤口 勇雄, 宇野 博子, 猪内 正雄, 立川 史郎
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 2 号 p. 83-92
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒバ天然林択伐作業による残存木損傷について解析した。解析にはGISが用いられた。トラクタ全幹集材システムでの作業の結果,残存木損傷は本数率で22.5%に達し,そのほぼ半数は生育見込みのない損傷であった。しかし生育見込みなしとされた材積は,全材積の2.6%にすぎなかった。損傷は,残存ヒバの大小に関係なく発生した。損傷種類は倒伏,幹折,樹幹辺材部露出の順で,この3種類で89.7%を占めた。損傷の主要原因は伐倒,集材であった。路網,伐根,伐倒木樹幹各バッファ距離と損傷本数率の関係は負の相関関係が認められ,バッファ距離が大きくなるにつれて損傷本数率は減少した。これらの結果から,伐出による損傷危険度マップを作成した。
  • 熊倉 由典, 田坂 聡明, 田村 進
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 2 号 p. 93-102
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    1998年5月〜1999年1月の9ヶ月間と,1999年12月に,伐出作業が森林内土壌に及ぼす影響を調べるために、小面積皆伐跡地の土壌コーン指数,降水量,含水比について調査を行った。この結果,土場に用いられた林地土壌は,伐出作業後5年を経過してもコーン指数は高い値を維持することが明らかになった。また、伐採により裸地化した林地は,乾燥により含水比が低下し,コーン指数は増加する傾向が認められた。森林内土壌のコーン指数は,測定期間を通しておよそ2.0〜3.0kgf/cm^2の範囲で変化していること,含水比が低下する冬期に伐出作業を行なうことが,土壌締固めへの影響が少なくなることが明らかにされた。一方,雨期に使用される林業機械は,接地圧を1.5kgf/cm^2以下とすることが望ましいと判断された。
  • 呉 宰憲, 小林 洋司, 車 斗松
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    よりよい苗木を得るために,林業用苗木の形態学的特徴を測定する,映像チャンバーと間接照明施設を装備したマシンビジョンシステムを開発した。実験では朝鮮五葉松苗木を利用して,苗木の高さと直径(茎と根の境界部の直径),根の体積をマシンビジョンと既存の測定方法と比較して,その精密度を分析した。その結果,根の体積は相関係数が0.763で多少低いものの,苗木の高さと直径は,高い相関を示した。よって,本システムは苗木の形態学的特徴の測定に有用なシステムと判断でき,苗木選別作業の自動化にも適用することが可能であると判断できる。
  • 後藤 純一, 宮崎 雅幸
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 2 号 p. 111-120
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    森林地帯における搬送波位相によるGPS静的干渉測位での測量条件と精度との関係を明らかにするために,以下の受信条件における測量成果の残差を求めた。測点周囲の遮蔽物の指標には上空の全天写真の輝度から判定した受信可能領域を用いた。測量計画時に軌道情報から予測される受信状況を位置精度低下率(PDOP)と累積受信回数率(受信時間中に期待される受信累積回数と4つの衛星からの電波を受信し続けた場合の累積回数の比)によって区分した。実験は遮蔽物の指標が異なる43測点での各1時間のデータセットと15測点での各7時間連続受信データを60分,45分,30分に分割したデータセットからなる。基線解析によって算出される共分散行列に基づく解の精度と最確値に対する残差は,受信可能領域率によって予測可能であり,信頼区間90%での期待値を示した。累積受信回数率が100%を上回るか,または,PDOPが7以下である状況で受信した時間が全体の3分の2以上である場合に,測量成果の再現性を確保することが可能であり,受信可能領域率が80%以上でこのことが高い確率で期待できた。受信時間と平均精度との関係は明確ではないが,受信時間が短いほど再現性が低下する傾向にあった。
  • 毛綱 昌弘
    原稿種別: 本文
    2001 年 16 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2001/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林業機械の標準的なマニピュレータであるナックルブームを伐倒,荷役作業以外の林業作業にも使用することを目的として,ブーム先端部における接地荷重を制御しながら,先端部の軌跡も制御する装置の開発を行った。開発された制御装置では,荷重のフィードバック情報を先端部にロードセルを装備して取得する方法ではなく,各関節を駆動している油圧シリンダに取り付けられた位置センサと圧力計から推測する方法によって制御を行う方法とした。これは,ロードセルが高価であるため,制御装置を安価に構成することが困難となるためである。このため,ナックルブームの運動方程式を算出し,先端部における荷重値を推測した結果,荷重値は最大1kN程度の計測誤差を示す場合もあったが,この推測値を用いて制御実験を行った。その結果,目標荷重値に対する制御誤差を約0.5kN以内,ブーム先端部の目標座標値の制御誤差も数cm以内に保ちながら,先端部の移動操作を行うことが可能であった。これらの制御誤差は作業機の質量作業に求められる精度などを考慮すると,十分な精度であり,ロードセルを用いなくてもナックルブームの荷重制御が可能であることが確認できた。
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