林業機械の標準的なマニピュレータであるナックルブームを伐倒,荷役作業以外の林業作業にも使用することを目的として,ブーム先端部における接地荷重を制御しながら,先端部の軌跡も制御する装置の開発を行った。開発された制御装置では,荷重のフィードバック情報を先端部にロードセルを装備して取得する方法ではなく,各関節を駆動している油圧シリンダに取り付けられた位置センサと圧力計から推測する方法によって制御を行う方法とした。これは,ロードセルが高価であるため,制御装置を安価に構成することが困難となるためである。このため,ナックルブームの運動方程式を算出し,先端部における荷重値を推測した結果,荷重値は最大1kN程度の計測誤差を示す場合もあったが,この推測値を用いて制御実験を行った。その結果,目標荷重値に対する制御誤差を約0.5kN以内,ブーム先端部の目標座標値の制御誤差も数cm以内に保ちながら,先端部の移動操作を行うことが可能であった。これらの制御誤差は作業機の質量作業に求められる精度などを考慮すると,十分な精度であり,ロードセルを用いなくてもナックルブームの荷重制御が可能であることが確認できた。
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