林道網の細部は低規格の林道で形成されるが,今後,高密度の林道網整備を進める上で,どの程度の規格を想定するかは,林道網の整備進度に大きな影響を与える重要問題である。本論では,低規格の林道を代表する林道3級と作業林道をとりあげ,主として幾何構造を実態比較解析することによって,林業的機能を重視する林道網の末端の林道規格を論議した。実態比較は,開設費,横断面,線形,迂回率,HACKの法則の類似式の適用について行った。作業林道の開設費は,林道3級の1/2〜1/3であり,この差の7割は土工費と構造物費から説明できた。両林道に幾何線形や迂回率に差は余り見られず,HACKの法則の類似式の適用に対しても,ベキ乗式の定数の違いは,路線延長や利用区域森林の規模の違いと結論された。数量化2類で分析した結果,林道3級は作業林道に比べ,縦断勾配が少し緩やかな道の割には,切盛土量が多いため開設費が高い道と位置づけられた。これらの結果から,林業的機能を重視する林道網は,林道1級,林道2級及び作業林道の体系で行うのが合理的と示唆した。
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